一ツ森峠
いわゆる白神ラインの最も西側にある峠
読み方 | ひとつもりとうげ | |
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標高 | 690m | |
位置 | 青森県西津軽郡深浦町 | |
道路 | 青森県道28号線 | |
水系 | 追良瀬川・笹内川 | |
実走日 | 2011年7月23日(土) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
青森県道28号線、いわゆる白神ライン(津軽峠でやや詳しく書いたのでそちらも参照してください)を東から走ると、3つある峠のうちこの一ツ森峠を最後に越えることになる。2つ目である天狗峠との間にはエスケープルートはないので、天狗峠とセットで越えることになる。
個人的には、最後に越えたからだと思うが、3つの峠のうちこの一ツ森峠が最もきつかった。
この峠名は、一ツ森という名前の山のすぐ脇の尾根を越えるからついているのだと思われる。
天狗峠から下りてきて追良瀬川を渡ると、この一ツ森峠の上りが始まる。架かっている追良瀬大橋は、鉄のトラスは立派だが、赤石大橋よりも短く、高さも低い。谷も狭い感じがする。ここでも河床は赤っぽい色をしている。なお鞍部はだいたい正面の斜面の上にあるということになるが、いかにも遠い。
ところでおれは、青森県にはおいらせ川がふたつもあるのか? と驚いたのだが(十和田湖は奥入瀬川水系だ)、きっとこれも例によって百万人目だろう。
橋を渡ったところからダートが始まる。標高は260mあまり。
ダートが始まるといきなりヘアピンカーブの繰り返しで斜面に上りつく。天狗峠の下りと同じように路面は深砂利だ。多いわけではないが、ここまで見かけなかったと思われるカラマツの木がある。
天狗峠の道のコンクリートの被覆を見る箇所はあるが、眺望はあまりないと言えるだろう。また沢を横切るところが多く、そのたびに滝を見かけるのは、津軽峠や天狗峠とは異なるところだ。
はじめは追良瀬川の水音が聞こえるが、やがてそれは聞こえなくなる。セミの声もしないので静かである。
それにしても同じようなカーブが続き、橋やトンネルなどの対照物がないので、自分がどこにいるのかわからなくなる。こんなことを書くのは、鞍部はすぐそこだと思っていたら、実は自分が地形図の読図を誤って実際以上に先に進んでいると勘違いしていたことが発覚して愕然となったからだが。
最後は根性で鞍部に到着。一ツ森峠の標識がある。かつては岩崎村の標識もあったのだろうが、台座を残してそれはなくなっている。
岩崎村(西津軽郡)は2005年に深浦町との新設合併により消滅している。
さて下り始めるのだが、実はあと少し上る。この峠道の最高所は、さっきの鞍部(分水界)ではなく、一ツ森という山の東側の鞍部を越えるところにある。もっとも分水界の標高が680mで、最高所の標高が690mなので、別にどうということはない。
下りも路面は悪い。左側に谷があるがあまり眺めは開けない。滝が多いのは上りと同様だ。ふと気づくと、路傍ではナナカマドが青い実をつけている。前日から4つの峠(釣瓶落峠、津軽峠、天狗峠、そしてこの一ツ森峠)を越えてきて初めて気づいたが、他の峠にもあったに違いない。
しばらく行くとトイレがあり、そこからは舗装となる。やがて白神岳展望所がある。谷の対岸のさらに奥に白神岳が見えている。その遠さがちょっと神秘的にも思える。
そこからはまたダートだ。ぽこんとした一ツ森を見上げ、笹内川の谷に下りていく。ヒグラシの声がしてくる。
やがて道はまた舗装になり、道は笹内川の川沿いの下りになる。水は清冽で石はやはり赤っぽい。その清流を眺めながら、生暖かい逆風を受け、重いギアで30km/h以上の速度で飛ばしていると、一日続いた苦難の峠道もついに終わったんだなという実感がじわじわと湧いてくる。
笹内川沿いの下りはなかなか長い。林の中を抜けて気がつくと、正面に日本海が見えている。やがて国道101号線にぶつかる。もちろん標高は10mを切っている。
2012年1月26日初版