傘杉峠
斜面にある山村の風景がよい峠
読み方 | かさすぎとうげ | |
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標高 | 550m | |
位置 | 埼玉県飯能市・入間郡越生町 | |
道路 | 林道八徳入線(飯能市側から鞍部まで) | |
水系 | 荒川 | |
実走日 | 2012年10月21日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
傘杉峠は、顔振峠と花立松ノ峠の間にある峠である。南側(飯能側)から直登する車道はあるが、北側(越生側)に下りる車道はない。そちら側に下りる道でもっとも近いのは花立松ノ峠の峠道ということになる。
南側の峠道の雰囲気は、すぐ隣の高山不動のあたりの道とよく似ているが、陽当たりのいい明るい斜面に立地する集落の中を行く区間が長く、眺めもいいので、とても楽しいものになっている。
上記のような都合で、傘杉峠に上るとなると南から上るしかないわけである。標高185.3mの吾野駅から国道299号線を横切って県道61号線に入る。すぐに道は二手に分かれ、右が顔振峠と標識が出ている。おれは左を選び、ちょっと名前はわからないのだが涼しげな川に沿って進む。そしてその次の分岐では右にそれる。
この付近では、おれと同じ向きの自転車少年ふたり組に出会った。さいたま市を朝5時半に出てきたのだと言う。気合入りすぎだろ……!
彼らを抜いて上り始める。薄暗い林の中の川沿いの細い上りである。ナトリウムや蛍光灯の街灯がまだ点っている。木洩れ日がチンダル現象を起こしている。気づくと吐く息がちょっとだけ白い。
しばらく行くと八徳の集落があり、右に林道八徳入線の標識が出ている。これだ。ローマ字によると八徳はやつとくと読むようだ。少し休んで上りにかかることにする。
めりめりと急坂を上ると林の中を抜けた山腹となり明るくなってくる。まばらな集落は続く。少し行くと集落の中にこれから上る道のガードレールが見えてくる。その中を上っていくと南西方向の山々の眺めが開ける。いい雰囲気だ。
写真を何枚か撮っていると、さっきの少年たちと、おれと同じくらいの年齢の男性が一緒に上ってきた。男性はここへ来る途中に追い抜いた歩きの人だ。少年たちに追いつかれて三人連れになったのだろうか。集落の雰囲気がのんびりしているので、旅は道連れという古風なノリが何だかしっくりくる。
おれは一足先に出発する。道は左カーブして山腹にある集落の中を抜けていき、さっきおれが少年たちと男性に追いつかれたあたりを見下ろす。その後は短い暗い林の中の区間があったが、またさっきと同じようにこれから上るガードレールを見上げる。
さらにそれをクリアしていくと、南側の眺めがいよいよ雄大になってくる。左手彼方には丹沢山系が見えている。正面(この写真だと自転車のハンドルの真上あたり)には富士山があたまだけのぞかせている。そしてその手前には屏風のように川苔山や酉谷山のような奥多摩の山々が見えている。
広角で撮った写真を連結したせいで繋ぎ目が変になっているんですが、直すのはムリなので勘弁してください。
ほぼ同じ地点からの写真をもうひとつ掲載しておく。
このあたりでは、さっき上ってきた道を見下ろすことができ、そこをさっきの三人連れがこちらに向かって上ってくるのが見えた。彼らはこちらに気づいて手を振る。こっちも振り返す。……こんなことを前にやったのはいつだったっけ?
それを過ぎるとまた林の中になる。上の方からカツカツと人が走る音がする。意外と早くグリーンライン(尾根道)に到達。やけに顔振峠方面から刈場坂峠方面に向かって走っている人が多く、ゼッケンをつけているので、どうやら大会か何からしい。
傘杉峠の鞍部はこの尾根道を200mほど北に進んだところにある。さっきの三人連れが上がってくるのを待って、一緒にそこへ向かう。眺望は何もないが、峠の標柱だけはある。
反対側に下りる車道はないので、ここからどうしようというところだが、おれは引き返して顔振峠を経由して毛呂へ下りることにした。三人連れとはここでお別れである。
2012年10月21日初版