刈場坂峠
急峻で爽快な好展望舗装林道峠
読み方 | かばさかとうげ | |
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標高 | 818m | |
位置 | 埼玉県飯能市・比企郡ときがわ町 | |
道路 | 林道苅場坂線・林道奥武蔵支線 | |
水系 | 荒川 | |
実走日 | 2007年3月28日(水) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
刈場坂峠は、正丸峠の北隣にあるローカルな舗装林道の峠である。周辺のサイクリストの間ではけっこう有名な部類に入ると思われる。鞍部からは北側の眺めがよく、それは確かにこの峠の人気の一因になっているだろうけれども、急峻な道の雰囲気や静かな山村の気配もこの峠の特徴として忘れることはできない。
なお、個人的にはおそらくこの峠くらいのきつさがちょうど普通と言うのにふさわしいだろうと思う。
この峠名の読み方(かばさか)は、書籍秩父の峠および峠 秩父への道での振りがなによった。国土地理院の数値地図だとかりばさかだったりかりばざかだったりする。
標高301.8mの西武鉄道正丸駅から国道299号線を上り、正丸トンネルの手前で右(正丸峠に向かう方)にそれる。とたんに人気がなくなる。
国道から分かれて少し行くと今度は林道苅場坂線の標識が出ている。ん? 刈ではなく苅なのか。
正丸峠と違って初めから勾配はきつい。スギやヒノキの林の中を、左手に高麗川の渓流を見つつ行く。巨岩が多いのが妙に気になる。荒れ川なのだろうか。
しばらく上ると刈場坂の集落である。静かな山村である。東京の桜はもう2分咲きくらいであるが、こちらは桜などは問題外で、梅が満開である。
集落を過ぎると右手の谷とその向こうの道筋の眺めがよくなってくる。高麗川を渡り折り返して上っていくと、これまで上ってきた道を見下ろし、さらにこれから上る虚空蔵峠のあたりの道を見上げるポイントがある。高度差やスケール感はそれほどでもないが、いよいよ峠らしくなってくる。
それがこの写真だが、谷の向こうの下の方に1段目、谷の手前の下の方に2段目、今自転車のある3段目、谷の向こうの上の方に4段目の道が見えているという図である。あまりわかりやすくはないかもしれない。
この峠道では、数は多くないが、湯峠と同様に、路面を斜めに横切る縦のゴム板が埋まっているところがある。もちろんこちらは舗装だが。
虚空蔵峠が近付くと、南側の展望が多少開ける。逆光の中の山並みと、その向こうの都市の眺めである。今回も西武ドームが見える。それを眺めつつ、これはつまり山並みがまさに終わろうとするところの景観なのだ、とふと思う。まあそれは仁田山峠も正丸峠も同じはずだが。
虚空蔵峠(標高710m)には東屋と木の標柱があった。それを過ぎても上り一方の勾配は変わらない。やがて右手のスギの木と木との間に明るい平野の眺めが透けて見えてくる。ペダルも軽い。やがて尾根道にぶつかり、刈場坂峠に到着。峠名入りの木の看板のほか道路標識もあるが、表記はすべて刈場坂峠である。
鞍部から北側へは眺めがいい。それはあらかじめ知っていたが、関東平野だけでなく稜線の眺めもいいのは意外だった。左手に見えるのは堂平山である。
空気がもっと澄んでいれば、堂平山の右奥には男体山などの日光の山々が、左奥には赤城方面の山々がそれぞれ見える。
鞍部にはりんどう茶屋という峠の茶屋がある。ここの名物はさんしょうみそおでん(山椒と柚子のきいたみそ田楽)である。茶屋ではこんにゃくをかまどにまきをくべて温めていた。
この茶屋は、2012年3月に再訪したときには建物ごとなくなっていた。
鞍部からは尾根道を少し西に進むと北側に下りる道があり、林道奥武蔵支線という標識がある。右折してそのルートに入り、一気に下る。かなり急な下りである。展望が特に開けるところはない。
のどかな舟の沢の集落を抜け、谷の向こうの竹の谷(たけのかい)の集落を眺め下ろし、都幾川の谷に下りていく。集落が道沿いに続くようになり、あたりも次第に開けていく。
そのまま都幾川沿いに進み、八高線の明覚駅まで出れば完全に峠道ではなくなったと言えるだろう。ここの標高は79.4m。
2007年5月11日初版 / 2012年11月29日更新