青崩峠
信濃・遠江国境の未開通国道峠
読み方 | あおくずれとうげ | |
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標高 | 1082m | |
位置 | 長野県飯田市・静岡県浜松市 | |
道路 | 国道152号線 | |
水系 | 天竜川 | |
実走日 | 2006年11月3日(金) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 信州百峠・日本百名峠 |
青崩峠は伊那の東部を南北にまっすぐ延びる国道152号線の未開通区間の峠である。地蔵峠と異なり、徒歩でないと到達自体ができない。
未開通国道の峠というところだけではなく、開削を拒み続ける激しい崩落を暗示するこの名前や、中央構造線の谷をまっすぐ突き進む地図上の姿や、武田信玄の遠江侵攻時に本隊が越えたという歴史や、そういったところにもいちいち旅心を誘うものがある。
とか何とか書いてはみたものの、自転車でこの峠に挑むのが本当に楽しいかどうかははてなである(どういう自転車乗りなのかによるだろう)。
おれは平岡(天龍村の中心集落)から上った。和田まで国道418号線で上ると標高は400m弱程度になる。右折して国道152号線に入る。
八重河内を過ぎると、兵越峠の項でも書いたが、林の中の完全1車線の上りになる。勾配もそれなりにあり、これは既にして峠道と呼ぶべきだろう。
やがて兵越峠への道の分岐点に到着。標高は570mあまり。たくさん看板があって道を間違えないようになっている。交通量の多い兵越峠への道に背を向けて青崩峠への道に踏み出す。
道はほぼ1車線。最初に民宿へ降りる道を分ける。その後は斜面の中腹の道で、ところどころで青崩っぽい崖が小嵐川の谷の向こうに見える。他は兵越峠と同様にヒノキ林の中である。意外と人の手が入っている感じである。進むにつれて眺望はだんだんとなくなってくる。
ヘアピンカーブもあるがきついと言うほどの勾配にはならない。やがて道が水たまりだらけのダートになると、すぐに左側に青崩峠への徒歩道が分かれていた。木で階段が作ってあり、斜面を横切っている。
ところでおれの自転車はランドナーで、決して軽くはない。おまけにおれは本格的にカツギで峠を越えたことは実はない。実物を前に途方に暮れつつトップチューブを肩に担いで階段を上る。
階段はすぐ終わる。そこからは自転車を押して進む。意外と押しにくくはない。最初の区間の木製の桟道はタイヤが滑って危険だが、それを過ぎるとまずまずのペースで進める。
しばらく進むと左手に青崩神社という小さな社がある。
明るい林の中で、眺望は全くない。遊歩道らしく、木には種名を書いた札が下がっている。道は既に落ち葉でいっぱい。場所は小嵐川の源頭部であり、すぐそばに砂防ダムがある。
やがて、目の前が明るく開け、鞍部の地蔵尊や案内看板などが逆光の中に見えてきた。車道の峠にはない味わいである。
上りきると少し開けていて、先ほどの地蔵尊や案内看板のほか、峠標柱や漢詩の看板などもある。ここから南側には逆光の谷の眺めがあるが、北側には何の眺めもない。そこで、ここに自転車を置き、鞍部直下から少し西側にそれた斜面に小嵐川の谷の眺めを見に行く。
それで当サイト名物のへぼい連結写真。深い山の感じがいいが、大迫力の青崩は見えない。そうはいっても実はこの撮影地点の足元から左側にかけてはかなり大規模な青白い崖である。
よく見ると谷の右側には淡いシルエットで南アルプスの奥茶臼山と塩見岳が写っている。天気によってはもっとはっきり見えるだろう。
ところでここの鞍部ではそこに道があるからのひろたさんと彼のビアンキに遭遇した。Webサイトをやっている他の自転車野郎に偶然会ったのはこれが初めてである。よりによってペダルでは越えられない峠で出会うところに業の深さを感じる。
さて鞍部からは再び担いで水窪側へ下る。少し下って気づくと頭上に白いガードレールが見える。あわてて少し引き返しそこへ上りつき、自転車にまたがる。
ここからはダートの下りである。そういえばこの峠にはダート峠というイメージは全く持っていなかったが、当然開通区間の末端ではありうる話だったわけだ。やっぱりカツギよりコギの方が楽しいねえ、などと身も蓋もないことを考えつつ下る。
しばらく下るとかなりひどいコンクリート舗装の道が始まる。左手頭上から高速道路のような草木トンネルの道が現れ、その下をくぐってそのひどい道のまま合流する。標高は610m。
あとは水窪の街まで下りだ。分杭峠の南側の下りにどこか雰囲気が似ている。兵越峠にはむしろ似ていない。水窪まで下ると標高は260m程度。
2007年1月19日初版 / 2014年11月27日更新