日向坂峠

深い森と断崖の舗装林道峠

読み方ひなたざかとうげ
標高1460m
位置山梨県笛吹市
道路林道蕪入沢上芦川線
水系富士川

実走日2010年6月6日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

日向坂峠は、甲府盆地と芦川筋を分ける尾根を越える峠のうち、最も東側にある峠である。芦川の最上流部に位置し、標高も高い。

標高相応のスケール感のある峠であり、特に甲府盆地側から上ると標高差が相当あるのでかなりきついはずである。林道らしい雰囲気はいいが、6月初旬頃は沿道のスズラン群生地がやや混雑する。おれが行ったのはこの時季だが。

上芦川

おれは標高差の小さい芦川側から上った。かつては自転車で訪れるのはかなり面倒だった芦川上流域だが、今は河口湖から若彦トンネルという長いトンネル(2615m)で一発で来れるので、非常に楽になった。富士急行の河口湖駅(標高853.7m)まで輪行すればいいからだ。

さて河口湖から若彦トンネルを抜けて下ってくると、ちょうど県道36号線が鳥坂峠に向かって折れ曲がるあたりに出てくる。その手前で右折して日向坂峠に向かう道もあるのだが、おれはいったん県道36号線に入り、大きなケヤキの下を通って芦川の右岸の道を行く。完全1車線で急勾配の集落道だ。

しばらく屋ごみと畑の中を進むと、さっきトンネルから下ってきたときに右に分かれていった道に合流する。標高は960mあまり。


スズランをかたどった街路灯の下を行く

ここにはスズラン群生地までは3.5kmという看板がある。ここからは道は多少整備された感じになる。幅は狭めの2車線くらい。ときどきスズランの花をかたどった街路灯が建っている。

明るい林の中が多いが、右側に芦川の谷が下流側に向かって開けていくという感じの展望も少しある。勾配はけっこうきつい。交通量はそこそこある。それは覚悟していたが、観光バスが走ってくるのには驚く。その一方でリスが道を横切っていくのも見る。


スズラン群生地スズラン

やがてスズラン群生地の駐車場に到着。かなりの車が停まっているが殺気立ったような感じはない。自転車を停め、駐車場から階段を下りてスズラン群生地へ向かう。その途中の林の中に茶屋がある。それを過ぎてシラカバが立つスズラン群生地に到着。

林床は一面緑で、一見花は何もないようにも見える。しかし歩きつつよく見るとスズランの白い花がぽつぽつあるのがわかる。あまりまじまじと見たことは今までなかった。こうして見るとアセビなどよりもずっと凝った造作の花である。


ひび割れた舗装の道を行く上ってきた谷間への眺め

さて再出発。ここからは路面はびきびきにひび割れたコンクリート舗装になり、やや走りにくくなる。勾配はやや緩くなった感じか。通行はほとんどなくなる。

相変わらず林の中だが、だんだんとこれまで上ってきた谷を見下ろすような部分も出てくる。しばらく行くと左下にさっきの駐車場を見下ろす。車のエンジン音や人の話し声が聞こえる。


鞍部

それを過ぎるとすぐに鞍部だった。とてもあっけない。意外とスズラン群生地の標高が高かったということだろう(何しろさっきの駐車場の標高は1330mもある)。

黒坂峠で見たのと同じタイプの林道看板があり、林道 蕪入沢上芦川線とある。また山歩き用の道標もあり、そこには日向坂峠(どんべえ峠)という文字がある。ちなみに登山客のものと思われる自動車が2台ほど停まっていた。


御坂側への下り甲府盆地を見下ろす

さて出発。路面はきれいな舗装である。最初はまだ上りが続き、1460mの最高所を越える(鞍部は1450m)。

右手に明るく広い谷が開け、その向こうに盆地の切れ端が見える。やがて眺めは左に移る。もやっているのが残念だ。空気が澄んでいれば盆地の向こうの山並みも見えたのだろうが。

谷の向こうに山腹を縫って下る道筋を見たりしつつ下る。なかなか雄大かつ豪快である。断崖路であり、ガードレールの向こうに落ちたら100%死ぬだろう。そういえばここのガードレールは木材を使っていてちょっと変わっている。


林の中の下り

やがて展望はなくなり、やや暗い林の中の下りになった。あまりかっ飛ばせる区間はない。途中、道路の真ん中で自転車ごとひっくり返っている自転車野郎がいた。暑いのときついのはわかるけど、轢かれるよ。

やがて国道137号線(御坂みち)にぶつかる。標高は790m。左折して甲府盆地へと下る。40km/h内外で進む。走りにくいということはないが、交通量はとても多い。谷が広がり扇状地が始まるにしたがっていろいろな道が出てくるが、笛吹川に突き当たるまでとにかく下りが続く。

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2011年2月24日初版