平沢峠

八ヶ岳に正対する高原の観光峠

読み方ひらさわとうげ
標高1440m
位置長野県南佐久郡南牧村
水系信濃川・富士川

実走日2010年1月16日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図
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平沢峠は野辺山と清里の間にある峠であるが、国道141号線にあるそれではなく(そちらは野辺山峠と呼ぶようである)、その東にある獅子岩という展望地を通っていく狭い旧街道の峠道である。

八ヶ岳はこの界隈であればどこからも見えるのは確かだが、この峠からの眺めはとりわけいいので、佐久甲州街道(国道141号線)を行く人は急がないならば寄り道していって損はないだろう。やや観光峠色が強いけれども、立地が立地だけにしかたあるまい。

ちなみにおれが行ったのは厳冬期である。峠の評価にプラス補正がかかっていることは(オフシーズンだから)疑いがない。

矢出原(野辺山宇宙電波観測所前付近)

おれは小海線の野辺山駅まで輪行してスタートした。日本の鉄道駅では最も標高が高く(1345.7m)、峠の比高は100mくらいしかない。

野辺山駅を出て左に進む。踏切を渡ってもなおまっすぐ進む。集落は終わるが原野になるわけではなく、ぽつぽつ建物がある。大きなパラボラアンテナのある野辺山宇宙電波観測所などというものまである。

気温は-9℃くらいしかない。路面はアイスバーンの上に新雪が積もっているような感じだが、案外ペダルで進める。最初は陽射しの中に粉雪がゆっくり降り注いでそれはそれでとても美しかったが、じきにそれはやんだ。


枯木林の中の上り

頭の中に蒼天の白き神の座のオープニング曲をループさせつつ進む。宇宙電波観測所を過ぎて道は突き当たりに。→しし岩というような看板が出ているのでそれに従って右折する。そして次の分岐は左折。

最初はそれなりにペダルで上っていたが、途中からはタイヤが滑りまくるためにしかたなく押しが入った。枯木林の中の静かな2車線路。振り返れば野辺山方面への本当にちょっとした眺め。まあこういうポタリングもありだろうか。


鞍部

じきに広い駐車場に到着。ここまでほとんど見えなかった八ヶ岳がここへ来て碧空を背景に姿を現す。その左手には屏風のような南アルプスの山々が続く。素晴らしい眺めというほかない。

この駐車場には、野辺山高原 平沢峠 標高1,450mの木の標柱のほか、平沢古道の案内看板、ナウマン博士フォッサマグナ発想の地保福寺峠なみに微妙だ)の銘板、日本の分水嶺であることを記した看板などもある。小さな峠の茶屋があるが冬だから営業はしていない。車は数台停まっているが雰囲気は静かである。

八ヶ岳に向かって右側にやや高い黒っぽい岩場があり、これが獅子岩である。積雪の上を歩いてその岩に登り、ちょっと足元が不安ながらその上に立つ。


獅子岩の上からの眺め

……それでまた当サイト恒例の境目のくっきりした連結写真を。

写真の右側が八ヶ岳連峰で、右側の最高峰が赤岳。そのさらに右側の平たい山は横岳。赤岳の左の山は権現岳でそのさらに左は三ツ頭。

写真の左側が南アルプスで、最も高く見えるのが甲斐駒。その右側の平たく見えるのは鋸山。左手最奥の白い山は南アルプスの最高峰である北岳。

あと意外なところでは、八ヶ岳と南アルプスの尾根線が交差するあたりの彼方に見える真っ白な山は木曽駒(中央アルプス)である。


下りながら八ヶ岳を見る

さて出発する。下り始めてすぐに平賀源心の胴塚というのがある。武田信玄に敗れた佐久の武将ということだそうだ。

下りの道は、南斜面だからなのか、上りよりも雪は少ない。路面が剥き出しの区間も多く、全体的にはそんなに緊張はしない。八ヶ岳が間近に見える。


下りのワインディング

ゆったりと斜面をトラバースして下る。八ヶ岳だけでなく富士山が見える箇所もある。

途中から道は1車線程度と狭くなる。そのまま平沢の集落へ。かつての宿場町だということだが、確かにそんな雰囲気のある集落である。

ここで右折すれば清里駅前方面に抜けることができるので、普通の意味での平沢峠越えはここで終わりだが、おれはこのまま韮崎まで下降するつもりなのでそのまま直進する。


東原

平沢の集落を抜け、右後方に八ヶ岳を見ながら進む。軽い上りをクリアして農道のようなくねった道を下っていくと、南アルプスを背景にした東原の集落が見えてくる。集落の入口の手前にはクリスタルラインへの分岐がある。

東原の集落も茅ぶきの家があったりしてムードがある。集落内の狭路を下りて県道605号線に入る。大縮尺の地図がないとつらいところだろう。もうこのへんからは路面に雪はほとんどない。

軽く上って下りて浅川の集落を過ぎ、また少し上るとワインディングの下りになる。桑原の集落まで下るともうすっかり開けた感じになる。畑地の向こうにやや形の変わった八ヶ岳を見つつ斜面を下る。やがて河岸段丘を下って道は須玉川の谷間へ。

あとは須玉川沿いに韮崎まで下るだけである。韮崎駅の標高は354.0m。

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2010年2月11日初版 / 2015年1月8日更新