月夜沢峠
魅惑の本格派鬼ダート峠
読み方 | つきよざわとうげ | |
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標高 | 1695m | |
位置 | 長野県木曽郡木曽町・松本市 | |
水系 | 木曽川・信濃川 | |
実走日 | 2002年6月2日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠 |
月夜沢峠は木曽の開田高原と梓川上流域を結ぶダート林道の峠である。林道井川雨畑線の山伏峠や椎矢峠ほどではないにしてもそれでも相当なスケール感を持ち、タイヤが滑るほどの強烈な急勾配深砂利道、頂上が見えるのになかなか着かないもどかしさなど、峠の苦しさ楽しさがここにはある。
普通の観光客はほとんど来ない峠だが、峠愛好家の間ではそこそこ人気があるようである。確かに、ただのダートの峠という以上の魅力が、この峠にはあるような気がする。この月夜沢峠という名前のせいか。それとも中山道の間道(抜け道)だったという歴史(書籍信州百峠による)のせいか。
開田側の麓の集落は小野原という。→月夜沢峠というような標識はたぶんどこにもないので、代わりにこの集落を目指して来ることになるだろう。
小野原には、土砂崩落のため全面通行止なる標識があったのだが、見なかったことにして進むことにした。ちなみに、この先も、一般の通行はご遠慮ください的な標識がたくさんある。旅人は歓迎されていないようである。
ちなみに小野原の標高は1180mほどある。標高差からするとこの峠越えは楽勝にも思えるのだが……。
しばらく左側に末川の渓流が寄り添う。最初は1車線の真新しい舗装の上を進むが、じきに舗装は切れてダートが始まる。勾配は緩いが、砂利が浮いており走りにくい。
谷底の緩勾配のダートが長く続く。明るい感じの林が連続し、同じダートでも大弛峠や椎矢峠とはかなり違う展開だ。
標高1360m付近で川を渡り、今度は月夜沢という沢の谷を詰めていく。それとともに坂はかなり急になってきた。砂利ダートだから、非常に漕ぎにくい。大弛峠なみかそれ以上のきつさである。
道は谷底から抜け出して山腹を折り返して突き進む。目の前には神坂峠にそっくりな笹原の稜線が見えてくる。振り返れば残雪の中央アルプスと御獄が見え隠れする。何とも雄大な感じだ。またこれも神坂峠に似て、側壁があちこちで崩壊し尖った岩が路面を覆っている。
写真は標高1520m付近で撮ったもの。完全に鞍部は視界内(というか、すぐそこ)である。でもここからがまた長い。
やがて勾配が緩くなり、浅い切り通しの鞍部に到着。北側は右側に谷が開け、その向こうにぽっかりと穂高連峰が姿を見せる。しかし思っていたほどの迫力じゃないなあとも思う。ちなみに写真の右のほうにあたまだけ見える雪山は、松本盆地でおなじみの常念岳である。
この峠は、相当な悪路なのだが通行は絶無というわけではなく、数台の乗用車とオフロードバイクに出会ったのだが、道の雰囲気のせいなのか、互いの間に妙な連帯感みたいなものが漂っていた。まるで登山者同士のそれのような。
下りは最初だけ広々とした右側の谷を眺めつつ行くが、長くは続かない。道はすぐに林の中になる。
林の中の道ではあるが、ところどころで正面にどっしりとした乗鞍岳を見上げる。開田側よりも木はよく茂っており、林というより森という感じだ。
地図上では距離は短いが、かなり長く感じる。県道39号線に突き当たるまでダートが続く。県道39号線に出ると標高は1300mほど。
2002年6月28日初版 / 2015年1月8日更新