乙見山峠
高原を越えるダート峠
読み方 | おとみやまとうげ | |
---|---|---|
標高 | 1510m | |
位置 | 新潟県妙高市・長野県北安曇郡小谷村 | |
道路 | 新潟県道39号線(新潟県側の笹ヶ峰まで)・林道妙高小谷線 | |
水系 | 関川・姫川 | |
実走日 | 2006年9月30日(土) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠 |
乙見山峠は、妙高山の南を横切る新潟・長野県境のダート峠である。おそらく新潟県内の車道の峠としては最高の標高なのではないかと思うが確認はしていない。
この標高のダートの峠ということで大物峠扱いしたくなるが、実際にはあまりそういう雰囲気はない。新潟県側が(えげつないものではないが)リゾート地として開発されているからだろうか。そういう意味で長野県ではやや珍しいタイプの峠と言えるかもしれない。もっとも長野県側は野麦峠ばりの信州の淋しい峠そのものだが。
新潟県側の麓の集落は杉野沢だ。いかにもスキーヤーの基地らしい集落だ。標高は720mほど。ダート区間は標高1300m程度の笹ヶ峰からであり、そこまではここから一気の登坂である。
杉野沢を出ると早くも1.5車線区間も混じる山道になる。地図を見るとものすごいヘアピンの連発で上っているので、乗鞍岳やビーナスラインの王ヶ頭の直下のような燃える勾配を予想していたのだが、実際にはスギを中心とした林の中の登坂で正直なところ拍子抜けする。展望もあまりない。ところどころにペンションがある。麦草峠や三和峠を思い出す。
そうはいってもところどころで背後に斑尾山と野尻湖の展望があるのはいい。標高1050m付近からはゲレンデの中となり、ススキの草原の縁の上りとなる。勾配はけっこうきつい。
さて淡々と上って1360mの笹ヶ峰の手前での最高地点を越え、鬱憤を晴らすべく全力疾走で笹ヶ峰へ下る。急な下りになることはない。左手に緩やかな草原が広がる。ここへ来て強い陽射しが照りつけ、始まりかけの紅葉と草原の緑がまぶしい。リゾート地もここまで来ると何とも静かで、そして何というか清明なものを感じる。
笹ヶ峰ロッジを過ぎると下り坂の途中でダートが始まる。それほど荒れてはおらず走りやすい。最低標高は1240mほど。一度真川に沿って進み、真川を渡って今度はニグロ川沿いに上っていく。意外とアップダウンが多い。この辺からだんだん路面状況は悪くなってくるが、鬼というほどのものでもない。
やがてニグロ川から離れて斜面の登坂を開始。舗装(しかも真新しそうではない)が始まっていて驚くが、標高1400m付近でそれも終わる。
相変わらずあまり展望はないが、1450m付近では人の気配のしない山の展望が開けて素晴らしい。この写真だが、左側の雲の中の山は妙高山。
それを過ぎればすぐに鞍部の直下を貫く乙見隧道に到着。照明のないトンネルだが短いので特に気にすることは何もない。
トンネルを抜けると逆光の中にこれから下る松尾川の谷の展望が開ける。谷は左手前方に向けて開けているが道はいったん右手に迂回して下りていく。
すぐに左手下方にこれから下る道筋が見えてくる。標高差は200m程度のほどのはずだがなかなか印象的な眺めだ。標高1360m付近からは道は舗装になる。今度はさっき通った道を左手上方に見上げて下っていく。
湯(という温泉のある小さな集落)まで下り、湯峠への分岐に到着すると標高は980m。新潟県側とは違い、長野県側は全然リゾート地ではない。新潟県出身の者として、新潟は近県に比べ地味……という思い込みがあったのだが、ここでは逆なのだ。
2006年10月27日初版 / 2010年4月7日更新