鳥居峠

森林浴気分の旧国道ダート

読み方とりいとうげ
標高1197m
位置長野県木曽郡木祖村・塩尻市
水系木曽川・信濃川

実走日2002年7月20日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図
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鳥居峠は、木曽川と信濃川の流域を隔てる、かつては中山道の難所といわれた峠である。麓には、木祖村側には薮原、塩尻市側には奈良井という宿場がある。特に奈良井には古い建物がたくさん残されており、馬籠や妻籠と並んで有名だ。

現在は国道19号線はこの峠を長大な鳥居トンネルで抜けているが、こんなのを自転車で通ってもつまらない上に危険だから、時間と体力に余裕があればぜひ旧道を走ろう。わりとお手軽気分な森林浴ダートだ。ただしあまり旧中山道的な情緒は感じないのだが。

一応1994年9月にトンネルを通った時の記録があるので写しておこう。トンネルの延長は1738m。自転車は歩道を通行してくださいというようなことが書いてあったが、歩道は狭かった。しかも途中では工事で歩道の舗装がはがされており、側壁に接触して転倒するのを避けるために数百mも押して歩いた。それが終わっても狭いので大荷物自転車にとっては発進も大変だった。

薮原側の入口

おれは薮原から上り始めた。きっと国道19号線からじかに入っていけば楽なのだろうが、境峠への道(県道26号線)から入ろうとしておれは完全に迷った。

で、写真は目指す旧国道の入口。すぐ脇の消防分署が目印だ。急な勾配の狭いアスファルトの道が森の中に伸びている。自然歩道という標識はあるが、これほんとに旧国道なのか? と思わせる。ここの標高は940mあまり。

ちなみに、自然歩道は薮原から奈良井まで続いている。こちらの方が中山道旅情は楽しめそうだ。ただし車両通行止ではある。


薮原側の上り

アスファルトを少し上ると自然歩道と別れる。そのあとも舗装路が続く。舗装は荒れ、幅は完全1車線。ガードレールはもちろんない。勾配は最初だけややきつい。森林浴という言葉がぴったりという雰囲気だが、その割には涼しくない。

しばらく行くと舗装は切れてダートになる。砂利っぽくはないが、尖った石が多いので転ぶと怪我をしそうだ。まったく通行はない。セミも鳴いていない。静かである。

断崖上を走るような箇所もあり、薮原方面の眺めが少しあるが、御獄は見えない。


自然歩道合流地点

やがて断崖上で右から自然歩道が合流する。ここを過ぎるとすぐ切り通しの鞍部に到着。鞍部には小さな木の村界標識があるだけである。

この日は見えなかったが、天気がよければ手前の尾根の向こうに御嶽が見えるようだ。なお、自然歩道を薮原側に少し行くと御獄の遥拝所もある。


峰の茶屋

鞍部から少し奈良井側に下ると、右側に峰の茶屋という建物がある。茶屋といっても単なる休憩所である。ここからは(この写真には写っていないが)奈良井の集落のちょっとした眺めがある。

案内板によると、この付近に水場があることになっているのだが、水は枯れていた。夏だからか。


奈良井側の下り

下りもあまり道の様子は変わらないが、薮原側のような断崖上の道はなく、ひたすら森の中である。眺望はほとんどない。

途中、上ってくるオフロードバイク2台とすれ違った。歩行者数人を除けば、結局これがこの道で出会った唯一の通行者だった。

下りはかなり長く感じる。やがて道が舗装になり、集落道のような中を抜けていくと、眼下に奈良井駅が見えてくる。奈良井駅の標高は933.8m。

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2002年8月3日初版 / 2010年4月7日更新