染谷峠

暗い杉林の峠

標高710m
位置奈良県宇陀市・吉野郡東吉野村
道路奈良県道28号線
水系淀川・紀ノ川

実走日2015年9月19日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図

染谷峠は栂坂峠のすぐ西隣の無名峠からさらに少し上って東吉野村方面に抜けるところにある峠である。地図上いかにもローカルな峠に見えるが、実際実にローカルな峠である。あまり整備された感じではない道が、吉野郡というのと関係あるのかどうか、深い杉林の中を貫いて伸びている。おすすめの峠というわけではないが、悪い峠でもない。ただ、雨の夕方とかにはあまり行きたくはない感じだ。

この染谷峠という名前については、おれは昭文社のツーリングマップル以外で見かけたことがない。国土地理院の地形図にも載っていないし、現地でもその名前は見かけない。どこから来た名前なのだろうか。そういうわけで読み方もわからない。

峠上りの開始地点

おれはこの峠は栂坂峠との連戦で越えた。栂坂峠から下りてきて、室生寺から来た県道28号線にぶつかったところを左折すると再び上りが始まるので、ここが今回の峠上りの開始ということになる。標高は579m。

軽く上って国道369号線に取りつく。その途中だったと思うが、道端にツリフネソウの紫の花を見かけた。


弁財天の集落

国道からはすぐに左にそれる。そこには弁財天 石楠花の丘という看板が出ている。

少し行くと小さな山村集落となる。どうもさっきの看板などから推測すると、この集落の名前も弁財天であるようだ。集落内にその弁財天の神社(という書き方でいいのか)と石楠花の丘への入口がある。


染谷峠は左

そしてそれを過ぎると特に名前はないようだが鞍部があり(冒頭に書いた、栂坂峠のすぐ西隣の無名峠はこれ)、道は下り始める。

おれはそこで左にそれて染谷峠を目指すわけだが……この道、怖いんですけどセンパイ! なるフレーズが頭をよぎる。細い頼りない道が真っ暗な森の中に続いているのだ。


暗い杉林の中の上り

そのセンパイというのが誰なのかが謎なのだがまあそれは措いておいて、それに入って深い杉林の中の急坂を上る。ヘアピンカーブでの折り返しもある。


鞍部鞍部から東吉野村側への眺め

やがて鞍部に到着。栂坂峠に続いて、これまた何もない鞍部である。行く手には多少の眺めがあるが、ただ山々が折り重なっているだけだ。


ダズル迷彩チックな杉林

少し休んで下り始める。道は1.5車線くらいだろうか。ひたすら濃い杉林の中である。路面が濡れているところがときどきある。

杉が伐り倒されたままになっている斜面の脇を進んでいくと、その先で道がぶっつりと切れているような錯覚に襲われ、思わずブレーキを引く。これはっ……ダズル迷彩?


投石の滝

下っていくと、やがて名勝 投石の滝の看板に出会う。左折して少し下ると集落があり、その入口に寺がある。自転車を停めてこの寺の奥に歩いていくとその滝がある。端正できれいな滝だし、滝へ向かう道の雰囲気もとてもよいが、他には誰もいないし、誰かが来そうな気配もない。静かな秋の午後だ。

この滝の名前の由来は何なのだ? と思ったのだが、現地にある看板には何も書いていなかった。

自転車に戻り、続きを走る。さっき分かれたところまで戻る必要はない。少し行ったところで右からやってきた県道31号線に突き当たるのだが、そこで左折して橋を渡ればさっきの道(県道28号線)に戻ることができる。

しばらくの間、さっきまでと同じように杉林の中を行くが、やがてそれは終わり道も広くなる。山村集落が断続し、じきに国道166号線にぶつかる。標高は400mあまり。この国道を東に向かえば高見峠であるが、おれはそれは翌日に回した。

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2016年3月31日初版