九鬼峠
黒潮を眺め下ろしつつ行く峠道
読み方 | くきとうげ | |
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標高 | 350m | |
位置 | 三重県尾鷲市 | |
道路 | 三重県道778号線 | |
実走日 | 1995年3月1日(水) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
九鬼峠は尾鷲の市街地から南の海沿いの九鬼に抜ける道にある。一帯はリアス式海岸で、浜辺の集落と集落を隔てる険しい尾根を越えるという風情であり、生活感はあるが人の気配自体はあまりない。海の眺めはなかなか素晴らしい。
おれが行ったときには既に八鬼山トンネルが開通していたのでこの道は国道311号線の旧道だった。しかしこの南の賀田より先の国道311号線は当時は未開通で、陸の孤島というか袋小路というかそんな感じだった。ちなみに鉄道の紀勢本線が最後に開通したのもこの区間だ。
峠を越える前の晩は風雨で、いったいどこにテントを張ろうかと考えていたのだが、渡りに船で、大曽根浦駅の近くに立派な屋外ステージがあった。雨も風も当たらず実に快適な夜だった。問題をあえて挙げればペグが刺さらないくらいか。もちろん注文を言える立場ではないが。
次の朝は目覚めてあたりを見回してみると、尾鷲市の裏手の山がうっすらと雪化粧していた。春の紀伊半島はあなどりがたい。
上り始める前に、路肩に道路工事の標識があり、そこに九鬼峠と書いてあった。名前なんてないだろうと思っているとちゃんとあった、というのはちょっと嬉しい。
通行のほとんどない1.5車線路が続く。海はすぐそこなのだが、森が深く、林道を走っているようだ。ちらちらと青い海が見える。
無名橋3と名づけられた(?)橋を渡る。この無名橋シリーズは確か8か9まであった。
急坂は最初だけで、あとは割とだらだらとした勾配が続く。展望もかなり開ける。海も美しいが、足元の山肌は荒廃した感じだ。
途中、木材を運び出している人に出会った。やはり林道的なのだ。
ぱっと海の美幌峠のような風景が展開すると、そこが頂上である。ここからの下りはけっこう過激で、足元に集落や八鬼山トンネルを通ってきた国道311号線などが見え、標高差に驚かされる。
ちなみに、峠のこちら側に下りてしまうと、あとはもうどう走っても峠を越える以外なかった(当時、海沿いの国道311号線が未開通で抜けられないことは上に書いた通り)。おれはどうしようか考えた末、いちばん楽そうな、賀田から国道42号線に直登するルートをとったのだが、これがまたとんでもない激坂だった。
2002年7月15日初版 / 2010年4月7日更新