六地蔵峠

意外と大スケールな田舎道峠

標高540m
位置徳島県三好市・香川県三豊市
道路香川・徳島県道6号線
水系吉野川・財田川

実走日2007年4月15日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

六地蔵峠は、東山峠と同様、阿讃山脈(讃岐山脈)を越える数ある峠のひとつである。幹線道路である国道32号線の猪ノ鼻峠をはさんで、東山峠とはほぼ正反対の位置にある。

おれは十年来四国といえば京柱峠と坪尻駅と思っていて、前者には前日に行ってしまったのでこの日は坪尻駅を目指していた。この峠を越えたのはそのついでだったわけだけれども、これが予想外によかった。未整備な道の雰囲気、歴史を感じさせるオブジェクト、標高以上の険しさ、……などなど。

吉野川を見下ろす

おれは南の池田側から上った。坪尻駅経由で行こうとしているので国道32号線経由ではなくそれとは谷を隔てて反対側の急斜面を上らなければならない。これには大縮尺の地図が絶対不可欠的に必要だ。

池田からはまず国道32号線の四国中央橋(ビッグな名前だ)を渡る。渡って左折して少し行くと上り口があり、パノラマロードという小さな看板が出ている。さあ登坂開始だ。

ここの上りはめちゃくちゃ急である。道幅は1車線しかなく、自動車との離合時には停止する必要がある。それにしても京柱峠よりもはるかに交通量が多いのは少しおかしい。

一気に眼下の眺望が開けてくる。それを見下ろす小さな墓地がやたら多い。


入体

しばらく上ると入体(にゅうたい)への分岐がある。その道に入っていくとそれまでの吉野川方面の眺めは去り、代わりにその支流の鮎苦谷川沿いの眺めが現れる。谷の向こうには国道32号線の猪ノ鼻峠の峠道が見える。登坂車線もあり幅は広い。それにしても自動車の騒音がうるさい。

道は純然たる斜面の集落道であり、ちょっとツーリングで来るような道ではない。しかし二輪車が2台やってきて追い抜いていった。まさかではない。間違いなく彼らも坪尻駅だろう。

ところで坪尻駅というのは、鉄道以外で到達することが困難だと言われている点、スイッチバックの駅である点がよく知られた魅力であり、それでこうしてめいにあっくな旅行者を引きつけているわけなのだ。


坪尻駅(多度津側を臨む)

集落が終わると暗い林になる。しばらく行くと右側に坪尻駅と書かれた小さな看板があり、徒歩道が林の中を下りている。歩いて行ってみようか。

このような田舎の駅は交通弱者のために残してあるんだろうが、交通弱者の多くは足腰弱者でもあるだろうから、これでは何にもならないのではないか? そう思わせるほど、この駅への道はハードだ。たとえ大荷物ではなくても、ちょっと自転車を下ろす気にはなれない。さっきは同じくらいの標高だったはずの国道32号線が、はるか頭上になってくる。

観察日誌をあまり細かく書くこともないだろう。30分ほど滞在して道路へ戻る。道路へは標高差で90mくらいある。


上野呂内からの上りはじめ

そこからはまた林の中の道を進む。少し下って鮎苦谷川(あゆくるしだにがわ)を渡り、折り返して上って県道6号線に出る。

狭い2車線程度の道である。気づくと野山には桜が多い。家屋の周辺の桜やレンギョウやハナモモは植えたものだろうが、植えたものとは思われない桜の木も斜面にぽつぽつある。

上野呂内で折り返して峠道に入る。これはまた県道6号線という番号の道とは思えないほどに未整備な道だ。完全1車線で舗装は荒れ、路面の中央にはコケが生えている。通行はほとんどない。


道端の桜鞍部

これまで上ってきた道を見下ろしたりしつつ進む。気分はいい。空は薄曇りだが、こういう花咲く峠道には薄曇りも似合っているかもしれないと手前勝手に思う。

やがて深い切り通しの鞍部に到着。道路の右側に小さな祠があり2枚の石板が立っている。祠の屋根の下に説明書きがあり、それによると、左の石板が6つの地蔵が刻まれている六地蔵。右が不動明王である。この説明書きによると、もともとこの六地蔵はもっと北の徒歩道にあったのだが、この県道が改修されたときにこちらに引っ越してきたとのこと。

この説明書きでは、この峠のことは六地蔵峠という名前で言及しており、それでこのページの名前もそうなっている。


北側への下り

さて下り始める。道は多少よくなる。峠のこちら側にも桜は多い。これから下る道筋を左手に見下ろし、やがて今度は逆に右手上方にさっき下ってきた道を見る。


讃岐平野方面への眺め

やがて前方には讃岐平野の眺めが出てくる。大した標高ではないのにスケール感のある峠だ。なお18%の勾配標識がある区間もあった。

じきに道幅は広がり集落やため池が沿道に出てきて、峠道は終わる。琴平へ行く国道377号線にぶつかると標高は40mほど。

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2007年7月20日初版 / 2010年4月7日更新