松姫峠
断崖絶壁を行く大スケール峠
読み方 | まつひめとうげ | |
---|---|---|
標高 | 1240m | |
位置 | 山梨県大月市・北都留郡小菅村 | |
道路 | 国道139号線 | |
水系 | 相模川・多摩川 | |
実走日 | 2007年5月26日(土) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
松姫峠は大月から北に抜ける国道峠である。地図上の道筋は確かに魅力的なのだけれども、トンネルが多いことや、139という比較的立派な番号を持つ国道なので敬して遠ざけてきたような面はあった。しかし行ってみて思ったのは、そのような態度は非常に浅はかであったということだ。
まず、路線番号の割には交通量はとても少ない。そして特に大月側の断崖絶壁の風景は大迫力で走り応えもあり、まさに大物峠である。探訪派にもそうでない峠好きにもお勧めできる。
なお、松姫というのは武田信玄の娘で、武田氏滅亡時に恩方(現在は八王子市)に逃亡した人物である。この峠道が脱出路だったのかどうかはよくわからない。
おれは大月側から上った。地図を見ればわかるが、大月の市街地から国道139号線を走ると岩殿山の裾野のアップダウンを越えなければならない。そこでおれは少し東の猿橋から上ることにした。猿橋駅の標高は324.9m、ここからだと900m程度のアップである。
県道505号線を走って国道139号線に合流する。2車線あるがすごく整備されているという感じではない。勾配は多少の下りも混じるがおおむね緩いステディな上り。集落が道沿いにぽつぽつと続く。山は緑に映えて美しい。交通量も思いのほか少なく気持ちいい。
しばらく行くと深城ダムに上りつく。いかにも新しい感じのカーブした道で進んでいく。ダムの後は左に深城ダムのダム湖が広がる。標高は600mあまり。
ダム湖を過ぎて少し行くとトンネル工事をしている。看板によると松姫トンネルという名前で、長さは3066mとのこと。それを過ぎると松姫峠名物のループのトンネルである。この峠道のトンネルはどれも広いし交通量も少ないのであまり心配はいらないようだ。
トンネルを抜けるといよいよ未整備な区間に突入。1.5車線の明るい道である。林の中の区間もあるが長くはない。ここまで来ると勾配はそれなりにきつい。
ちなみに、この日の写真の空が妙に白っぽいのは黄砂のせいである。
与太話だが、この峠では随所に塩カリ置場なるものがある。塩カルなんじゃないのかそれは。それとも本当に塩化カリウムが置かれているのだろうか。
さてその明るい道には、これという展望ポイントはないが、これまで上ってきた道を見下ろす箇所は随所にある。相当な高度差であるが(おそらく最大で400mくらい)、それ以上に見下ろす道が変な角度に刺さっているように見える。その道はどちらが上りなのか直感的にわからないのだ。
ちなみに道の西側の谷の向こうには大菩薩嶺が見えているはずであるが、これを書きながら写真を見てもどれがそれかはよくわからない。
さてやがてカラマツが涼しげな鞍部に到着。右側に峠の石碑がある。左側には小さな駐車場があり車が数台停まっている。ハイカーの基地か。それと左側にはトイレもある。水は雨水で動力は太陽光という現代風なものだ。
ところで、ハイカーが使う峠であることから考えれば、先の松姫トンネルが開通したとしてもこの峠道が閉鎖されることはないだろう。
下りはやはり明るい緑の中を行く。舗装はやや悪くひびが入っている。やがて眼下の小菅の市街地とその向こうの尾根線の眺めが開ける。
鶴峠への道を分け、小菅の湯(温泉)の入口を過ぎて、小菅川を渡って突き当たりに到達する。標高は650mあまり。奥多摩へ抜けるならば右折で、今川峠で丹波山に抜けるならば左折である。この付近には雑貨屋が何軒かあるので買い物もできる。
2007年6月8日初版 / 2007年9月28日更新