井戸内峠
静かな林業地帯の峠
読み方 | いどうちとうげ | |
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標高 | 900m | |
位置 | 宮崎県児湯郡西米良村 | |
道路 | 林道米良椎葉線 | |
水系 | 一ツ瀬川 | |
実走日 | 2007年10月28日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
五郎ヶ越、日平越と来れば次はこの井戸内峠だ。日平越と同じく、林道米良椎葉線の峠道であり、美郷町南郷から西米良村村所までの峠三昧コースを形成する。道路状況、景観、雰囲気(静けさ)も日平越によく似ている。ただし、比較的路面は荒れていない。
同じ一ツ瀬川の流域であるが、日平越を越えて、おれは銀鏡(しろみ)川の川筋から小川川の川筋に入ってきたわけである。小川川の上流域からさらに山を越えて一ツ瀬川の本流筋に出るのがこの井戸内峠である。
日平越から下ってくると標高670m付近で小川川の谷底に到達する。ここが井戸内峠の上りの始まりである。ちょうどここには虹の滝という見事な滝があり水しぶきをあげている。ちょうど南から陽が射しこんでいたので、虹が見えるかな? と思ったのだがそれはかなわず。
最初は勾配は緩く、すいすいと上る。基本的に眺めのいい峠であり、正面には逆光の中にこれから越える低い尾根が見えている。振り返れば、林業開発の手が行き届いた山並みや日平越の峠道のガードレールが見える。
こちらがその振り返って見た東側の風景。日平越と同じく、人の気配はほとんどないのに、見える山にはほとんどすべて人の手が入れられている。
しばらく上り、標高840m付近でくるりと尾根を回り込む。すると今まで見えていた東側の谷の眺めはなくなる。ここからは上り基調のアップダウンだ。前方の尾根はもうすぐそこだ。
さて鞍部に到着。ここは自治体の境界ではないが、石堂山の登山口になっていて看板が多い。その中の案内図のひとつには確かに現在地名として井戸内峠と書いてある。
首都圏の――いや、山梨県や長野県でも、鞍部が登山口になっているような峠の駐車場は、秋の好天の休日ともなれば自動車でいっぱいなものだ。しかしここにはそのような人の気配を感じさせるものは何もない。本当にみんなどこへ行ってしまったのか。
さて出発。下りはやはり明るい林の縁を進む。最初は山々の眺めがあるが、上りほど風景が開けるわけではない。
少し下ると、天包山へ行く林道を左に分ける。標識によると村所(西米良村の中心集落)はそちらだし、鉱山谷なにがしという道路名にも惹かれるものがあるのだが、地形図で確認すると上りがあるようだ。それは勘弁願って、このまま井戸内へ下ることにしよう。
これから下る道を谷の向こうに見下ろしたりしつつ進む。やがて井戸内谷の谷間に下りて突き当たりに到着。左折して谷沿いに下る。養魚場がある。刈り取った稲が田んぼに干してあるのも見かける。
やがて国道265号線にぶつかり、峠道は終了する。標高は260mほど。左折すればほどなく村所だ。結局、この峠道では他の通行者には全く会うことがなかった。
2007年12月28日初版