葉原峠

みかん山の上の異世界峠

読み方はばらとうげ
標高460m
位置埼玉県大里郡寄居町・秩父郡長瀞町
道路林道葉原峠線(峠付近)
水系荒川

実走日2011年12月11日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図
関連書籍峠 秩父への道

寄居町の風布は南西側を尾根に取り囲まれており、それを越える車道の峠は、この葉原峠、塞神峠釜伏峠の3つがある。葉原峠はその3つの中では最も北側に位置している。また稜線沿いの道により他の峠と連結されているわけでもなく、開通も新しく、地味な印象がある。

しかし、関東平野の眺めは最もよいし、風布側でみかん山の中を行くのも面白い。そして何より、個人的な印象なのだろうが、鞍部付近の雰囲気はどこか異世界めいている。3つの中では最もおすすめである。

風布のみかん山の中を行く

おれは塞神峠を越えて風布に下りてからこの峠に挑むことにした。谷沿いの街道から学校のある角で分かれ、みかん山の斜面の一気のアップを開始する。標高は200m弱。

なかなかの人出だが走りにくいほどではない。斜面にへばりつく人家と果樹園の中を1車線路で進む。頭上にはガードレールが交錯し、次に上るのはどれなのかと思う。なかなか楽しい。


関東平野と風布のみかん山を見下ろす

しばらく行くと小林みかん山への道を右に分ける。その辺まで行くともうだいぶ人出も交通量も少なくなる。そして眼下の集落の向こうに関東平野が見えてくる。そして向かいの斜面におそらく先週釜伏峠に行くときに通った釜伏の集落も見える。道路の左側にはその風景を眺める小さな広場がある。

右の写真には釜伏の集落は写っていない。それはこの写真の枠よりももっと右側に見えた。


関東平野を眺め下ろす道

それを過ぎると眺望は後ろに去り、明るい林の中の上りになる。すっかり人気も通行もなく静かである。

最後のみかん園を過ぎて少し行くと分岐があり、右に道が分かれている。看板がいくつか建っており、右に分かれる道については葉原峠を経て岩根山・長瀞町方面浦和高等学校 百年の森づくり事業 計画林地へと書いてある。そちらに針路を取る。

1車線の明るい林の中の上りが続く。やがていったん小さな鞍部を越え、道は下り始める。正面から右手にかけて、いっぱいに関東平野の眺めが広がる。足元には荒川の流れも見えるし、彼方には筑波山までも見える。そしてその脇には冬枯れの静かな林が広がる。


鞍部直下の林の脇を行く鞍部から東側を見る

時刻は12時半くらいで、空もよく晴れているというのに、林の脇の道の陽射しはなぜかとても弱く感じる。半原越と似た少しおセンチなフックが胸をかすめていく。

やがて右カーブする道の正面の斜面上にガードレールが見えてくる。あそこが鞍部だろう。急な左カーブを折り返して上ると、ヒノキの林の向こうに関東平野と今しがた上ってきた路面が見える。

立ち止まってそれを眺めていると、ふと自分がとてつもない異世界に来てしまったかのような気持ちにとらわれていて、そしてたった今我に返ったところだと気づく。とても不思議で不気味な体験だったのだが、どうにも書きようがない(書けてしまってはいけないような気もする)。


鞍部

すぐそこが鞍部だ。上る途中にもあった林道葉原峠線の標識のほか、葉原峠と書いた新しそうな石柱がある。前者には1998年3月と書いてあり、おそらく開通したのはこの頃だろうと思われる。


長瀞へ下る道

明るい林が続く。やがて西側にちょっとした展望が開けてくる。長瀞の市街地だろうか。電車の音が聞こえ、塞神峠の西側もそういえばそうだったので、荒川沿いに戻ってきたなあと思う。

暗い針葉樹の林の中の区間も少しある。地図では葉原という集落があることになっているが、下っているといつ通ったのかわからないほどだった。

なお地形図では葉原から南に進む林道に合流するような書き方になっているが、その交差点は実際突き当たりだった。ただしその地点よりも南は通行止になっていた。

やがて県道82号線にぶつかる。もっと下っていたかった、と思う。標高は130mあまり。

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2012年5月3日初版