扉峠
松本からビーナスラインに直登するきつい峠
読み方 | とびらとうげ | |
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標高 | 1660m | |
位置 | 長野県松本市・小県郡長和町 | |
道路 | 長野県道67号線 | |
水系 | 信濃川 | |
実走日 | 2001年9月16日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠・峠で訪ねる信州 |
扉峠は松本と東信を結ぶ峠としては最も南に位置する峠である。かなり険しく、どちらから上っても相当難渋するので、通過用としての価値はあまりないといえるだろう。ただ、ビーナスラインに直登するという意味では利用価値がある。
雰囲気としては、保福寺峠を現代風にした……という感じだろうか。悪路としての感触は保福寺峠と共通なのだが、優雅さのようなものは感じない。
この日は朝早く出発した。薄川の扇状地をダラダラと上っていくのだが、しばらくはなかなか家並みが途切れず、ぶどう畑がとりとめなく広がっている。朝早いのだが、ぱらぱらと自動車の通行はある。
ふと振り返ると、灰褐色のもやの中に赤銅色の朝日を浴びて立つ松本市街のビル群が見えた。少々異様な雰囲気。
県道283号線で三城に上り、そこからよもぎこば林道で頂上を目指すつもりだったのだが、県道283号線は下りの一方通行になっていた。自転車だから行っていいような気もするが、かっとばして下ってくる自動車にはねられたくないので、直進する。
で、写真の分岐に到着。左折して三城に上るとよもぎこば林道経由で頂上へ向かう。直進するとこのまま県道67号線で頂上へ向かう。どちらにしようかしばらく考えたが、ときどきやってくる自動車がみな三城へと左折していくので、その逆ということで直進することにした。
写真の標識は、2002年秋には既になくなっていた記憶がある。よもぎこば林道が無料化されたのと関係あるかもしれない。
三城への道を分けると、道は狭い所で1車線。そういう所では自動車との離合もままならない。勾配も相当きつく、10%の標識があるところもあるが、どう見ても10%どころではない。
扉温泉を過ぎると自動車の通行はほぼなくなり、きついなりに登坂が楽しくなってくる。やがて風景はカラマツで覆われる。セミの声はせず、鳥の声が聞こえるくらいで、とても静かである。3kmくらい離れた自動車の音も聞こえるんじゃないかと誇張でなく思う。
森が深く、開放感のある眺めはほとんどない。ときどき松本市街方面の谷が右に見えたり左に見えたりする。地図に出ているヘアピン連続の部分なのだろう。
なお、あまりにも勾配がきついため、ヘアピンの下段部分を走っていても上段部分の道路を目視することはない。また、他の峠ではヘアピンが現れると勾配が緩くなることがままあるが、ここではそんなことはない。
ヘアピンを過ぎると勾配は少し緩くなる。やがて左からよもぎこば林道からの道が合流して、鞍部に到着。ビーナスラインの高架橋の下に松本市と和田村(当時。今は長和町)の境界があるのだが、写真のように風情はない感じである。
ここから少し進むと、ビーナスラインに右から合流する。そこからさらに少し進むと右に下りる道があるので、今度はこれで下る。
下りの道も同じように森の中の急坂であるが、松本側よりは多少道路はいいようだ。おれは無動力で自動車を抜いて下った。
国道142号線に出ると、すぐそこに扉峠口のバス停がある。昭文社のツーリングマップル関東甲信越には、和田村内のバス停 待合室に注目!
と書いてあって、どんなんだろうと思っていたのだが、ここはわらぶき屋根だった。
2002年3月17日初版 / 2010年4月7日更新