マイルーム (道外編)

十二湖駅

青森県西津軽郡深浦町 五能線 1995年5月4日(木) 標高12.9m

すぐ隣に観光案内所があり、ここの外の水道が使える。国道のすぐ脇ではあるが静か。問題は、真夜中になっても照明が消えないことだった。

2011年の夏にこの駅のそばを通りかかったが、いわゆるカプセル駅舎風のものではなくはるかに立派な駅舎になり、何かの施設と一体化していたので、もう駅寝はしない方がいいと思う。

阿仁マタギ駅

阿仁マタギ駅

秋田県北秋田市 秋田内陸縦貫鉄道 1995年5月5日(金)

無人駅だが、売店が入口についている。でもそれも夕方には閉まってしまう。夜の乗り降りはないものの、朝は早くから地元の人がやってきた。

集落は近くにあるが、夜は静かで、川のせせらぎが耳に心地よい。窓からは星空が見え、まさに駅寝らしい駅寝ができた。

近くに打当(うっとう)温泉という温泉があり、入浴料は260円と安い。買物は、あらかじめ阿仁合駅のあたりで済ませてくる方がいいと思う。

陸前階上駅

宮城県気仙沼市 気仙沼線 1995年7月31日(月) 標高18.4m

海が近い丘の上にある駅。あたりは屋ごみっぽいが、駅舎が広く夜も静かなので駅寝には適している。

夜、寝ていると懐中電灯を顔に当てられ、驚いて跳ね起きた。駅前に営業所のあるタクシーの運転手で、「大丈夫か?蚊取線香いるか?」と気遣ってくれた。この辺では駅寝は珍しいのだろうか。

大雨の国道49号線

福取バス停

新潟県東蒲原郡阿賀町 国道49号線 1995年8月3日(木)

会津街道五峠の最も新潟側の峠、惣座峠を貫く福取トンネルの福島側にある。ガラス張りのうえ、密閉もできないから、あまりいいバス停小屋ではないと言えるだろう。そもそも国道49号線沿いなので普段はうるさいと思う。人家は近くにないので人目は気にならないが。

写真は福島側からやってきたおれが県境を越えてすぐのあたりで撮影したもの。この日はものすごい大雨で、このバス停の先が通行止になっていた。それでここで寝る羽目になったわけだ。

炊き出しも出たし、普段話すことのない自動車のドライバーの人々と話すこともできたので(野営装備のおれはかなり羨ましがられた)、思い出してみるとそんなに悪い体験ではなかったかも。

会津水沼駅

会津水沼駅

福島県大沼郡金山町 只見線 2006年10月14日(土) 標高262.3m

近くに人家はない。国道252号線の只見川にかかる橋のすぐそばだが、夜は交通量が少ないので気にはならない。駅舎は無人駅仕様だが閉め切ることは可能。照明は終夜ついたままである。

秋の駅寝はいつもそんなものかもしれないが、蛾をはじめとした虫が入り込んでおり、駅舎に入って最初にしたことはホウキを振り回して彼らを征伐することだった。

会津越川駅と違って、夜は23時台まで列車があった。とてもじゃないが起きていられないので、禁止事項ではあるがそれを待たずして寝させてもらった(乗降はないだろうという読みもあった。実際どうだったかはもちろん不明)。

会津越川駅

会津越川駅

福島県大沼郡金山町 只見線 2006年6月3日(土) 標高329.0m

この駅は、2012年11月現在、使用不能になっています。

集落の中にあり、周囲の田んぼでは朝早くから夕方遅くまで野良仕事が行われているので少々駅寝はしにくい。駅舎はなくホーム待合だけだが、閉め切ることは可能。夜中は水音とカエルの声がいい感じだ。なお照明は終夜ついたまま。

会津川口と只見の間の駅は、ほぼ全部(もしかしたら本当に全部かも)この駅と同じような1両分の長さしかないホームとホーム待合からなっていて、秘境のわりにはいまいち駅寝向きではない。少なくとも本名と会津横田は人家のすぐそばでもあるのでやめた方がいい。

只見線のこの区間は、2011年7月の豪雨で不通になっているが、2012年11月号の鉄道ピクトリアルには、以下のようにある。

不通区間の8駅のうち,地元観光協会の入っている只見を除く7駅は,待合室をベニヤ板で封鎖し,事実上,駅は閉鎖されている.福島県側の不通区間は復旧見込みがまだ立っていないうえ,いずれの駅も道幅が狭く代行バスが入れないため,駅にはその利用客すら来なくなり,人気がなくなった各駅はまるで廃線跡の状況.

金野駅

金野駅

長野県飯田市 飯田線 2001年10月20日(土) 標高383.8m

有名な秘境駅。この駅に到達するには、尾根筋を通る街道から標高で200mほど下ってこなければならない。下ってくる途中には大きめの集落もあるのだが、駅の周りは無人で、実際乗降もない。目の前には川と威圧的な岩山があるばかりなので、夜は本当に暗くなる。

駅舎はなく、ホーム待合しかないので、駅寝には向いていない。寒いのもそうだが、羽を広げると10cmはありそうなでかい蛾との闘いもまた苦労だった。しかし待合には駅ノートがあり、人気はあるもよう。

大嵐駅

大嵐駅

静岡県浜松市 飯田線 2002年4月27日(土) 標高282.7m

東京駅をイメージしたという、立派な外観の無人駅。内装も木の素材を活かしたいい雰囲気のものになっている。夜間でも施錠はされず、木のベンチで寝ることができる。扉を締め切ることができるのもいい。なお、ホーム待合はない。

浜松市域にある駅なのだが、天竜川の対岸の富山村(愛知県北設楽郡。現在は同郡の豊根村に編入)の玄関口であり、それなりに乗降はある。また駅のほど近くに民家が1軒ある。

きれいに整備された駅舎の感じからして、富山村の人々に愛されちゃってる駅らしい。大事に使おう。

糠バス停

糠バス停

福井県南条郡南越前町 国道305号線 1994年9月8日(木)

初めての本州の自転車旅行の初日の宿なので思い出深い。

国道の海側にあり、集落とは道を挟んで反対側になる。最終は18時42分と早く、バス停小屋は広く(中に自転車も入った)、なかなかいい感じだった。しかもちょっと南に行くと(歩いていくには遠いが)河野シーサイド温泉「ゆうばえ」がある。入浴料は500円。国道のすぐ向こうが海で、それを眺めつつの湯あみは確かに爽快。

すぐそこが海、すぐそこが山というロケーションで田舎度は高く、買物が不便なのを差し引いてもいい場所だと思うが、近くにやっぱり来ていたスパイ船!というような看板があったから、怪しまれる行動は避けたほうがいいのかも。

久代駅

島根県浜田市 山陰本線 1996年7月30日(火) 標高19.3m

はっきりと駅寝不適な駅。駅舎がなく、締切不可な小さいホーム待合があるだけ。夜のはじめのうちは待合室の照明がまぶしいのでホームのはずれに寝たのだがものすごく蚊に刺された。夜半過ぎに照明の消えた待合に移って寝直したが、かなり疲れた。

集落は近いものの、使う人はほとんどいないし、場所的にも目につきにくい。

長門三隅駅

山口県長門市 山陰本線 1996年7月26日(金) 標高8.0m

木造瓦ぶき旧有人駅現無人駅というタイプ。広々していて、夏の昼間でも涼しくて心地よかった。腹すかし猫が数匹生息しており、退屈しない。

自転車で軽く行ってこれる距離に湯免温泉があり(500円)、その行き帰りの途中で買物もできた。

夜、タクシーの運ちゃんにここで寝るのかい?蚊多いだろ。蚊取り線香いるぞと言われたのだが、まったくその通りで、夜の待合室は照明のせいで昆虫の運動会状態。しかたがないのでホームに出てひさしの下で寝た。

朝焼けの湯ノ峠駅

湯ノ峠駅

山口県山陽小野田市 美祢線 1997年3月4日(火) 標高18.6m

美祢線が山陽本線から分岐する厚狭駅の隣の駅なので心配していたのだが、まさに日本の田舎という感じの集落内にあり、ほっとした。それでも乗降はそれなりにある。

駅前の道路は交通量が少ないが、ホームの向こうを国道が走っており、少々やかましい。やかましいといえば、列車が来るときの警報音が強烈なツクツク音で、嫌でも寝坊はしないだろう。

駅舎からホームへの出口には扉がなく、夜は相当寒かった。

駅から少し南に行くと湯ノ峠温泉という温泉があり、岡田屋旅館という渋い一軒宿がある。入浴料は300円+洗髪料150円。通りかかったら寄ってみる価値あり。

2014年10月に再訪したときは、外壁はきれいに白ペンキで塗装し直されていたが、駅舎や環境には大きな変化はないようだった。ツクツク音がそのままだったかどうか、岡田屋旅館がどうなっていたかは確認していない。

矢岳駅

矢岳駅

熊本県人吉市 肥薩線 2010年3月25日(木) 標高536.9m

肥薩線のハイライトである矢岳越えの最高所にある駅。駅のそばには人吉市SL展示館というものがあり、デゴイチが眠っている。そのシャッターの開け閉めのために、朝と夕方に地元の人がやってくる。近くに集落はあるものの、小さいし、駅からは少し離れているので、駅寝への影響はあまりないだろう。

駅舎はかつて有人駅だったのを無人化したよくあるタイプである。扉は外側もホーム側も閉鎖可能である(建て付けはよくない)。壁際に作りつけの椅子があるのが懐かしい。それ以外にビニル革のソファーとテーブルがあり、その上には田舎の無人駅には似つかわしくない小洒落たペンダント(照明)が吊るされている。照明は夜間は消える。なお駅ノートがある。あと、ホームに水道があることは特筆すべきだろう。

ホームの柱には寒暖計があり、おれが泊まった春のような寒い季節には、いったい何度まで下がるのかをウォッチするという被虐趣味的な楽しみがある。

湯前駅

湯前駅

熊本県球磨郡湯前町 くま川鉄道 1996年3月21日(木) 標高189.0m

くま川鉄道(かつての湯前線)の終点の駅。湯前は大きな町なのかと思ったのだがそんなことはなく、買物等は手前の免田(現在のあさぎり駅のあるあたり)の方が不自由を感じないだろう。

この駅、駅舎は立派だが、立派ゆえに夜中でも締め切るのはさすがにまずいだろうということで開け放しておいた。非常に寒かったし、夜中には酔っ払いが乱入してきたり、朝早くには新聞屋のバイクが待合室に突入してきたりと、びっくりさせられることも多かった。ここでの駅寝はあまりおすすめできない。

写真は実際に泊まった14年後の2010年3月のものだが、当時と駅舎は変わっていない。

© 2002-2015 tfi72. All rights reserved.
2002年1月7日初版 / 2015年1月29日更新