京柱峠

四国を代表する未整備国道峠

読み方きょうばしらとうげ
標高1130m
位置高知県長岡郡大豊町・徳島県三好市
道路国道439号線
水系吉野川

実走日2007年4月14日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図

探訪派に四国の峠をひとつ挙げさせたとすると、この京柱峠が出てくる確率がかなり高いのではないだろうか。四国の名物国道439号線を代表する峠であり、同時に(ある意味で)四国を代表する峠でもあるだろう。

では実際行ってみてどうだったか。確かにものすごい田舎道だ。眺望もよい。しかしこの峠が四国の代表であるならば、それは四国の中で飛び抜けた峠であるからではなく、むしろ典型的な四国の峠だからだろうと思った。それはもちろん悪い意味ではなく。

南小川の谷を見下ろしつつ進む

この峠の高知県側の入口は、吉野川本流沿い、土讃線の豊永駅(標高212.3m)のあるあたりである。国道32号線にも京柱峠と書かれた標識があるので間違えることはない。

踏切を渡って進む。最初は2車線あり広いダラダラ坂である。沿って進む川(南小川)の谷はおおむねまっすぐで見通しはよい。右手にその谷を、右前方に家々のへばりついた斜面を眺める。それは少し行って道が狭くなっても変わらない。

ちなみに交通量は非常に少ない。悪路なりに街道として使われているのではないかと思っていたが、そんなことはないようだ。


集落の中

道が細くなって最初の大きい集落が落合である。バイパスができているが集落内の道は本当に国道とは思えないほどに狭い。

次に大きい集落が西峰(という名前でいいと思う)である。ここには雑貨屋がありどうにか買い物ができる。案内看板によるとキャンプもできるようだ。地図上では相当奥まった集落だが、まだ標高は550m程度しかない。

それを過ぎるとそろそろ勾配は急になってくる。


標高810m付近から鞍部を見る

やがて谷沿いの集落の連なりはほぼ終わり、ヘアピンカーブでの上りが現れてくる。もう行く手の斜面にへばりついた家々も見えない。

鞍部の手前の最後の集落である沖の手前では、眼前に尾根筋が迫り、鞍部のうどん屋の建物や塔のような構造物が見えてくる。標高差は300mあまり。


沖の桜並木

標高850mほどの沖の集落では桜が道沿いに植えられ、ちょうど満開である。静寂そのものの山村に、やはり無言の桜の木々の風景の印象は、その静けさゆえにより一層鮮烈なものである。

それを過ぎて少し行くと京柱千本桜の木の看板がある。桜並木というわけではなくぽつぽつ桜があるという風情だが、残念ながらこちらはまだほとんど咲いていない。


鞍部

斜面をトラバースしていくと眼下にこれまで上ってきたV字谷が広がってくる。やがて鞍部直下のヘアピンにさしかかる。ここは公園のようになっていて、京柱峠千本桜の看板がある。桜やツツジやカエデが植えられているのだが、カエデの新芽以外はまだ早すぎる。

なおここには大きな屋根のかかった施設があり、バーベキューをやるためのものらしい。屋根の下に京柱讃歌という歌の歌詞が掲げられている。ここにはトイレもある。水場もあるが蛇口からは水は出ない。

やがて鞍部に到着。左側に小さな峠の茶屋(というかうどん屋)があり、外には西側の風景を見下ろしてテーブルつきのベンチと峠の看板がある。東側の眺めもいいのだがベンチ等はない。


鞍部から西側への眺め

鞍部から西側への眺めは、上りの最後の区間で眺めた風景と同様のものである。南小川の谷とそこに点在する集落を見下ろし(沖の桜並木も見える)、上方には梶ヶ森をはじめとする山並みを眺める。右手には石鎚山が霞みつつもかろうじて見えているかどうか、というところだ。

ちょうどここに来ていた地元の人は、まっことよう見えると連発していたので、今日は眺めのいい方らしいのだが、午前中ならもっとよかったかもしれない。もっとも、この峠はどちらから上っても相当高度差があるので、午前中に鞍部に到達するのはそれほど簡単ではないだろうが。


鞍部から東側への眺め

鞍部から東側への眺めも似たような雰囲気だが、谷は折れ曲がっていてまっすぐではない。また見えている山は矢筈山、天狗塚、白髪山だけで、遠くの剣山本体は角度の条件で見ることはできない。


迂回路案内図

徳島県側に下り始めると、とたんに舗装の状態が悪くなる。1車線舗装は同じなのだが、アスファルトにひびが入っていたりするのである。鞍部から眺めたのと同様の谷の眺めを見つつ進む。

標高が1000mを切るあたりに、この先で工事をしているので迂回を、という看板が出ていた。ええー? 峠道の迂回路というのはたいていとんでもないハマりであるから、突破しようかと思ったが、工事しているのが橋梁ということなので思いとどまり、迂回路である林道樫尾線に入る。


国道迂回路からの眺め

林道樫尾線は最初だけほんの少し上りであるが、後は下りである。道路状況は国道とあまり変わらない。一気に谷底まで下る国道とは異なり、しばらく南向きの斜面を斜めに進んでいく。斜面に集落がへばりついている眺めは、高知県側も徳島県側も同様なようである。

林道が終わっても迂回路は続き、国道に合流すると標高は670m。これだけの標高差の区間に対して迂回路があるあたりが、いかにも斜面上に集落の発達した四国の峠道らしい。

祖谷川にぶつかるところまで下ると峠道は終わる。ここの標高は490m。ここには雑貨屋があるのでどうにか買い物もできる。

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2007年4月27日初版 / 2015年1月8日更新