アセボ峠
花咲くシンプルな峠
標高 | 470m | |
---|---|---|
位置 | 滋賀県湖南市・甲賀市 | |
道路 | 滋賀県道53号線 | |
水系 | 淀川 | |
実走日 | 2015年4月26日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
アセボ峠は琵琶湖から南東に少し入った湖南市から信楽に直接抜ける道にある峠である。地元民以外には、地図を見ていてもどういう雰囲気の峠なのか想像がしにくい感じだと思うが(おれはそうだった)、適度に(信楽側はかなりかも)ひなびた感じのいい峠だった。
あまり特徴がある峠道だというわけではないのだが、花がたくさんあって、そこは楽しかった。
おれは峠の真東にある貴生川(きぶかわ)からわざわざ遠回りをして北西に進み、この峠を北から越えることにした。
県道4号線で山麓を軽いアップダウンで進む。やがて三雲トンネルへ。上りで曲がっているトンネルだが、特に狭くはないし交通量も特に多くはないので通過に困難はない。ただ、ファンの音がけっこう威圧的でうるさい。トンネルを抜けると右手に野洲川沿いのとてもささやかな展望がある。
やがて県道53号線の分岐に到着。左折してそれに入る。標高は180mあまり。
2車線のやや整備された感じの峠道だ。交通量は多くない。右側が谷川である。最初のうちはサクラが咲いている箇所がある。路傍には昨日の安楽越と同じようにスミレがある。キランソウやマムシグサ(たぶん)もけっこう多い。また1箇所だけだがアケビの花が咲いているのも見る。
細かいところを書くと、スミレはスミレ(マンジュリカ)とオカスミレの2種を見たと思われる。
少し行くと左側に金命水という清水がある。ありがたや。飲んでみるとなかなかの甘露である。空の容器を持ってきていないのをちょっと後悔する。
どうでもいいことだが、ここの看板にはこの県道は牧―甲西線です。将来は第二名神に通ずる重要な道路です。この道を大切に・・・ ちょっと一服 水飲んで 心休めて ぼちぼちと 三雲大日大聖不動明王と書いてある。これはっ……不動明王からのメッセージ?
上りは続く。昨日の安楽越と違って鳥の声がよく聞こえる。また人生で初めてウグイスの姿を見た。コバノミツバツツジの花が多い。
また細かいところだが、昨日安楽越で見たのはミツバツツジ(コバノがつかない)と思われるので、近所の峠ながら微妙に違うということだ。
勾配は決して緩いわけではなく、9%の標識もあるが、ペースが合っているのかどうか、走りやすく感じる。あまり変化のない道だが、見事な180Rのヘアピンカーブが複数回ある。その内側ではさすがに上りはきつい。あと、前に筒井峠で見たありがとうございますの標柱はここにもある。ロードレーサーは多くはないがぽつぽついる。
やがて鞍部に到着。ここには峠名を示す看板はないが、法面のコケに誰が刻んだのかアセボ峠 470の文字がある。休んでいる間、キツツキのドラミングの音が林の中に響いてくる。
下り始める。鞍部に10%の標識があったが、実際かなりの下りである。途中には11%の標識もある。明るい林の中に、折り返した白いガードレールが陽射しを受けて光り輝いて伸びているのが見える。路傍のコバノミツバツツジはますます多い。
しばらく下ると林の中を抜けて風景は盆地風になり、耕地と集落が始まる。耕地の周りに高い柵があるのは昨日の安楽越と同じだ。そして同時に、昨日亀山のあたりで思ったのと同じように、どこか懐かしい風景のように感じる。
少し行くと紫香楽宮の案内看板があり、それによるとさっきそばを通ってきた耕地のあたりが紫香楽宮の中心部だったのだとのこと。へぇー……。実感も何もない。
そこは小さな盆地のはずれで、もう峠の下りは終わったといっていいだろう。このあたりの標高は280mくらいである。南下して国道307号線に出ても270mほどだ。信楽の市街地へはもう少し距離がある。
2015年7月30日初版 / 2015年9月10日更新