山伏峠
うねうね県道峠
読み方 | やまぶしとうげ | |
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標高 | 600m | |
位置 | 埼玉県飯能市・秩父郡横瀬町 | |
道路 | 埼玉県道53号線 | |
水系 | 荒川 | |
実走日 | 2006年4月9日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 峠 秩父への道 | |
同名峠 | 山伏峠(山梨県) |
山伏峠は、青梅と秩父を結ぶ主要地方道の峠である。道自体は未整備でうねうねしているが、幹線道路であり、交通量も多く、走っていて常に人の気配を感じる。
しかしその騒がしさをある程度打ち消してしまう何か(山里の風景とか静けさとかだろうか)がこの一帯にはあり、それがこの峠をヤビツ峠化から救っている。
おれは南の名栗側から上った。かつての名栗村の中心部の標高は250m弱。じりじり上り、森河原で天目指峠への道を分ける。
道幅は2車線だが、ところどころに1.5車線も混じる。意外と交通量は多い。ロードレーサーは多いし、オートバイもやたら多い。風景はひなびていて、家々に花々が咲き乱れている。
やがて眼前に迫力ある山体が迫ってくるが、これから越える山伏峠にしてはどう見ても標高ありすぎだよなあと思っていると、案の定、名郷で道は右に折れた。
名郷で右に折れずにまっすぐ行ったところにある峠は妻坂峠である。書籍秩父の峠および峠 秩父への道には、かつて名郷と秩父の町を結ぶ峠道には山伏峠と妻坂峠があり、後者の方が険しいが短いので、もっぱら後者が使われた、とある。もちろん今では車道のある山伏峠しか使われない。
ここからは道幅は1.5車線そこそことかなり狭くなる。湯の沢でヘアピンを折り返してさらに上っていく。幹線道路のはずだが集落はのどかだし道路は未整備。やけに多い交通量だけが幹線道路的だ。
この里山風のどかさとヘアピンカーブの組み合わせは……長野県の四人峠に似ているのだが、こんなたとえでわかる人がどれだけいるのだか。
八ヶ原では斜面に集落があり、道はその手前で右に折れる。しかし集落の上方にガードレールが見え、見ているとそれはこれから上る道らしい。峠野郎魂に火がつく一瞬だ。
その八ヶ原の集落の東側を巻いて上り、やがて今度はそれを見下ろすようになる。風景自体はとてものどかな山里だ。しかし写真を他の通行者を入れずに撮るのはなかなか大変だった。
それにしてもこの八ヶ原という集落はこのやかましい県道に三方を囲まれているわけで、少し気の毒になる。この交通量と風景のギャップには物珍しさは多少あるけれど。
八ヶ原を過ぎてスギ林の中を少し行くと、浅くて長い切り通しの鞍部に到着。ここには峠であることを示す何物もない。
下りは上りよりは道は広いが、舗装は古く荒れている。正丸峠からの道が合流するとまた道は狭くなる。しばらく下ると国道299号線に合流。もうここからは道に何も期待するまい、そう思っていたのだが、緩い下りが長く続き、向かい風にもかかわらずかなり楽である。こんなに下っていいかしらと思う。
秩父市の市街地まで下ると標高は230m程度である。
2006年6月16日初版 / 2012年11月29日更新