地蔵峠
不気味なほどに静かな未開通国道峠
読み方 | じぞうとうげ | |
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標高 | 1290m ※鞍部の標高です。 | |
位置 | 長野県下伊那郡大鹿村・飯田市 | |
道路 | 国道152号線 | |
水系 | 天竜川 | |
実走日 | 2002年10月13日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠 | |
同名峠 | 地蔵峠(東北)・地蔵峠(関東)・地蔵峠(裾花川筋・土尻川筋)・地蔵峠(木曽) |
地蔵峠は、茅野から国道152号線沿いに南下していくと、北から3番目(分杭峠の次)に位置する峠である。峠の南側(飯田側)は開通しておらず、南側に下りるには、さらにしらびそ峠にまわるか、村道を通っていくかしかない。また、峠の北側(大鹿村側)も、国道とはいえ、人家のほとんどない細い道がえんえんと続く悪路になっている。
茅野以南の国道152号線の峠群の中では、かなり地味な印象もあるこの地蔵峠だが、しかし最もそれらしい峠のような気がする。
茅野以南の国道152号線の峠には、地蔵峠以外に、杖突峠、分杭峠、青崩峠がある。また、これらに類する峠としては、しらびそ峠と兵越峠が挙げられる。
大鹿村の大河原にある大西公園で野営したおれは、6時半に眼下の大鹿小学校からぱんぱんぱんと花火が上がるのを見てから出発。運動会か何かのイベントがある日だったのだろうか。
鹿塩のあたりからこの大河原まで2車線あった国道152号線だが、大河原から南は最初から1.5車線になっている。
右側の斜面の上の方には既に陽が当たっているが、道路にはなかなか陽が当たらない。そういえば前日の夕方も日が暮れるのがとても早かった。
交通量はとても少なく、人の気配もほとんどない。雨の日など、白昼でも単独行は怖い感じがするに違いない。だらだらと上りが続くが、楽である。
深ヶ沢(しんがさわ)あたりまで来るとようやく路面に日光が達した。とんでもない山奥だがぽつぽつ人家があり、キャンプ場もある。
やがて、中央構造線の露頭がある安康に到着。同様のものは分杭峠の大鹿村側の北川にもあったが、そこと違って、どこに露頭があるのかいまいち判然としない。
安康には道端に小高い崖があり、今まで上ってきた道を振り返ることができ、この峠の懐の深さを実感する。ちなみにここの標高は1060mほど。大河原の標高が700m強だから、だらだらなりに上ってきたことになる。
安康からは、道の雰囲気はがらりと変わり、林の中のヘアピンカーブの連発になる。分杭峠と同様の泥縄的登坂なわけだ。
ここの登坂は、分杭峠と異なり、あまり展望はない。薄暗い林の中を猛烈な勢いで上る。林の中に1段上のガードレールが次々に現れる。楽しい。
やがて鞍部に到着。地蔵峠 標高1314mと書かれた標識がある。展望はあまりない。木曽の地蔵峠と異なり、地蔵尊は道のすぐ脇ではなくちょっと入ったところにある。
ここからは、しらびそ峠に行くにせよ行かないにせよ、もうしばらく山腹の上りが続く。ただし分水嶺は越えているので、開けた谷に向かって進んでいくことになる。
おれはここからしらびそ峠を目指したのだが、この地点は大河原からしらびそ峠へ上る行程のうち、標高的にはだいたい中間点にあたる。
この写真は、鞍部付近から南を眺めたもの。いかにも中央構造線らしい、上村川のまっすぐな谷が広がり、その斜面に集落が貼りついているさまが見える。秘境っぽい雰囲気が感じられる。
2003年1月11日初版 / 2015年1月8日更新