和見峠

山村風景も美しい豪快な林道峠

読み方わみとうげ
標高860m
位置山梨県上野原市
道路林道棚頭線(棚頭から奥山まで)・林道和見棚頭線(奥山から和見まで)
水系相模川

実走日2010年3月22日(月)
地図などGoogle Maps地図院地図

和見峠は、上野原市のやや北側にあり、桂川(相模川)の大支流の鶴川のさらに支流の仲間川筋にある峠である。大菩薩峠から南東に延びていく尾根筋の先端近くを越える峠でもある(同じ尾根筋には、松姫峠もある)。

峠道は林道ではあるが全舗装である。標高相応の雄大な道筋と谷の眺めがあるほか、東側の和見という山村集落の風景もまた美しい。

和見峠と呼ばれる峠はこの周辺にはこの峠以外にもいくつかあるようだ。現地に和見峠と書かれた看板はあったにはあったものの、その看板がこの峠を指していたのかどうかは定かではない。

四方津から大野ダムへの上り

おれは西側からこの峠に上ることにした。西側の麓には棚頭という集落があり、案内標柱などでもこの地名を見かけるので、まずはそれを目指して進むことになる。

おれは四方津駅から県道507号線で棚頭を目指した。あの殺伐とした国道20号線と中央道の間を行くので意外だったのだが、あたりは静かでのどかな山村である。

ややコースがとりにくいのだが、県道30号線に入って中央道の下をくぐり、仲間川の谷に下る。橋を渡ったところに不老下のバス停があり、左に分岐がある。ここが棚頭の入口であり、和見峠の峠道の実質的な開始地点でもある。標高は330mあまり。

このあたりの雰囲気も大変のどかである。今まで県道30号線は敬して遠ざけていたところがあるのだが、これならそんな必要はないな。


棚頭の集落

1.5車線程度の沢沿いの上りが続く。少し行くと棚頭の集落である。沢を眼前にした斜面に家と畑がある。梅、芝桜、ハナモモなど、花盛りというわけではないにしろぽつぽつと花がある。

それを過ぎると林道棚頭線の標柱がある。道はさらに狭くなり、コンクリート舗装なども現れてくる。じりじり上って奥山の集落を過ぎると今度は林道棚頭和見線の看板がある。看板によると、ここまでは町営林道棚頭線で、ここからは県営林道棚頭和見線ということのようだ。

なおすぐ脇には今年の3月31日までの通行止の標識もある。まあ、冬期閉鎖ならいつものようにスルーしちまうか……。


標高700m地点付近四方津方面への展望

そこからは再びアスファルト舗装である。坂はかなりきつい。頭上にこれから上る道のガードレールが見えてくる。その辺に道標があり、これから向かう方向に和見峠・権現山とある。

やがて道は折り返して沢から遠ざかる。やがて黄色い鉄のゲートに行き当たる。下をくぐってクリアする。

その辺から右手前方にこれから行く谷向こうの道が見えてくる。正面の尾根には電波塔が建っているのが見える。振り返るとそれほど遠くない下方に町のようなものが見える。あれだけの規模だとコモアしおつ(四方津駅の北の丘陵上にある大住宅地)だろうか。


鞍部を見上げる

道はスギ林と明るい枯木林を交互に繰り返して進む。途中から舗装は真新しくなる。ときどき路上に枯れてはいない木の枝が落ちているのを見かける。落石もけっこうある。昨日がすごい春の嵐だったからだろう。

やがて鞍部が見えてくる。高度差はあまり感じないが、そこまで迂回して上っていく道筋がいかにも遠い。

写真の右側に、尾根線の木が一段低くなっているところがあるが、そこが鞍部である。そこから左側に道筋が続いているのも見えると思う。


休憩中鞍部の和見側

途中で休憩をとり、土砂崩れの跡を越えたりしながら進む。

土砂崩れは林道井川雨畑線の山伏峠ほどではなかったが、路面には逃げ場がなく、担ぐ必要があったのは同じだった。

やがて鞍部に到着。鞍部の手前に林道檜尾根線の分岐があり、そちらには鉄ゲートがある。

鞍部は赤土の切り通しである。登山者向けの標柱はあるが、ここが峠であることを示すものはない。これから下る道の様子も、やたら路上にスギの枝がたくさん落ちている以外は、特に上りと変わらないように見える。


和見への下りの途中の展望

下り始めるとすぐに黄色い鉄ゲートがある。今回はその脇をすり抜けることが可能である。

右手には浅く広い谷の眺めが広がり、谷の向こうのやや右手に屋根がきらきら光っている平野のようなものが見える。どこだろうかとそのときは思ったが、今考えるとこれは相模原だろう。

こちら側の道は、全体的には上りと比べてスギ林が多くて展望がきかない。そしてとにかく風倒木が多い。上りの途中では風倒木で道がふさがっていることなどはなかったが、こちら側には数箇所ある。下をくぐったり上を担いで越えたりしてクリアする。気づくと倒れているのはスギの木ばかりである。


和見

しばらく下ると道はコンクリート舗装になり、倒木もなくなる。林道の終わりの看板があり、和見の集落になる。急な斜面に家と畑が立地し、花が咲いている。景観は素晴らしいが、コンクリートの路面のがたがた具合はひどい。岩井堂峠の親沢と同じで、ここまでは早いうちに舗装されたのだろう。

驚くほどの高度差の和見の集落を抜ける頃には路面はアスファルトになっている。さっき見下ろした集落がはや見上げるような位置にある。途中、和見の七不思議伝説という看板を見かける。こちらから上ったらまた別の味があったのだろうなと思う。

やがて県道30号線にぶつかって峠道は終わりである。標高は270mあまり。

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2010年4月8日初版 / 2015年1月8日更新