野麦峠

寒々とした山あいを進む峠

読み方のむぎとうげ
標高1672m
位置長野県松本市・岐阜県高山市
道路長野・岐阜県道39号線
水系信濃川・木曽川

実走日2003年9月27日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図
関連書籍信州百峠峠への挽歌峠で訪ねる信州日本百名峠

野麦峠は、乗鞍岳の南の信濃と飛騨の境界に位置する峠である。おそらくは長野県の峠としては最も有名なのではないかと思われる。もちろんあゝ野麦峠のおかげであるが、有名なわりには本を読んだり映画を観たりしたことのある人は少ないのではないだろうか。おれもそうだ。

純粋に峠としてみるとどうかというと、これはもう、人の気配のない大きな尾根を越えていく、信州の淋しい峠の典型だといえるだろう。勾配はけっこうきついし、飛騨側には寺坂峠という伏兵までいるので、峠越えには意外と時間がかかる。食料は怠りなく準備しておかなければならない。

奈川

おれは木曽から境峠を越えて寄合渡(標高は1100mあまり)に下り、ここから野麦峠に向かって上り始めた。最初から1.5車線程度と境峠よりも道は悪い。しかし勾配は緩く走りやすい。美しい奈川が寄り添う。ぽつぽつと集落はあるが、あまり生活臭はなく、静かである。

川浦のあたりから、勾配は本格的になってきた。途中、道路の右側にある穴蔵のようなもののそばで休憩する。これは冬期間の凍死を防ぐために江戸時代に設置されたものを近年奈川村(現在は松本市に編入、当時南安曇郡)が再現したものだと案内板にある。こんな峠を冬に徒歩で越えるとは恐ろしい話だ。ちなみに今はこの峠道は冬季の通行はできない。


長野側の登坂武石峠風の林の中の道

穴蔵を過ぎて少し行くとへアピンカーブがあり、徒歩道と別れる。ここからは奈川ともお別れで、山腹を一気に鞍部めがけて上るわけだ。標高は1400mあまり。

カラマツ林の中のきつい登坂が続く。どことなく武石峠に似た感じだが、それは表面的な感触かもしれない。道路の進み方なども含めれば伊那の地蔵峠の方に似ているだろう。

木はカラマツばかりではなく、ダケカンバなども多い。林床はササで覆われている。

野麦とはこれらササのことを指すそうで、実がなると食用にしたそうである(信州百峠峠への挽歌などの書籍に記述がある)。確かに笹は麦と同じくイネ科だが、想像がつかないものがある。


奈川の谷を見下ろす

みるみる標高を稼ぎ、林を抜け、右側の展望が開けてくる。茫洋とした、淋しい景観だ。

書籍日本百名峠には東側には松本平も木曽も広々と望めるとあるが、実際には松本盆地を見ることは決してできない。

右前方にはこれから行く道が見える。あの辺が鞍部だろうなあ、そう思ってそこにたどり着くともう一発上りが残っていた。疲れ倍増の瞬間である。

風はとても冷たく、Tシャツ1枚だとほとんど汗ばむ感じがしない。やがて鞍部に到着。


鞍部

鞍部はやや開けた笹原になっており、その中にたくさん看板が立っている。いくつか建物もあるが、想像していたほど観光化されているわけではなく、静かな雰囲気がある。

正面やや左には晴れていれば乗鞍岳が見えるところだろうが、裾野以外は雲に隠れていて見えない。ついてない。


飛騨側の下り

下りはなかなか急峻である。今度は左側が谷であり、そのひだの向こうにこれから下る道を見下ろす。それが2度繰り返される。かつて月夜沢峠で会った峠好きの夫婦によれば、このあたりの紅葉は見事だそうだ。

下りの途中に寺坂峠というアップダウンがある。できれば地図に出ている細い線で回避したかったのだが、その道の入口はこの先行き止まりなどという標識とガードレールで封鎖されていた。それで、あきらめて寺坂峠に挑む。

……しかしこれはアップダウンと呼ぶにはあまりにも険しすぎ。200m近く上るのである。文句をたれつつ、汗ぐっしょりになってそれを越える。

やがて左側に高根乗鞍湖の静かな水面と橋が見えてくる。国道361号線にぶつかるところの標高は1100m程度。

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2004年1月15日初版 / 2013年6月27日更新