碓氷峠

風格のある緩やかな旧道峠

読み方うすいとうげ
標高960m
位置群馬県安中市・長野県北佐久郡軽井沢町
道路国道18号線
水系利根川・信濃川

実走日2010年5月21日(金)
地図などGoogle Maps地図院地図
関連書籍信州百峠峠への挽歌峠で訪ねる信州日本百名峠

碓氷峠は群馬県から軽井沢に一気に上る峠である。かつての東山道や中山道の道筋にもあたる。1997年までは国鉄・JRの信越本線が通っており、国鉄・JR最急勾配の66.7‰があったことでも知られる。……碓氷峠はとても有名な峠であるから(野麦峠とどっちだというレベル)、実際このようなことを書く必要があるのかどうか。

道路としては、1971年に国道18号のバイパス(入山峠経由)が開通し、碓氷峠の道は旧道となった。184ものカーブがあり、鉄道の遺構もある旧道ということで、いかにも面白そうである。が、宮脇俊三氏が日本鉄道名所シリーズ(書籍)で、バイクが多いので短くても歩くのは絶対に危険だと書いていたので、長いこと敬遠してきた。しかし、今回は、晴れた平日に出かける機会を得たので、走ってみたのであった。

現在の碓氷峠の峠道が開かれたのは1884年のことで、それまでの峠は現在よりももっと北にあった。そこは現在では旧碓氷峠と呼ばれ、軽井沢側からは車道が通っている。碓氷峠を紹介している書籍では、こちらが扱われていることが多い。おれが今回訪れたのはそちらではなく、あくまで新しい碓氷峠の方である。

横川の手前で妙義山を見る

この峠の群馬県側の麓は安中市の横川である。おれは高崎からここまで自走した。道路地図をよく読みながら進めば、交通量の多い国道18号線はほとんど走らずにすむ。その途中、行く手に妙義山を見る。最初は右前方に見えておやおやと思うが、横川の手前でそれは左後ろに去っていく。

横川では鉄道の横川駅(標高386.6m)に立ち寄る。ここはかつては軽井沢まで列車の後押しをする機関車を連結する基地だったわけだが、1997年にその区間の鉄道は廃止されたので、今ではただの田舎の終端駅である。ただ、駅の軽井沢側には碓氷峠鉄道文化むらがあり、当時の車両に見たり触れたりができる。あと、駅前のおぎのやでは有名な峠の釜めしを買うことができる(店内での食事もできる)。


カーブ1フジとミズキを見つつ進む

さて横川駅を出発し、交通量の多い国道18号線に入る。しかしすぐそこが旧道への分岐である。インターチェンジのようになっており、意外なことに旧道は左である。がくんと交通量は少なくなる。道がまっすぐで、とてもそこはかとなくレトロな坂本宿を過ぎると、ついにカーブ1の標識が出てきた。

道はやや狭めの2車線。くねくねと曲がりながら進む。やや下方の廃線跡(舗装されている)と交錯しつつ進む。沿道の緑が美しい。フジ、ミズキ、トチノキ、そして正体不明の白い花がたくさん見られる。ちらと坂本宿を見下ろすところはあるが、それ以外はほとんど展望はない。

勾配は緩く、北海道の峠のようにさくさくと走ることが可能である。


めがね橋

碓氷湖(坂本ダムのダム湖)の脇を過ぎて少し行くと、見上げるような高さにめがね橋が見えてくる。カーブ34のあたりだ。小さな駐車場もあり、車が何台か停まっていて、静かな峠道でここだけ観光地ムードがある。

おれも自転車を停め、歩いて上ってみる。随分高い橋のように思えるが、上るのは特に苦ではない。橋の上からはかすかに平野の端が見えたように思えた。

なおここまで舗装されて遊歩道になっていた廃線跡は、ここより上は通行止である。ちなみに廃線跡は自転車で走ることは禁止のようだ。

このめがね橋は正確には碓氷第三橋梁というものだ。1997年の廃止まで使われていたものではない(1963年の碓氷新線の開通により放棄された)。


シンプルな上りが続く

さて出発である。カーブの標識は相変わらず続くが、古いものが混ざるようになる(それらはC=60のような表記になっている)。

引き続き緩い勾配の道を上り続けると熊ノ平だ。かつて鉄道の信号場があったところだ。道路から信号場に上がれるようにはなっていない。架線がちらと見え、列車が走って来てもおかしくなさそうに見える。

熊ノ平を過ぎると勾配はややきつくなる。それでもたいしたことはないが。また花はほとんどなくなる。

まあ勾配はせいぜい6.67%だしな……というのは、鉄道についての多少の知識があれば、誰しも上りながら考えることだと思う。


鞍部

やがて左側に谷が広がり始める。低い尾根と広く浅い谷が見えるばかりで、特段展望と呼ぶものでもない。

カーブ184をクリアして鞍部に到着。有名な峠のわりには特に何もない鞍部である。それにしても楽な峠だったが、時間はそれなりにかかっている。

ここには旧碓氷峠への分岐がある。ここから軽井沢駅(標高939.1m)まではほとんど下りはない。

おれはそのまま中軽井沢まで行ったのだが、その途中で交通量がかなり増えたので驚いた。まあそれには碓氷峠の交通量が驚くほど少なかったということの反動もあるのだろうが。

© 2010-2015 tfi72. All rights reserved.
2010年10月21日初版 / 2015年1月8日更新