朝が峠

瀬戸内海に一気に落ちていく田舎道峠

読み方あさがとうげ
標高490m
位置愛媛県大洲市・伊予市
道路愛媛県道54号線
水系肱川・豊田川

実走日2009年6月17日(水)
地図などGoogle Maps地図院地図

朝が峠は、大洲市街を流れる肱川の大支流である矢落川の川筋から一気に瀬戸内海に抜ける峠である。都市と都市を結ぶという意味合いはほとんどないので、とても静かである。矢落川沿いには味のある山村集落が点在しているし、瀬戸内海側には絶壁の下に穏やかな海を前にした漁村がある。滋味あふるゝ探訪派向けの峠道だ。

この峠を南から越えるならば、最初から矢落川の川筋を遡っていくのが正統派だろうが、県道が内子から延びているのと、自分自身が獅子越峠を越えてきて内子にいたということから、今回は矢落川の川筋に途中から入ってこの峠を越えた。

矢落川の谷の斜面を行く

ちょっとクラシカルな駅舎の(でも高架で台無しな)内子駅を出て左側に進んでいくと、←串と書かれた標識がある。それに沿って左折する。最初は主要地方道であることが信じられないほどの狭い道だ。里山の風景の中をぐいぐいと上る。普通の田舎道という感じだ。いったん上りきると緩いアップダウンである。

やがて行く手の矢落川の谷と山腹が見えてくる。谷底には県道230号線が通っているので、それを見下ろす開放的な道路というのを想像していたが、もっとひっそりとした感じである。山腹の集落を縫っていく完全1車線路。長野県道401号線(岩井堂峠参照)に似ていなくもない。

このあたりには、道端に清水があってコップが置いてあった。さっきの獅子越峠の深山の清水とは異なり、勢いよく水が噴き出している。


田処小学校

やがて道は下って柳沢で県道230号線を合流させる。山奥の集落だがAコープや小学校がある。標高はここまでの最高所が250mで合流点が160mほどだから、高度を90mほど喪失したことになる。

ここからは谷底の道だ。山村集落が断続し、のどかな風景である。途中の田処小学校は体育館が木造でとてもレトロである。もっとも、おれが卒業した小学校もあんなものだったが。


大洲市と伊予市の境界

やがて集落も尽きて林の中の上りになる。またまた途中に清水がある。市境を越えて折り返して沢を離れ、じりじり上ると朝が峠の鞍部に到着。峠であることを示す標柱の類はないが、林道松尾朝ヶ峠線(だったと思う)の起点だという看板はある。


瀬戸内海を見つつ下る

下り始めるともう左手の木々の向こうが明るい。逆光の海は明るく、最初に見えたときには空に船が走っているようにも見えた。その向こうに島影がひとつ見える。今調べると青島という島である。

道は急斜面を折り返して下り、海は右になったり左になったりする。


豊田川上流域の眺め

下るにつれて足元の集落や学校なども見えてくる。海はすぐそこなのだが標高差がそこそこあるからなかなか海岸には着かない。斜面の集落の中の完全1車線路を下っていくのは楽しい。

やがて海沿いの国道378号線に到着する。これで峠越えは終わりだが、近くにある下灘駅(海に近いことで有名な無人駅。まあ、今では新潟県の青海川駅の方がはるかに近いと思うけどね)を訪ねるのも楽しみのひとつだろう。

おれはこの日は双海の潮風ふれあい公園のミニキャンプ場で野営をしたが、とても海の眺めがよくて、穴場発見という気分であった。ただ、標高が100mくらいあるから、上るのがけっこう大変だったのは確かだ。

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2009年12月3日初版