地蔵峠
御嶽の眺望が素晴らしい飛騨街道の峠
読み方 | じぞうとうげ | |
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標高 | 1320m | |
位置 | 長野県木曽郡木曽町 | |
水系 | 木曽川 | |
実走日 | 2002年6月2日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠・峠への挽歌・峠で訪ねる信州 | |
同名峠 | 地蔵峠(東北)・地蔵峠(関東)・地蔵峠(裾花川筋・土尻川筋)・地蔵峠(伊那東部) |
地蔵峠は、木曽川本流筋からその西側の開田高原に上がるところにある峠である。長峰峠と同様に飛騨街道上の峠でもある。峠道自体は何の変哲もない感じだが、ゆっくり上ると、かつての(飛騨街道としてよく使われていた頃の)歴史の名残がじわじわと感じられ、そこはかとなく楽しい。そのうえ頂上の開田側では絵葉書のように御獄の眺めが素晴らしい。いい峠である。
なお、長大な新地蔵トンネルを擁する新道ができているが、尾根を横切る地点は3km以上も離れているし、谷筋も違うので、別の峠とみなした方がよさそうに思える。ただ、木曽福島から月夜沢峠のみを目指すならば、こちらの方が標高が低いし遠回りでもないので楽だろう。
なお、道路地図には、折橋トンネルという、新地蔵トンネルの旧道トンネル(ややこしいな)が載っていたりするが、地理院地図によると、それはもう廃道化されているように読める。
おれはこの日は松本から木曽福島まで輪行して走り始めた。木曽福島駅の標高は773.3m。けっこう高い。
しばらくは、一部例外もあるものの2車線の広々した道が続く。きつくはないが上りが続く。交通量はないわけではないが少ない。
やがて←地蔵峠という標識があり、ここで左折。1.5車線くらいの静かな道が始まる。道路には木々の緑が覆い被さっている。坂は特にはきつくない。何というか普通の峠道だなあ、と思う。もちろん悪い意味ではない。この雰囲気は何となく保福寺峠を思い出させる。
さて、やがて左側に唐沢の滝という滝が見えてくる。滝はやや遠くに見え、その上を白いガードレールが横切っている。案内板によると落差は約100mとのこと。そんなにあるようにはあまり見えない。
ここをはじめとして、この峠道は何箇所かに案内板があり、それぞれがこの峠道の開削の歴史を物語っている。江戸時代に飛騨街道として利用されていた頃は、この唐沢の滝がなかなかの難所だったという。
唐沢の滝を過ぎるとヘアピンの上りが連発する。1車線しかないような箇所もある。10分かそこら上ると、さっき下から見上げたガードレールの部分を通りかかる。滝自体は見えないが、さっき読んだ案内板が小さく見える。はるか向こうには残雪の中央アルプスも見える。
それを過ぎると、道は少し広くなってきた。再びヘアピンを上って鞍部に到着。道路の右側に地蔵峠と台座に刻まれた地蔵尊がある。右側遠くには残雪輝く乗鞍岳も望める。
600m先に展望台があるということなので、とりあえず頂上から下ってみる。その展望台は右カーブの外側にあった。森の切れ間に大迫力の御獄がはっきりと見える。
この写真だけ見るととても山深い感じだが、実際この足元には末川沿いの小さな盆地と集落が見え、高度差もあまり感じない。下りは、それらを眺めつつヘアピンを折り返し、あっという間に終わる。
末川を渡って突き当たりにぶつかるところの標高は1120m。人家の散在する、どこか北海道を思わせるあっけらかんとした雰囲気が漂っている。
2002年7月4日初版 / 2015年1月10日更新