関田峠
異世界的な雰囲気のある不思議な峠
読み方 | せきたとうげ | |
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標高 | 1110m | |
位置 | 長野県飯山市・新潟県上越市 | |
道路 | 長野・新潟県道95号線 | |
水系 | 信濃川・関川 | |
実走日 | 2003年8月2日(土) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠・峠への挽歌・峠で訪ねる信州・日本百名峠 |
関田峠は平丸峠の東隣にある信越国境の峠。豪雪地帯であり、春先は5月いっぱい通行止と考えていいだろう。なかなか行きにくい峠である。
一年の半分を雪の下に埋もれて過ごすひそやかで陰気な峠……という先入観を抱いてしまうが、実際には長野県側の麓から新潟県側の麓まで、変化に富み、かつなかなか明るい感じの峠道が続く。一言では言えない雰囲気だ。
標高315.2mの飯山駅をスタートし、県道95号線で関田峠の麓の温井を目指す。道幅は2車線あり、交通量も少ない。地図上では千曲川のすぐそばなのだが、実際には丘陵地のだらだらとした上りであり、温井では標高は500mに達する。
あたりは田んぼ。アブラゼミと秋の虫が合唱する。オニヤンマがときどきおれと並走する。新潟平野に生まれ育ったおれとしては、気のせいかもしれないが何となく新潟っぽさを感じる。写真の右側に写っているカマボコ型の車庫も新潟の山間部でよく見かけるものだ。
温井で田園風景は終わり。ここからは道も狭い部分が出始め、峠道の開始である。
温井のあとは山腹を折り返して高原に取り付く。未整備な道路、人気もなくなだらかな山容。どことなくもの淋しい雰囲気がある。
標高800m付近からは目の前が開け、斜面を折り返して上るガードレールが目に入ってくる。小ぢんまりとはしているが雄大……といった風情。
この日は梅雨明けの酷暑の日だったが、天気は今ひとつだった。沢の水でタオルを濡らし、それで体を冷却しつつ死力で上るが、これでは頂上付近から見えるという日本海の眺望は望めそうもなく、張り合いがないというものだ。そういえば去年の鳥居峠も麦草峠も馬越峠も暑いばかりで天気はいまいちだったが。
へろへろになりつつ、標高1050mの大神楽展望台に到着。芝生とベンチ、それと展望案内図がある。
ここからの眺めは、手前にこれまで上ってきたうねうねとした道を見下ろし、奥に千曲川沿いの田園を眺め、さらにその奥に上信国境の山々を……というものだが、今日は残念ながら最後のは霞んでいまひとつ。
しかしこれも、箱庭を眺めているような、ちょっと不思議な感じのする景観である。
大神楽展望台を過ぎて少し上ると鞍部。石碑が3つあるが、県境であることを示すものはない。
下りは最初のうちだけ整備された感じだが、すぐに狭くなる。予想通り日本海を見ることはできない。
やがてミルク色の霞の向こうに広々とした牧場が見えてきて驚く。新潟の山奥にこんなものがあるとは。もちろんただの牧場ではなく、観光牧場的なもののようだ。
未整備な農道のような県道は、その牧場を半周ほどしながら下っていく。予想もつかない道筋になっていて楽しい。
牧場を過ぎると今度はいきなり断崖上の隘路になる。カーブの部分は15%くらいありそうな急坂で、そこは亀甲コンクリートで舗装してある。
この写真であるが、上の牧場の写真の地点から1kmも離れていないと思う。まさに目くるめく変化だ。
さらに下ると眼前に高田平野が迫ってくる。集落を過ぎ、アップダウンをクリアするとそこはもう平野の田んぼの中。針(当時の中頸城郡板倉町の中心街)まで下ると、標高は50mを切っている。
2003年9月25日初版 / 2010年4月7日更新