土坂峠
千本桜のある? 県道峠
読み方 | つちさかとうげ | |
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標高 | 710m | |
位置 | 埼玉県秩父市・群馬県多野郡神流町 | |
道路 | 埼玉・群馬県道71号線 | |
水系 | 荒川・利根川 | |
実走日 | 2010年4月18日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 秩父の峠 |
土坂峠は太田部峠や矢久峠と同じく秩父から神流川筋に出る道にある峠である。主要地方道だから、その両者よりはメジャーな峠と思われる。
地図には土坂千本桜という文字があったので、春の桜のシーズンを狙って行ってみた。……はずなんだけどね……。
桜はともかく、意外と観光化はされていないし、未整備さも残っていて、道として案外走っていて楽しめた。
おれは秩父側の皆野からこの峠を目指した。県道37号線で河岸段丘のような少し高いところを走る。風景は田舎びている。桜、ハナモモ、ミツバツツジ、ヤマブキ、モクレンなど、いろいろな花が民家の庭に咲いている。
だんだん谷は狭くなってくるがなかなか集落は途切れない。しかし雰囲気はのどかである。山伏峠の名栗側の風景にも似ている。
上吉田で合角ダムへの道を分けるとそろそろ峠道の本番のようだ。土坂トンネルまでの距離標が比較的頻繁にあるのはありがたい。カイドウ街道というのぼりが立ち、ハナカイドウの並木が始まる。咲いていれば見事だろうが、まだほころびかけたつぼみがちらほら見られるくらいである。
明ヶ平や小川の集落は桜を中心として本当に花盛りである。交通量も吉田の中心街あたりと比べるとだいぶ減っている。右手前方にガードレールが見え、けっこうな落差を感じる。
小川を抜けると勾配はかなりきつくなる。左側に三面コンクリートの川が流れているが、その傾斜と落差を見ていると、こりゃ相当なもんだなと思う。
その川の対岸には大規模な山腹工がしてあり、その中を白いガードレールが折り返して上っている。最初、これを上っていくのかと思ったのだが、そうではなかった。道は逆に右に折り返してしまうのだ。これは旧道だったのかもしれないが、実際どうかはわからない。少なくとも入口にはゲートが下りていた。
折り返すと路肩に雪が残っているのが見られるようになる。路面は悪くないものの、狭めの2車線という感じになり、ようやく雰囲気が出てくる。右手に小川の集落を見下ろし、向こうには武甲山が見える。急勾配も一息つく。
林の中の区間が初めて現れるが、それは多くない。山腹にガードレールが延びるのを見る、明るい区間が続く。道端には植えたのであろう桜が多いが、並木というほどのものではない。
鞍部の手前では左後方に再び彼方の山が見えてくる。武甲山ではなく、もっと西の甲武国境あたりの山である(大洞山や雲取山など)。武甲山もそうだったが雪が残って白っぽい。
鞍部のトンネルに到着。トンネルは交通量は多くないし、特段狭くもなく、まっすぐで照明もあるので問題はなさそうだ。入口の左側には神流町の観光案内看板があり、そこにはこれから下る道に桜並木(4月)とある。期待して下ろう。
下り始める。北側斜面だから予想はしていたが、路肩の残雪の量は増える。雪が塊になっているから、除雪の跡としか思えない。桜はこちらにもぽつぽつある。まあ、桜と雪の峠というのはそうそう味わえるものではなかろう。上りと同様に林の中の区間は短く、道は明るい。
2010年は春が遅く、この日の前日(4月17日)には早朝に都心部でも雪が積もるくらいだった。例年は雪などゆめ残っていないと思う。
しばらく下ると道路の右側の谷川に床固工があり、そこに小さな桜の並木がある。それを過ぎると神流川を渡って国道462号線にぶつかる。標高は320mほど。……ええと? 千本桜は?
真相は不明だが、確かに峠の両側で全般的に桜は多かったものの、それとは別に峠の北側に千本桜とか桜並木とか呼ばれるものがかつてあったのだろうと推測する。そして今は何かの理由で衰退してしまった、と。
2010年12月23日初版