青木峠

走りやすく楽しい未整備国道峠

読み方あおきとうげ
標高1040m
位置長野県松本市・東筑摩郡筑北村・小県郡青木村
道路国道143号線
水系信濃川

実走日2002年9月1日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図
関連書籍信州百峠

青木峠は、明治時代に松本と上田の間のメインルートとして整備された道路の峠である。その後、1976年に三才山トンネルが開通してローカル線に転落してしまったが、そのおかげで未整備ながらそこそこ穏やかで静かな、自転車乗りにとっては走りやすい峠となっている。

実際、自転車で松本と上田の間を移動したいならば、この青木峠が第一選択である。青木峠よりも標高が高く、狭くて長いトンネルを走りたいのでない限り、三才山トンネルは避けたほうがよい。

面白いところでは、この峠は、特に峠好きでない人々の間でも、死体遺棄事件の現場とか心霊スポットとかいう形で有名である。

アルプスをバックに走る

松本市の中心部からこの峠に上るとすると、保福寺峠と同様にまずは国道143号線で会田を目指すことになる。会田付近では、振り返ると手前の屏風のような丘の向こうに北アルプスの頭が見える。写真の中央左側の山は常念岳だ。


小径を行く

道は会田川の谷沿いの上りの途中まで立派な2車線。おれは今回は途中から谷を隔てた小径にスイッチして走った。ほとんどの区間が1〜1.5車線。平均的に麓から標高を稼いでいく国道と違い、谷を詰めていくので、しばらくは山腹の国道を見上げながら進むことになる。

かつてこの小径を通らずに国道だけを通ったこともあるのだが、国道は部分的に改良が進んでいて走りやすいので、上田盆地側から上ってきて下るならば、国道を通った方がいいだろう。


上会吉の国道143号線

標高910m付近で、小径は国道143号線に合流する。ここまで来ると国道143号線も未整備な感じだ。やがて上会吉の集落が終わると、道の両脇はアカマツ林に変わる。ヘアピンもあるが、あまり急峻な印象はない。

やがて会吉トンネルに到着。標高は990m。これは1発目の分水界ということになる。ちなみにこのトンネルは交互通行で信号機がついているが、自転車は規制対象外だし、交通量は少ないし、幅も別に狭くないので安心して通過できる。


会吉トンネルと明通トンネルの間

会吉トンネルを抜けると、アカマツの見事な山腹に白いガードレールが連なる風景が広がる。道は、山腹をほぼ水平に、山肌に沿ってくねくねと進む。勾配はごくごく緩いが下りで、標高は980m程度になる。


明通トンネルの手前から北アルプスを望む

西条の方から来た道が合流すると、ほぼ反対に向きを変えてこれまたゆったりと上り始めた。今来た道がやはり左側の谷の向こうに見えてくる。その向こうに北アルプスも見える。この写真だが、左の方に見えるコンクリートの被覆は、会吉トンネルを抜けてきたあたりの道である。

この写真では、自転車のハンドルの真上より少し右側に見えているのは餓鬼岳、右の方に見えているどっしりとした山は蓮華岳である。

北アルプスの眺めが背後に去ると明通(あけどおし)トンネル。ここが青木峠の頂上である。会吉トンネルよりも短く、交互通行の信号もないので通過に困難はない。トンネルを抜けると青木村の村域となり、地域としては中信から東信に移る。

心霊スポットとしての青木峠のハイライトはこの明通トンネルである。上田側の出口が急な右カーブになっていてその下が断崖になっているので、いかにもという感じなのだ。なお書籍「酷道をゆく2」(イカロス出版)によると、このトンネルは1890年開削で、日本最古の国道トンネルだということである。全然風格は感じないのだが。


青木村側から明通トンネルを見上げる

青木村側では、それまでとは違い、人家の全くない断崖を豪快に折り返して下りていく。春先など樹木の茂りが少ない季節は、これから下る道を眺めながら進む楽しみがある。ちなみに勾配は急ではなく、10%などという標識もあるが嘘と思われる。なお舗装はかなり荒れている。

写真は下りの途中のもの。右手の山腹に見えるコンクリートの構造物は明通トンネルで(わかりますか?)、おれはトンネルを抜けたあと写真の左側に進み、左旋回しつつ撮影者の背後を通ってこの写真の位置に来たわけである(したがって、自転車の向きが下りの向き)。

おれはこのときは修那羅峠へ向かったのだが、国道143号線をそのまま下ると、青木村の市街地を通過して上田市街に入っていく。青木村の市街地まで下ると標高は600mを切り、もう上田近郊という感じでけっこう走りにくいので気をつけよう。

© 2002-2015 tfi72. All rights reserved.
2002年1月12日初版 / 2002年9月11日差替 / 2015年1月8日更新