境峠
とても平凡な県道峠
読み方 | さかいとうげ | |
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標高 | 1480m | |
位置 | 長野県木曽郡木祖村・松本市 | |
道路 | 長野県道26号線 | |
水系 | 木曽川・信濃川 | |
実走日 | 2003年9月27日(土) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠 |
境峠は木曽谷最上流部の薮原と梓川筋の奈川を結ぶ峠である。
峠としては、一言でいうと普通の峠である。特段優れた眺望があるわけでもなく、道の雰囲気が特にいいわけでもない(悪くもないが)。さらに言えば、この境峠という名前からして、あまり特徴的とはいえない。
しかし、書籍信州百峠によると、この境峠という名前は美濃と信濃の国境だったからついたという説もあるそうで、だとするとこの名前は相当昔からある名前ということになる。
真面目なところ、中京方面から梓川の上流域(乗鞍や上高地)に入るにはこの峠が最速である。標高の割には特にきつくもなく、楽である。
おれは松本から薮原駅まで輪行して(軟弱者と言わば言え)、境峠を目指した。薮原駅の標高は924.2mもあるから、ここからの上りは500mあまり。県道26号線を進む。
広い2車線。緩い上りが続く。あたりは金色の穂が揺れる田んぼと集落。意外と鄙びていない。右手前方に巨大な味噌川ダムの堤体が見え、あれが破堤したら恐ろしいことになるだろうなと思わせる。なおぽつぽつある路線バスの待合所は真新しい木製の立派なものだが、集落があるからバス停寝にはやや不適である。
味噌川ダムの方から来た道が陸橋でこちらの道をまたぐあたりから、勾配はややきつくなってきた。けっこう上ったかなと思った頃に、突如ヘアピンカーブが現れ、そこに第1号カーブの標識があった。道幅も2車線ながら狭くなり、峠道っぽくなってくる。
展望のない山道が続く。交通量は少なくはない。自動車だけでなくバイクも多い。当然大部分は中京圏のナンバー。ただしバスは全く見かけない。
途中から林の中にぽつぽつと別荘が現れてくる。別荘地か。しかし三和峠とは違い、新しい建物が多い。
しばらく上ると直線の切り通しの鞍部に到着。正面に山が見えるが乗鞍ではなくて十石山。また、振り返ってみるとそちらにも山が見えるがこちらは中央アルプス。まあ、どちらにしても展望というほどのものではないか。
書籍信州百峠には、頂上での展望はよくないが、少し下れば、木曽側では南に木曽駒ヶ岳の連峰を望み、奈川側では正面に乗鞍岳、やや右に北アルプスが手に取るように見える
と書いてあるが、乗鞍岳が見えた覚えはないなあ……。
――ということを書いたところ、情報を寄せてくださった方がいらした。それについては後述。
下りは人気のない林の中をのびやかに進んでいく。やがて小さな集落(寄合渡)でT字路に突き当たる。おれは左折して野麦峠へ。月夜沢峠もこちらである。奈川渡ダム経由で上高地・乗鞍あるいは松本へ向かう(どちらにしても苦難の)道へは右折。白樺峠もこちら。寄合渡の標高は1100mあまり。
この峠から見える山についての情報をLmonchiさんからいただいた。謝して核心部分を掲載させていただく。
さて、乗鞍ですが、北方向に下ってまもなく、北西方向に顔を出します。特徴的なのは、双頭でほっそりとした姿を眺めることが出来ます。白樺峠や野麦峠から望む乗鞍は、なだらかなで力強い印象があるのですが、境峠方向からはかなり印象が異なります。北上しながら乗鞍が見えると、木曽エリアから上高地エリアに入った感じがしたものでした。
南下する場合は、だいぶ下った途中、頭上はるか上方に中央アルプスが見え出します。くだり坂だからでしょうか、おもわず、「はっと」する高さです。撮影中、通りすがりのおじいさんに「高いですね」と話したら、「そう、高いですよ」と自慢げに説明してくれました。
2005年4月2日初版 / 2010年4月7日更新