塩之沢峠
山国の素朴で豪快な峠
読み方 | しおのさわとうげ | |
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標高 | 1020m | |
位置 | 群馬県多野郡上野村・甘楽郡南牧村 | |
道路 | 群馬県道45号線 | |
水系 | 利根川 | |
実走日 | 2003年4月17日(木) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
塩之沢峠は群馬県東部の峠で、利根川の大支流である烏川のそのまた大支流である鏑川と神流川との分水界にある。交通量は多くなく、斜面を執拗に折り返す道路や、のどかな沿線の景観も楽しめる。
おれはこれを越える前にぶどう峠を越えてきていたため、ぶどう峠から見ればおまけのようなものだろうと甘く見てかかったのだが、存外きつかった。
なお、現在は湯の沢トンネルという長大なトンネルが開通しており、これを使うと標高は710mほどとなる(トンネルの坑口の標高までしかわからないが)。楽をしたい場合には非常に利用価値がありそうである。
ぶどう峠を越えてきたおれは、国道299号線沿いの公園で水を補給してから、この峠に向かった。400mほどのアップとなる。
通行止の十石峠へ向かう国道299号線から右にそれ、県道45号線に入る。まあまあ整備の行き届いた2車線である。国道299号線の交通量がけっこう多かったから心配していたのだが、交通量は多くない(ぶどう峠よりは多いが)。いかにも地すべり地帯らしく、左手の見上げるような斜面に集落がある。
集落がぽつぽつあるが、勾配はかなりきつい。やがて左手奥の山腹に白いガードレールが見えてくる。あれに上るのか。心の準備が……。
うどん屋を過ぎると、ワインディングの続く本格的な峠道が始まる。それと同時に、勾配は幾分緩くなる。標高は750mほど。
上野村側の逆光の茫洋とした山並みと、今まで上ってきた道とこれから上る道の眺めを楽しみつつ上る。人家はまったくない。山は枯山だが、地味な花(カバノキ科?)がたくさん咲いている。
鞍部が近くなると、上方の斜面に御荷鉾林道のガードレールも見えてくる。御荷鉾林道は、最初に左側から合流し、次に右側に分岐していく(ちなみに、御荷鉾林道は2003年は4月20日まで冬期閉鎖とのことだった)。それを過ぎるとすぐに鞍部のトンネルである。
トンネルは急な下り勾配。抜けた向こうには砂だらけの荒れた下りが続く。おれはそれを確認してUターンし、御荷鉾林道を少し西側に入って、道路脇の空き地で野営をすることにした。南牧村の市街地まで下ってテン場を探すのが面倒だったからだ。
しかしあまりいいテン場ではなかった。すぐそばに落石がころころ落ちてくる崖があるし、バッコヤナギの花(花びらのない、少々グロテスクな花)が満開で、蜂がぶんぶんとうるさかった。
翌朝はどんよりとした曇り空。そんな中をおれは南牧村側へ下った。前日に見た通り路面に砂が多い上に、幅も1.5車線ほどしかない。
南牧村側は、特徴ある山々を望むことができて楽しいが、木が多いのでこれという展望スポットはない。妙義山や荒船山ががきがきとした尾根を連ね、まんが日本昔ばなし風の風景を作っている。その向こうに残雪を頂いた浅間山も見えるのだが、何となく場違いな印象だ。
しばらく下ると斜面にへばりついた集落がある。桜が咲き、なかなかの風情だ。やがていかにも山峡という感じの磐戸の集落で峠道は終わる。標高は340mほど。
2003年4月26日初版 / 2010年4月7日更新