釜伏峠
秩父の山並みと山村風景を眺める峠
読み方 | かまふせとうげ | |
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標高 | 540m | |
位置 | 埼玉県大里郡寄居町・秩父郡皆野町 | |
道路 | 埼玉県道361号線(皆野町側の一部)・林道能林線(皆野町側の一部) | |
水系 | 荒川 | |
実走日 | 2011年12月4日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 | |
関連書籍 | 秩父の峠 |
釜伏峠は、寄居の市街地の南西にある釜伏山の南東の尾根を越える峠で、定峰峠・粥新田峠・二本木峠・塞神峠・葉原峠と同じ稜線上にある。展望は特にいいわけではないが、激しく折り返す道の様子、急峻な山腹の風景、その中にある山村の雰囲気が楽しめる。あまりきつくはないので、足慣らしなどにはもってこいだろう。
なお例によって稜線伝いにこの峠に到達するルートもある。おれが走ったのはそちらではなく、あくまで峠の鞍部を最高所として越えるルートである。
おれは寄居側からこの峠に上った。国道140号線を西に向かい、波久礼駅前で荒川を渡る。波久礼駅の標高は112.7mだ。
荒川を渡る寄居橋からは正面の山の紅葉が美しい。突き当たりにはみかん山の案内がたくさん出ている。半年前には埼玉でミカンがとれるのかと驚いたのだが(二本木峠参照)、むしろミカンはこの地域の主要な産業であるらしい。左折して風布を目指す。
道幅は1.5車線ほどだが極端に狭い箇所もあり、待避所が至るところにある。実際交通量はそこそこある。小林みかん山への、看板のやたらたくさんある分岐を過ぎて少し行くと釜伏川の対岸から子どもの声がしてくる。遊歩道があるようだ。道路が狭いので、遊歩道が別になっているのはいいことだ。
しばらく行くと風布に到着。右手の斜面沿いに家と果樹園があり、ふっさりとした木に黄色い実がなっているのが遠目にもわかる。
やがて皆野寄居有料道路のランプの入口に到着。地図を確認し左折してランプに入る。皆野寄居有料道路の下をくぐると左に1車線の急坂路が分岐している。これだ。その20%くらいありそうな急坂を上り始める。後ろの斜面に風布のみかん山が見えてくる。
しばらく行くとヘアピンを折り返す。超急坂はいったん一息つく。終わりかけの紅葉が美しい明るい林になるが、それは長くは続かない。
やがて道は薄暗いスギとヒノキの林の中のヘアピンでの上りの連発になる。下草はあまりなく、上下の段のガードレールがよく見える。木の幹と幹の間の空間にまたびっしりと木の幹が見えるさまは、岩井堂峠や中津川の三国峠を思い出させる。
ずっと眺めは全然なかったのだが、やがて木々の向こうに明るい関東平野の眺めが出てくる。もっとも、本当に木々の向こうであるから、普通の意味では全然いい眺めではない。
やがて道はT字路に突き当たる。左折の方向に通行止の看板が出ている。道標があり、釜伏峠は右折で1.8kmだ。それに従って右折して進む。勾配はもうだいぶ緩い。
書籍秩父への道によると、このとき通行止だった左折の方向が本来の峠道の筋だったようだ。つまり、寄居側の麓の集落は風布ではなく秋山だったということだ。
少し行くと小さくてまばらな釜伏の集落を通りかかる。まっすぐな完全1車線の、イチョウやカエデが美しい道だ。いい道だなあ、と思う。ちなみに風布を過ぎてからは通行はほとんどない。
その集落を過ぎるあたりに関所跡の看板がある。それを過ぎるとじきに釜伏峠に到着である。
鞍部には大きな案内看板や木の標柱があり、どちらにも釜伏峠の文字がある。そばには東屋があるほか、右には釜山(かまやま)神社の参道がある。あまり雰囲気のある峠とは言いがたい。
神社に行けば眺めがいいかも、と思って神社まで行ってみたが、参道から、ここまで来る道と同様に樹間にちらちらと眺めがあるだけである。
では少し東側に行ってみたら眺めがいいかもしれないと思い少し進んでみる。地形図だと道が二手に分かれているが、左は基本的に廃道である。少し上ってみたがやはり特にいい眺めというものはない。
引き返して下り始める。ここからは県道361号線だ。スギの林があるが明るく、右側には木の向こうに浅く広い谷が開けているのが見える。明るい雰囲気だ。その中をローディの軍団が上ってくるが、大部分は自転車を降りて押していた。この勾配だとローディは停まるともう発進できないのかもしれない。
その明るくて狭いワインディングを下っていくと秩父の山並みがよく見えてくる。平らでぎざぎざな頭の両神山も見える。その前景には黄色いミカンが実る果樹園がある。
小さな平草の集落を抜けていくと交差点に出る。右に折り返して斜面を下っていく道の方が立派に見えるのだが、ガードレールに貼ってある案内板によると左に行くのが県道で、右に下りるのは林道とのこと。
この案内板は手書きで、林道について70%以上の車がUターンしてきます。(笑)
と書いてある。そんなひどい道なのだろうか。まあ別にいいや。そちらの方が谷筋を取り替えることのない純粋な峠道だと思うので、そちらに進むことにする。
あとで知ったが、書籍秩父への道によると、本来の峠道は、現在の県道にほぼ一致するルートで進んで、小根へ、そして小平へと下りていっていたようだ。
ワインディングを繰り返して進み、能林に出る。確かに狭かったがそう極端なものでもなかった。振り返ると後方の上方にさっき通り抜けてきた平草の集落が見える。
能林は本来静かな山村のはずだがその頭上を皆野寄居有料道路が通っている。この付近には道路沿いに湧水もあった。それを過ぎるとじきに広い道に出る。県道82号線だ。標高は150mあまり。
2012年1月5日初版 / 2015年1月8日更新