春分峠
シンプルなダート峠
標高 | 730m | |
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位置 | 高知県高岡郡四万十町・檮原町 | |
道路 | 高知県道322号線 | |
水系 | 渡川 | |
実走日 | 2009年6月15日(月) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
春分峠は四万十川本流筋とその大支流である檮原川筋の谷を隔てる尾根にある峠である。位置的にはそれなりに使いでのある峠道だと思われる。そこそこ長いダートの道が続くが、ひどく淋しいとか人跡未踏とかそういう感じはない。そういう意味で普通の感触の峠である。
むしろ変わっているのは名前だろうか。これは、(知らずに現地に行って由来を知るのもいいと思うがあえて書くと、)開通式の日付に由来するものだそうである。同じように変わった名前の、熊本のアポロ峠とどこか似た謂れだ。
おれは北から県道19号線を四万十川沿いに下ってこの峠の麓にやってきた。四万十川については、前に目に映るものすべてが透き通って見えるなどと書いたわけだが(鬼が城山参照)、今回思ったのは視界に川自体が入らなくても美しい、そんな川だということだ。おいおいそれは単に川とは無関係に周囲の風景が美しいということじゃないのかと自分でも思うが。
橋を渡って県道322号線に入り、ここからは四万十川の支流である日野地川の谷をつめていく。最初だけ、日野地川沿いにも四万十川本流沿いと同じような田園風景が広がる。橋の標高は240mあまりである。
松葉川温泉に行く道を対岸に分けてこちらは日野地川の右岸を遡る。分岐点には標識があり、これから向かう先が松原だと書いてある。これは峠の向こうの集落の名前であり、少しこの峠の風格というものを感じる。
だらだらとした上りである。最初は田んぼが道沿いにあるがそれもじきになくなる。対岸の道路の気配もなくなり、知らないうちに完全な峠道になっている。道端にはまたたびの白い葉がちらほら目につく。ヒノキの木が多く植えてあり、林業地帯っぽい。
折り返して上り始め、標高450m付近からダートが始まる。ところどころ山並みの眺めがあるところはあるが、基本的には林の中である。ダートの路面はまずまずの走りやすさだ。その中を丸太を満載したトラックが下りてくる。すれ違うと砂塵の中に木の香りが漂う。
標高640mのヘアピンで支線を分岐させると路面には尖った石が多くなりやや走りにくくなる。
やがて春分峠に到着。春分峠の大きな木の標柱がある。この峠名は1968年3月20日の春分の日に開通式をしたことにちなんで高知営林局長がつけた……と書いてある。遊歩道もあり、近くにアカガシの巨木があると書かれている。
この鞍部には、異常気象時通行規制区間起点の立派な標識が建っている。えっとここまでは違ったんですかという感じだが、どうやら途中からここまでは県道322号線ではなかったようである。
下り始めても尖った石のダートが続く。中津川へ向かう林道を左に分けても同様だ。右手に展望が開ける箇所もあるがひたすら山山山だ。
しばらく下るとカーブの向こうから舗装が舌を伸ばすように延びてきているのが見えてくる。両手で同時にシフトアップを行い、加速して下る。やがて松原で国道439号線に突き当たる。標高は250mあまり。パン屋があるが、それ以外には特に店がない。食料の調達には気をつけたほうがいいだろう。
2009年8月6日初版