白沢峠
白馬の大迫力の山並みを眺める峠
読み方 | しらさわとうげ | |
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標高 | 1090m | |
位置 | 長野県北安曇郡白馬村・上水内郡小川村・長野市 | |
道路 | 国道406号線 | |
水系 | 姫川・信濃川 | |
実走日 | 2012年4月15日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠・峠で訪ねる信州 |
白沢峠は、長野市と白馬村を直接結ぶ国道406号線にある峠である。道路としてはよく整備されているとはいいがたく、長野白馬間のメインルートからは外れている(メインルートは南の土尻川沿いを行く県道31号線)。そのためあまり交通量は多くない。
この峠で特筆すべきなのは、白馬側の大迫力の北アルプスの眺めだろう。ワイドさでは大洞峠の方がはるかに上だが、こちらは北アルプスに近いだけあってずっと迫力がある。実際、ここで撮った写真は、白沢峠を紹介するという文脈以外でも、Webで何度か見かけたことがある。代表はパナレーサーのコル・デ・ラ・ヴィのパンフレット(PDF。リンク切れになってしまったので Internet Archive で)だろう。
かつてはこの峠を徒歩道の峠から名前を借りて夫婦岩越として紹介していたのだが、白馬村観光連盟のサイトに白沢峠という名前で出ていたので訂正した。調べてみると、白沢峠は、書籍峠への挽歌では夫婦岩越えの別名としての扱いだ。しかし書籍峠で訪ねる信州では正式名称になっている。コル・デ・ラ・ヴィのパンフレットでも白沢峠と書かれている。さらにいうと、嶺方峠という呼び方もあるようだが、これは峠で訪ねる信州では峠の旧称であり、コル・デ・ラ・ヴィのパンフレットでも括弧書きである。まあ、峠の名前なんて適当なものだが……。
おれは白馬側から上った。白馬の市街地で国道406号線に入り上り始める。なお白馬駅の標高は697.2mだ。
道幅は広く、あまり勾配もきつくない。1箇所シェルターがある。交通量は少ない。近くの斜面には雪が残っている。横を流れる峰方沢は威勢のいい音を立てている。もうすぐ春ですねの世界だが、沢水は茶色く濁っている。それにツクシも顔を出してはいない。代わりにフキノトウはあるが。
ヘアピンでの折り返しが現れると勾配はややきつくなる。その上にある峰方はスキー場を控えた観光色のある山村集落だ。しかしスキー場は営業しておらず人の気配もない。
峰方の集落を抜けると右から小谷地川沿いに上ってきた道を合流させる。それを過ぎると尾根筋上の道になり、左手に白馬三山が姿を現す。また手前の谷底には峰方の集落が、右奥には白馬の市街地近くの集落も見えている。
少し進むと後ろに五龍岳と鹿島槍も見えてくる。2001年にこの峠を走ったときには北海道的だと思った覚えがあるが、今いちばん似ている雰囲気の峠を挙げるならば母成峠だろう。
そのあたりからは右前方の上の方に鞍部のトンネルが四角い口を開けているのが見えてくる。こんな簡単な峠だったっけ、と拍子抜けする。ヘアピンをクリアしてトンネルに近づくと鹿島槍などよりもさらに南の山々も見える。奥にあるひときわ真っ白な山は野口五郎岳あたりだろうか。
やがて鞍部のトンネルに到着。小さな駐車スペースがあるがすいている。見ているとぽつぽつ通りかかる通行者はたいてい写真を撮るためにここで休憩を入れるようである。
鞍部から見える山は、左から鹿島槍、五龍岳、唐松岳、そして白馬三山である。しかし正確には白馬三山のうち白馬鑓と杓子岳だけが見えていて、白馬岳は木に隠れている。
2001年に来たときには広々した眺めだと思った記憶があるが、こうして見ると広さ自体はそれほどでもない。
さて、おれもコル・デ・ラ・ヴィにならってトンネルの中から写真を撮ってみる。しかしトンネルの断面形が矩形になっているので絵としてはしまらないものになる。
断面形がコル・デ・ラ・ヴィ時代の馬蹄形から矩形に変わったことは書籍信州の峠で知っていたが、トンネルの形をあとから変えるものかねと疑問に思っていた。しかしこうして現地に来てみて何が起きていたかわかった。トンネル自体は馬蹄形のままなのだが、その白馬側に短い矩形の覆道が新設されていたのだった。
いずれにしても、長野側から来ると、鞍部のトンネルを抜けたときに突然目の前が開けて北アルプスが迫ることになるわけで、かなり印象的な眺めになるだろう。
北アルプスを順光で眺めるためには、ここには午前中に到達しなければならないので、長野の市街地を朝に発つのであれば、かなり飛ばしてくる必要がある。
トンネルをくぐって下り始める。右側に谷のある、明るいが雪国らしい風情のあるワインディングの下りである。振り返ると北アルプスが頭をのぞかせているのが見える。斜面には残雪が多い。それを反映して路面には水で覆われている箇所が多い。
道は谷底に下りていく。小川村の村域に入ると途端に路面状況が悪くなる。ひび割れが増えるのだ。
少し行くと今度は長野市の市域に入る。ぽつぽつと集落がある。勾配はゆったりとしたものだ。裾花川沿いに下っていくのだがなかなか長い。
かつての鬼無里村の中心街まで来ると標高は670mあまり。ここからは大望峠や大洞峠に転戦もできるし、そのまま長野まで下っていくこともできる。長野まではけっこう長い。
2002年1月7日初版 / 2012年12月20日差替 / 2016年12月22日更新