定峰峠
花咲くのどかな観光峠
読み方 | さだみねとうげ | |
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標高 | 610m | |
位置 | 埼玉県秩父市・秩父郡東秩父村 | |
道路 | 埼玉県道11号線 | |
水系 | 荒川 | |
実走日 | 2011年4月17日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 峠 秩父への道 |
定峰峠は、秩父盆地から東に進んで、関東平野の端にある小川町に抜ける途中にある峠である。主要地方道だがあまり整備された感じはない。……近くの山伏峠と似たようなことを書いているが、実際似た感じの峠だと思う。
ただ、道路沿いに桜がたくさん植えてあったり、展望がそこそこよかったりという点は、山伏峠とは異なる。(おれが行ったのが桜のシーズンだったせいもあるだろうが)交通量は多めだが、なかなか楽しい峠だと思われる。
なお定峰峠の峠道は、現在では秩父盆地と東秩父村を結ぶ峠道としては随一のものであるのは間違いないが、書籍峠 秩父への道によれば、かつてはそのメインルートは粥新田峠だったとのこと。車道の開削は1955年であること、旧峠は現在の峠よりも2kmほど北西にあることも書いてある。
おれは西の秩父盆地側から上った。皆野へ行く県道82号線を分け、定峰川沿いに上り始める。標高は210mほど。
ときどきバイクの軍団が来て賑やかになったりするが、それはタイミングの問題なのだろう。全体的には交通量がめちゃくちゃ多いということはない。ただ、けっこう自転車は通る。
味のある集落が続き、ハナモモやミツバツツジや終わりかけの桜がたくさんある。道は途中で2車線から1.5車線になる。勾配は緩い。しばらく定峰川の沢沿いに上り、左に折り返して山腹に上りつく。
すると桜の並木が始まる。ほぼ満開くらいのようだ。他にもミツバツツジやヤマブキが斜面で花をいっぱいに咲かせている。しかしそれはずっとは続かず、やがて道はやや薄暗いヒノキの林の中になる。
それを抜けると左手奥遠くに両神山が見え、そして定峰の集落の上端部分となる。ハナモモ、レンギョウ、ユキヤナギ、シバザクラ、……。小さな集落にありったけの花々が咲いている。
それを過ぎて進み、また折り返す。少し進むと、さっき通過した定峰の集落、その向こうのごみごみした荒川沿いの集落を、両神山を背景に見下ろす。
その後も、おおむね明るい広葉樹林と、部分的に薄暗い針葉樹林を繰り返して進む。気がつくと、ミツバツツジやヤマブキは姿を消しており、花は終わりかけの桜とキブシ(地味な花)くらいである。勾配はしばらくの間緩かったが、徐々にきつくなってきた。
なかなか決定的な展望スポットというのはなかったが、鞍部の手前に非常に眺めのよい一角があった。定峰の集落をやや遠めに見下ろし、正面に大きな建物(おそらくは大野原の太平洋セメントの工場)を眺め、そして彼方に両神山を見る。
やがて東秩父村の標識のある鞍部に到着。右側に林道(奈田良線)が分かれており、そこに峠の茶屋(そういう名前)がある。自転車の軍団が休憩している。おれは眺望を求めて林道に入って少し(100mくらいか)行ってみた。北東側に山並みが終わり関東平野が広がる眺めがある。
さて下り始める。道幅は2車線になるが、路肩が狭く、上りよりかえって狭苦しい印象がある。さっき鞍部の近くで見た関東平野への眺めは開けない。やはり終わりかけの桜がぽつぽつある。強烈なヘアピンカーブで斜面を折り返して下り、1段下の道を見下ろすようなところもある。
しばらく下ると左手眼下に桜やハナモモやミツバツツジに包まれた白石の集落を見下ろす。
やがて白石の集落に到着。さっき見下ろした花いっぱいの風景の中、槻川を渡る。標高は353m。
川を渡ったところで折り返し、その右岸を下る。道は広くなる。相変わらず道沿いの集落には花が多い。東秩父村の、花にかけるこの情熱はいったい何なんだと考えつつ、谷間の道を下る。
2011年4月28日初版 / 2012年11月29日更新