軍谷峠

霧島連山を眺める、林業地帯の旧道峠

読み方いくさだにとうげ
標高540m
位置宮崎県小林市
水系大淀川

実走日2010年3月29日(月)
地図などGoogle Maps地図院地図

軍谷峠は、輝嶺峠を下りてきたところにある須木から、小林に出るところにある峠である。とはいっても、軍谷峠を下ったところから小林までの道はほとんど谷間を走らず、高原の上をアップダウンしながら進むので、町と町とを隔てる険しい峠、という雰囲気は出ない。むしろ里山の小さな峠という感じさえある。

国道265号線は、この峠の区間を新軍谷トンネルという長大なトンネルで抜けている。よって峠道は旧道ということになるが、新しい舗装がされていたりもしており、林道としての第二の人生を歩んでいるような印象もある。

峠の名前の由来はわからないが、このあたりが戦国時代に島津氏と伊東氏の抗争地域だったことに関係あるのかもしれない。

ちなみに、須木には島津氏と伊東氏の重要な一戦だった木崎原の戦いに参加した両軍の武将の墓がある(確か島津側のはこの戦いで戦没したわけではなかったと思うが)。

薄暗い林の中の上り

おれは須木からこの峠に上った。国道265号線の本庄川の橋の南から、南西に進んで軍谷川をさかのぼる。あまりわかりやすい道ではないが、軍谷川の左岸に渡ってはいけない、という認識を持って進めば大丈夫だろう。

道は1.5車線くらいの舗装である。ところどころにコンクリートの溝があって蓋はされていない。その下り坂側にはゴムのヒレがついており、水が溢れにくいようになっている。スピードを落としながらそれらを通過して上っていく。

薄暗いスギやヒノキの林が続く。そのわりには脇道林道は少ない。


薄暗い林の中の上り

樹間にちらちらと須木の市街地を見るが、やがてそれは背後に去る。

スギの三角のとんがり帽子が折り重なる世界に飛び込んでいく……そんな雰囲気の左カーブをクリアすると、そこはもうトンネルだった。軍谷隧道 昭和三十年二月竣工という石板がポータルにはまっている。短いが暗くて多少漏水もある。


トンネルを抜けて霧島連山を見る

トンネルを抜けると正面に霧島連山がはっきりと見える。まあよく見えるのはトンネルの出口が伐採跡地になっているからだが。

見え方は当然輝嶺峠とよく似ている。右側の平たいのは韓国岳だし、左側のは高千穂峰だ。なお山の手前の高原に小林の市街地があるのもよく見るとわかる。

すぐに左からトンネルの上を行く道が合流してくる。林道扱いのようだが、そういえば須木側にはこれに対応する分岐はあったろうか。


下りの道

右側に深い谷を見下ろしながら下る。上りと同様、新しい舗装に溝がある路面が続く。林の中の区間はない。それにしても全舗装だったのは意外だった。

やがて新軍谷トンネルを抜けてきた国道265号線に合流する。最初はアスファルトに縦の溝が彫ってあって走りにくい。

下奈佐木まで下れば(すぐだが)峠道らしい峠道は終わりである。ここから小林までの国道265号線はアップダウンが多くて楽ではないが、樹海の向こうに霧島連山が見えるという感じで気持ちのいい区間もある。

おれはこのときは左折して奈佐木峠に向かった。

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2010年7月29日初版 / 2010年12月23日更新