地蔵峠
深い森と秀峰の眺めの峠道
読み方 | じぞうとうげ | |
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標高 | 640m | |
位置 | 山形県西村山郡大江町・西川町 | |
道路 | 林道真室川・小国線(南側)・林道地蔵峠線(北側) | |
水系 | 最上川 | |
実走日 | 2015年7月12日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
同名峠 | 地蔵峠(関東)・地蔵峠(長野県-裾花川筋・土尻川筋)・地蔵峠(長野県-伊那東部)・地蔵峠(長野県-木曽) |
地蔵峠は山毛欅峠の北隣にあり、基本的に道がつながっていて途中にエスケープルートがないので、まとめて越えることになると思われる。両者の峠道本体の雰囲気はよく似ている。しかし、山毛欅峠の南麓には狭い無人の峡谷の区間があったが、この地蔵峠の北麓にはそういう区間はなく、やや開けた風景と集落があり、そのせいで印象はかなり違う。
峠道としてはあまり印象のあるものではないが、山の眺めのある人里の田舎道としては、走っていてなかなか楽しい道だというふうには思った。
前日に山毛欅峠を越えてきて古寺(こでら)で野営したおれは、この日は早朝に起きてさっさとこの地蔵峠を越えることにした。理由は簡単で、暑くなりそうだったからだ。
出発の準備をしている間、5時台から通りかかる自動車がぽつぽついたのには驚いたが、そういった車はみな北(つまり地蔵峠)からで、南(つまり山毛欅峠)からのものは皆無だった。地蔵峠へは山形盆地からは大井沢トンネルの道(県道27号線)を経由すると比較的到達しやすいので、そのせいなのだろうと思う。もちろん真相は知らない。
古寺の標高は540mほどあるので、地蔵峠への上りは100m程度しかない。こんなのは楽勝だろう。出発出発。
昨日の山毛欅峠と同じように2車線の整備された道が続く。一晩休んだのが効いたのか、気温が低く日陰がかなりあるのがいいのか、昨日(へばっていた)とは打って変わってするすると上っていくことができる。
これも山毛欅峠と同様に深く切り落とされた法面があり、おそらくは緑化木として導入されたのであろうイタチハギが跋扈していて、少々薄気味が悪い感じもする。
急峻ではないがS字状の折り返しがあり、正面に残雪の山が見える箇所がある。今調べると小朝日岳のようだ。
やがて行く手に丸太の山を見上げ、その右脇をすり抜けると鞍部。想定通り楽勝だった。大江に行く道が分岐していて標識もあるが、この道はおそらくこの先で合流する大井沢トンネルの道の旧道だろう。
下り始める。同じような道が続く。最初は右側に谷があり、濃い木立の中というわけでもないのだが、眺めはよくない。少し下ると大井沢トンネルから来た県道27号線に突き当たる。看板によるとここまで来た道はふるさと林道地蔵峠線で、山毛欅峠と同じ大規模林道ではなかったらしい。
そこから少し行くと寒河江川を渡り、少し開けた農地が始まる。集落もある。不意に正面にまだらの残雪をかぶった雄大な月山が見えてきて、大山の見返峠のときのように、待ってろ月山!と一気に気分が盛り上がる。
と言うのは、このあと月山の西側の稜線を越える大越を走るつもりだったからだ。正確には大越は月山そのものではないけれど、そのときはそういう気分だった。
振り返るとこれまた見事な残雪の朝日連峰が見える。
この写真だと、右側にあるのが北寒江山、左端の真っ白な山腹があるのが西朝日岳、というような具合のようだ。
その静かで爽快な風景の中を、がしがしペダルを踏んで突っ走る。どこか樽口峠の道(正確には県道260号線)に似た感じがある。
やがて朝日連峰は見えなくなり、一方で月山はどんどん大きくなってくる。見れば見るほど異様なほどの秀峰に見えてくる。これだけの山があれば地元の人々はさぞ鼻高々に違いないだろう。
しばらく行くと集落は途切れ、右側にダム湖(月山湖)が現れる。そこには山形道の大きなコンクリート橋(大井沢橋)が架かり、その向こうには国道112号線の鉄トラス橋(大暮橋)が架かり、そしてその向こうには月山があってその姿を湖面に映している(2016年6月23日の表紙写真参照)。
大井沢橋の下をくぐり、ここで県道27号線は国道112号線に突き当たる。標高は420mくらい。
左折すると山形道か月山道路に入るので、自転車には右折しか選択肢がない。しかし、大暮橋を渡ったところには、直進すれば寒河江川沿いに下って山形盆地、左折すれば大越経由で庄内平野、という分岐がある。おれは左折して大越を目指した。
2015年10月22日初版 / 2016年6月23日更新