太良ヶ峠

豪快で素朴な展望峠

読み方たらがとうげ
標高1110m
位置山梨県甲府市・山梨市
道路山梨県道31号線
水系富士川

実走日2006年10月28日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図

太良ヶ峠は甲府盆地の北側にある峠である。夜景の名所として知られ、かつ地図には堂々とした主要地方道の線で書かれている。と来ればあまり魅力的には思われないが、何とおっしゃるウサギさん(いつものパターン)、実はこの峠は探訪派にこそお薦めしたい峠なのである。

過激な路面と急坂、山村風景、甲府盆地の展望、そして峠の前後での異なる雰囲気と、なかなか特徴が多く、走っていて飽きることがない。

なお太良峠とか多良峠というような表記も現地では見かけた。どの表記がいいかわからなかったので、国土地理院の地形図にならって太良ヶ峠で載せておく。

上積翠寺集落入口から甲府市街を見下ろす

甲府側の麓といえる甲府駅の標高は274.8m。ここから武田通りという通りをじりじりと上りながら進む。やがて武田神社(躑躅ヶ崎館の跡地)に突き当たるが、左折、次いですぐ右折して武田神社の西を相変わらずじりじりと上る。

ここまで来るとだいぶ風景は田舎めいてくる。下積翠寺の集落は旧道がある(やや迷いやすいが)。

さらに進んで上積翠寺の集落に来ると、これまた旧道がある。これまでも眺めはあったが、ここでも甲府盆地が見える。


1車線コンクリート舗装の急坂

上積翠寺で標高は500mを超える。集落を抜けて温泉旅館要害を過ぎると道はコンクリート舗装の1車線に。何となく扉峠に雰囲気が似ているかもと思う。

この区間の勾配は本当にきつい。路面も荒れているのでこちらに下るのはけっこう嫌なものだろう。隣には川が寄り添う。ヒノキの林の中である。背後の眺望はもうない。

やがて正面の山腹はるか上にこれから行く道のガードレールがちらと見えてくる。標高差は250mくらいか。それを過ぎるとヘアピンカーブがある。


甲府市側1030m付近の上り

ヘアピンカーブを越えると道は再び2車線に。勾配も普通になる。少しあたりが開け、集落が見えてくる。その集落の向こうの鞍部や、山腹をめぐるガードレールも。あまり標高差を感じない眺めではある。

のどかそのものの集落を過ぎ、ぐるりと山腹を巻いて上る。これまで上ってきた道と遠くの市街地を逆光の中に見下ろす。なかなか決定的なビューポイントはない。

この写真だが、おれは右手下方から上ってきて左手に抜け、左からこの撮影者の位置に上ってきたところである。ここからは右手に進み、右旋回して撮影者の背後を左へ行き、やがて写真の左手に写っている鞍部へと至る。


甲府盆地の眺め

やがて道は再び狭くなる。アカマツが路上を覆う。風越峠青木峠を思い出す。

松本に住んでいた当時はこういうのは当たり前の峠道だと思っていたけれど、今思うと東京に引っ越してからアカマツのたくさんある峠を走ったことはほとんどない。

アカマツは一時的で、そのあとは広葉樹も見え始める。ちらと背後の雲の上に南アルプスの峰が見え、その高さに驚く。

右手に決定的な眺望があり、そこが鞍部だった。左曲がりの浅い切り通しになっている。なるほどこりゃ夜景スポットになるのはわかるが(ここまでの道路の整備状況を考えに入れなければだが)、南向きなので昼間の眺望は逆光になってしまうようである。

そうはいってもこの日はかすみすぎ。


切差の集落

下り始めてじきに道は2車線になる。正面に大菩薩嶺が見える。そしてのどかな山村がある。峠のどちら側も、結構な標高に集落があるので驚かされる。

集落の中を激しいヘアピンターンで下り、振り返ってまた驚く。これはミニ下栗(しらびそ峠参照)と呼んでもいいような景観だ。


首地蔵

広狭混在で下っていくと、左に巨石に頭を載せたような奇妙な石仏がある。首地蔵というもので、巨石の下敷きになった少女を供養するために上に首だけを載せた……とのこと。移動させようとしたら祟りがあったとも看板に書かれている。

ここを過ぎるとすぐにフルーツラインと交差する。下りは直進だが、もしも眺望で有名なほったらかし温泉に行くのであれば、右折してしばらく行ったところにある笛吹川フルーツ公園の中をひたすらアップ! アップ! アップ! だ。ちなみに立て看によるとほったらかし温泉の位置を間違えているカーナビがあるらしい。

個人的には、この温泉には二度と自転車では行きたくない。

この交差点の標高は490mほど。笛吹川にぶつかるまで下ると標高は360m程度になる。

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2006年12月22日初版 / 2013年12月26日更新