高見峠

明るい開放的な峠

標高620m ※高見トンネル付近の最高標高です。
位置奈良県吉野郡東吉野村・三重県松阪市
道路国道166号線
水系紀の川・櫛田川

実走日2015年9月20日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

高見峠は栂坂峠の南隣にあり、それと同じく奈良盆地と伊勢湾岸の松阪を結ぶ道筋上にある。幹線国道であり、鞍部の下には長いトンネルが開通しており、三重県側にはループ橋があったりして、なかなか豪快である。一方で鞍部には旧道も残っている。……はずだったのだが。

おれは旧道を走るつもりで行ったのだが、それは通行止で、がっくりとしつつ新道のトンネルを通った。そういうわけでこの峠については不完全燃焼感および一酸化炭素発生感がとても高い。

高見川沿いの上り

おれは奈良県側からこの峠を越えた。国道の道筋はまあ措いておいて、川筋から考えると、この峠の麓は吉野川(紀の川の奈良県での名前)にその大支流である高見川が合流するあたりということになるのだろうか。であれば、おれはその地点の少し上の東吉野村の小(おむら)からこの峠道に入ったことになる。

木津川の集落を過ぎると本当に人気を感じない雰囲気だ。けっこう上るなあ、などと思いつつ国道166号線への道を分けてさらに国道の新木津トンネルの上へ上っていく。この時間から――といってももう早くはないが(8時半過ぎ)――もう国道は騒音が激しい。


アザミとツリフネソウとツルリンドウ

国道旧道のトンネルへの分岐に到着。あたりにはゲンノショウコがたくさん咲いている。

ここからは国道を避けるように進む。昨日染谷峠から下りてきた地点を過ぎるとやがて国道に合流せざるを得なくなるが、次の杉谷の集落には旧道があるのでそちらを走る。旧道走りのいいところは植物をいろいろ見られることだ。アザミ、ツリフネソウ、それにツルリンドウ。


登山者向けの案内

杉谷の集落を過ぎてまた国道に合流するところに、登山者向けの案内が出ていた。それによると……高見峠の旧道は通行止! 土砂崩れのため徒歩でも通行できない、と書いてある。ええー……。

そうしていると国道をぴかぴかのランドナーが上がってきた。乗っているのはおじさんだ。少し話をする。自転車はよく見るがツーリング装備は本当に珍しい。地元の下市の人で朝6時に出てきたとのこと。それで今日は多気にある無料のキャンプ場を目指しているそうだ。


上り

そのおじさんは少し休むようなのでおれは先に発車する。狭苦しい谷の中の山村集落を縫って豪快な道が伸びる。交通量は多いときとぱったりと絶えるときが交互に繰り返す感じで、全体としては決して多くはない。いずれにしても峠道として面白いところは特にない。道端には紫のアザミが多い。


木壁ゲート高見トンネル

しばらく行くと→高見峠の標識がある分岐があった。ゲートなどはされていない。ダメもとでそちらに入ってみる。ボロボロの舗装をじりじり上っていくとやがて高見トンネルの手前から来た道と合流する。そこから峠に向かう道には木の板を使った鉄壁の(モノは木壁だが)ゲートがある。やはりこれは旧道に入るべきではないな。残念だが新道で行こう。

そう決心し、急な坂を新道に向けて下る。そこが新道の高見トンネルの入口だ。長さは2470mと銘板にはある。向かって右側の歩道が広いようなのでそこを行こうと思う。

このトンネルはきれいな拝み勾配のトンネルで、上りも下りも緩いのでそこは評価していいと思う。緊急時用に道が広くなっているところがあり、そこだけは直角カーブがあるので走りにくい。下りに入って少し行くと、さっきのランドナーのおじさんがびゅばーっと車道を激走して下っていった。あれは40km/hは出ているんじゃないだろうか。いずれにしても、もう会うことはないのだろう。


峠に向かう旧道

トンネルを抜けると小さい公園があり、石碑などが置いてある。それによるとこのトンネルは1984年に開通したらしい。ここから先はループもある豪快な道だが、別にそれには興味がないので、旧道を行くことにする。国道の下をくぐる道をぐぐっと上り、高見峠の旧道にぶつかる。その途中では新道の立派な橋を眼下に見る。

旧道の峠への道にはゲートがないので、おそらく三重県側は鞍部まで行けるものと思われる。よく晴れた空の下、その道筋には何だか惹かれるものがあり、まあ標高差が250mくらいなら行ってもいいんじゃないか、などとも思うが、首を振ってあきらめる。そこまで時間があるわけじゃない。


新道を眺め下ろす

旧道を少し峠に向かって歩き、これから下る谷と新道の橋の眺めを見る。昭文社のツーリングマップル関西によると旧道は展望がいいそうだが、こういう感じの眺めなのだろうか。

自転車に戻って下ることにする。早く復旧しろよ高見峠、そんで今日みたいな天気のときに越えさせてくれよ、と思うが、その一方で、もう二度とこの地点に立つことはないだろうな、とも思う。


杉林の中の下り櫛田川

下りは杉林の中の区間が多い。右手にちらちらと新道を見るが、ループを見下ろすようなところはない。

木梶で旧道は終わる。そこから少し行くと木梶トンネルで、その右側に旧道があるのでそちらにそれる。新道の下をくぐったりしながらその道を楽しむ。やがてまた道は新道に合流する。

おれは高見峠越えが予想外に楽にすんでしまったので加杖坂峠を越えようと思っていたのだが、その入口を見逃し、それに気づいてじゃあ湯谷峠を越えよう、と思ったのだがそこでも道を間違え、だらだらと櫛田川沿いに国道166号線を下っていく羽目になったのであった。しょうがないので泣きたい気分で相津峠を目指す。

ちなみに、このあたりの国道166号線そのものは、交通量も多くなく、狭いところもあるが限定的で、山村ときれいな川の雰囲気はなかなかよかったので、泣きたい感じだったのはおれのあたまの中だけである。

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2016年4月21日初版