越水ヶ原峠
明るい林の高原の観光峠
読み方 | こしみずがはらとうげ | |
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標高 | 1230m | |
位置 | 長野県上水内郡信濃町・長野市 | |
道路 | 長野県道36号線 | |
水系 | 信濃川 | |
実走日 | 2008年10月19日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠 |
越水ヶ原峠という名前を聞いたことのある人の多くは、信州百峠の愛読者なのではないか。と言うほどに一般には使用されない名前だと思う。その一方で、野尻湖から戸隠に出る主要地方道にある峠であるから、峠自体は知っている人は多いに違いない。
この道は戸隠神社へのアクセス路であり、北へ抜ければ黒姫山や妙高山や野尻湖もあって、多くの観光客の通過による騒がしさと無縁とはいかない。しかし北側の明るい林の中ののびやかな道の雰囲気はなかなかのものである。
おれはこの峠を北の信濃町側から目指した。はじめは田園の中であり、右手の遮るもののない中に黒姫山と妙高山がそびえていて見事である。紅葉は始まっているが麓までは下りてきていない。いい撮影ポイントがないので脇の農道にそれて写真を撮る。
道路は閑散とはしているものの、ときどきバイクの集団が通りかかったりして、今日走るのは昨日の巖道峠とは違う観光ルートなんだ、と自分に言い聞かせつつ進む。
写真の左側が黒姫山で右側が妙高山。
しばらくゆったりした上りを行くと道がY字に分岐していて、おれは右へ。標高は729m。ここからは道路の様相は一変する。展望のない、明るい林の中の緩い勾配の上りである。あまり休憩を入れることもなく進めるほどの勾配だが、ヘアピンカーブの内側の上りはきつい。北海道風ともいえるが、どこに似ているかといえば断然それは柳沢峠だ。
しばらく行くとかなり勾配はきつくなってきた。全体としては単調な、展開に乏しい峠道が続く。
知らない間に高度を稼いだようだ。1140m付近から下り始め、右カーブに差し掛かると目の前に戸隠連峰の眺めが開ける。なかなかの迫力である。それを過ぎて少し行くとあたりが湿地のようになっており、大橋という橋があって長野市の市域に移る。ここからはまたゆったりとした上りである。もうあまり大した坂はない。やがて奥社の入口に到着する。
大橋のあたりもかなり自動車が停まっていたが、ここはもっとすごい。そもそも駐車場は満車である。駐車場の向こうに見る、黄葉を前景とした戸隠の眺めは目に涙が滲むくらいに素晴らしいが、さらにその前景の自動車の群れはカメラを構えるととても邪魔である。あきらめてカメラをしまう。
そこから少し行くと左手に越水ヶ原と書いた看板が出ていた。もしかするとそれに沿って左にそれるべきだったのかもしれない。おれは直進し、やがて鏡池の入口に到着した。地図を確認する。間違いない。ここが県道36号線の標高1230mの鞍部である。
当然ながらここの混雑も大変なもので、鏡池へは行けるけれども駐車場は満車、と誘導員が自動車が来るたびに怒鳴っている。
さて、鞍部から2分(!)ほど下ると突如集落と鳥居が見えてくる。中社である。土産物屋が立ち並び観光客がぞろぞろ歩いており、純然たる観光地である。
中社の集落が終わるとヘアピンも交えて下る。10.8%の標識もある。相当にスピードが出るが、路面にはマンホールがたくさんあるので油断はならない。
宝光社まで下ると交差点がある。右折してそのまま県道36号線を走れば大望峠への道だ。この地点の標高は1020mほど。ここから長野市街へ行く最も一般的な方法は戸隠バードラインを行くことだが、大望峠でも書いたように県道76号線で降下するのも楽しい。あるいは一気に裾花川の谷底に下りて進むこともできるだろう。おれは今回はバードラインを行くことにした。
2008年11月24日初版