右左口峠
甲府盆地を眺める旧道ダート峠
読み方 | うばぐちとうげ | |
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標高 | 850m | |
位置 | 山梨県甲府市 | |
道路 | 山梨県道113号線 | |
水系 | 富士川 | |
実走日 | 2003年5月2日(金) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
右左口峠は、甲府盆地の南縁にある旧道ダート峠である。甲府盆地と芦川の川筋を分ける数ある峠のひとつ、とも言えるが、歴史のある中道往還の峠だし、長大な右左口トンネルが開通していたりと、他のマイナーな峠とは一線を画している。
ただ、歴史とか旧道の風格とかはあまり感じない。何だか普通の裏山ダートという雰囲気だ。
おれは甲府盆地側の麓にあたる右左口の集落から上った。標高は300mあまり。右左口の集落は中道往還の宿場だったらしく、小さな案内板がある。
いかにもという感じのない、ちょっとだけクラシカルな集落の中を、道はけっこう急な勾配で上る。集落を抜けると、早くも甲府盆地を見下ろすような感じである。
標高450m付近で、右左口トンネルの国道358号線の下をくぐる。立体交差だが、自転車や徒歩であれば国道から入って来られそうである。そのすぐ先で立派な鉄ゲートが閉まっていたが、立派さゆえにおれは余裕でその下をくぐり抜けることができた。
ゲート以降は道は悪くなる。幅は1車線、路面は荒れた舗装とダートが交互に現れる。けっこう立派な法面工事をしてあるあたりは旧道っぽいが、ガードレールはほとんどないし、カーブミラーにいたってはまったくない。
軽快な里山道という感じだが、実は国道358号線を行き交う自動車の騒音がぶいぶいとやかましい。三才山峠でも感じたことだが、自動車の騒音というのは思いのほか大きいものだ。ちょっと暗澹とした気分。
やがて道はダートオンリーになる。展望はよい。眼下に甲府盆地と国道358号線を見下ろす地点もある。霞んでいなければ八ヶ岳も見えるに違いない。ちなみに、この写真は2枚の写真の連結写真である。したがって次の写真などより40%くらいは広い角度が写っている。
やがて、さしもの国道の騒音も消える。それにしても新緑が美しい。振り返ると甲府盆地の切れ端と残雪の南アルプスが見える。この写真だが、左端は農鳥岳で、そこから右に間ノ岳、北岳と並び、右の方にぽつんとあるのは観音岳である。
鞍部が近づくと勾配は緩くなる。枕状溶岩の説明板を過ぎると、だんだんと路面の落石が増えてくる。普通、落石はとがっているものだが、何となく丸っこく見える。これも枕状溶岩か。気のせいか。
さて、鞍部に到着。全面通行止の看板、上九一色村中道町の標識(当時は西八代郡中道町・上九一色村の境界だった)、そして中道往還についての案内看板がある。展望は特になく、わりに殺風景な感じ。
下りはちらりと富士山と南アルプスが見えるが、それ以外はあまり展望はない。やはり途中から道は舗装になる。やがて右下方に芦川が見えてくる。そして再び国道358号線の轟音が近づく。
結局こちら側にはゲートのないまま、国道358号線に合流。標高は500mあまり。おれはここからは芦川沿いに三珠まで下った。あたりはのどかな農山村。こうして見ると、右左口峠は盆地と山間部を隔てる峠だとも言えそうだ。
2003年6月19日初版 / 2006年3月6日更新