七重峠
やや明るい雰囲気の中の林道峠
標高 | 690m | |
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位置 | 埼玉県秩父郡東秩父村・比企郡小川町 | |
道路 | 林道荻殿線(東秩父村側)・林道栗山線(小川町側) | |
水系 | 荒川 | |
実走日 | 2011年5月21日(土) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
七重峠は、定峰峠の東麓にある白石の集落から、定峰峠とは反対に東に進んだところにある峠である。よって槻川の谷を挟んで定峰峠とだいたい正対するところにある。
観光峠である定峰峠と比べれば静かな峠である。とてもいいというわけではないにせよ、平野側のそれなりの展望もある。
ちなみに、笠山峠という呼び名もあるようだ。これは笠山の南側の鞍部を越えるからだろう。
おれは東秩父村側から上った。小川町から槻川沿いに県道11号線を進む。ポピー開花中という秩父高原牧場の看板があちこちに立っている。
それにしても自転車(レーサー)が多い。抜いたり抜かれたりを繰り返すのはややうんざりする。もちろん多くは定峰峠を目指すようだ。
白石の集落の直前で左に林道荻殿線起点の標識の出た分岐があり、正面の斜面にガードレールが見える。ここが峠の入口だ。標高は310mほど。ヘアピンを折り返してさっき見たガードレールに上りつくと白石の集落を見下ろす。
いきなりかなりきつい勾配で上る。通行はほとんどないが、定峰峠の道からオートバイのエンジン音が間断なく聞こえ、静かではない。
道路の両脇にはアジサイがたくさん植えてあるが、まだつぼみが出ているだけで咲いてはいない。咲きそろえば見事な眺めになることは間違いないだろう。よく見ているとコアジサイもあり、ごく一部の花は開き始めている。
展望のほとんどない1.5車線路が続く。沿道にはヒノキなども植えてあるが、主役は広葉樹だ。白い花がたくさん咲いている。ミズキ、ウツギ、マルバウツギ、ミツバウツギ、コゴメウツギ、そしてヤブデマリ。特にヤブデマリは野生のものを初めて見たのでとても感動した。
断っておくと、別にヤブデマリは珍しい植物でも何でもないと思う。
きつい勾配をしばらく行くと、右側の眺めがやや開けてくる。谷の向こうに緑に覆われた浅めの斜面、そして定峰峠の鞍部が見える(路面は見えない)。手前の斜面にはびっしりと花をつけたミズキが目立つ。やがてこれから上る道のガードレールが見え、それに上りついていく。
それを上ってヘアピンを左に折り返して上り続ける。こんなところにヘアピンなんてあったっけ、そう思って地図を確認すると、そのヘアピンは白石峠への分岐のある交差点だ。白石峠へは、林の中に藪に覆われつつある細いダートが伸び、入口は簡単に封鎖されている。これが地形図に2本線で出ている道だとは。
左手にこれまで上ってきた方面の谷の眺めがある。ミズキの白とフジの薄紫が斜面を地味ながら飾っている。じきに鞍部である。
峠の標柱のようなものはない。自動車が何台か停まっているが、それはここから笠山への登山道が伸びているからだろう。かなりもやっているが、右側には平野の眺めがある。
少し下ると左に林道萩平笠山線が分かれている(閉鎖されていたように思う)。そこに案内看板があり、そこに七重峠の文字がある。
峠に上る途中の看板では笠山峠というのも見かけた。厳密には、この峠のことを指していたのかどうか定かではないが。
平野を正面に見つつ下る。右手の斜面には背の低いヒノキがきれいに植えてある。上っているときには鞍部の近くには針葉樹はほとんどなかったと思うから、そこは峠の東西で異なる点だ。
やや開放的な道が続く。途中に延命水という清水があったが、例によって自動車が停まって給水中だ。これもまた例によって沸かしてから飲んでくれ系の掲示も見えるので、素通りする。
少し行くと小川町の市街地が右手に見えてくる。さらに行くとコンクリートの桟道があり、その突き出すような左カーブから小川町の市街地と栗山の集落を一目に見下ろす。なかなか旅情の誘われるシチュエーションだ。
そしてこの写真がその桟道付近からの眺めである。
どこか上野原の和見の集落(和見峠参照)を思い出させるような栗山の集落を通過し、やがて道路は赤木で谷沿いの道にぶつかる。左折して進む。前回の高篠峠から下りてきたときと同じようにシャガの花が多い。
少し行くと谷間は広くなる。右に槻川の川原があり、親子連れが水遊びをしている。やがて広い道にぶつかる。県道11号線だ。この地点の標高は標高120mほど。ちなみに小川町の市街地に出るだけならばここで県道11号線に出る必要はない(槻川の南岸を行く道がある)。
2011年10月13日初版