有間峠
山深くも明るいハードな峠
読み方 | ありまとうげ | |
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標高 | 1130m | |
位置 | 埼玉県飯能市・秩父市 | |
道路 | 林道広河原逆川線 | |
水系 | 荒川 | |
実走日 | 2009年5月10日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
有間峠は入間川上流域の名栗から秩父に抜ける峠である。そうはいっても、この両地域を結ぶメインルートは山伏峠だし、この峠の両麓はそれぞれダム湖や渓流があって釣りなどのレジャーがさかんであるから、峠自体にはあまり存在感はないと言えるだろう。名栗側には長いダートの支線もあることだし。
有間峠自体は全舗装の林道峠だが、勾配は急でなかなかハードである。
おれは名栗側からこの峠を目指した。飯能から上ると、飯能駅の標高が106.2mだから、峠へは1000mあまりのアップである。
県道70号線で入間川沿いに名栗へ向かう。行楽シーズンだから交通量はそこそこあるが、その中で入間川の澄んだ水と新緑の山の美しさは心を洗うものがある。
名栗で県道70号線を離れて広い道で有間ダムに上りつく。小ぶりなロックフィルダムの堤体の向こうにこれから越える尾根が姿を現す。上り終えると標高は320mほど。なお麓の標高は標高230mくらいである。
ダムからは、名栗湖の向こうの山体とそれにへばりつく道筋がよく見える。険しさよりも明るさを感じる眺めである。
ここからはダム湖の南岸を行く。メインルートが対岸だけあって静かな感じである。排水口のような珍しい洪水吐の脇を通り、ぽつぽつとした釣り人を見ながら進んでいく。平坦である。やがてダム湖が終わり、北岸のメインルートに合流する。少し行くと林道広川原逆川線の標識がある。ここから先は渓流沿いだが、釣り客がけっこうたくさん来ている。
標高374m地点の分岐からは道は逆川沢の谷をつめていく。ここから先はぐっと交通量は減る。林の中の渓流沿いの単調できつい上りが続く。眺望はほとんどない。ところどころに白い細かい花を咲かせた木があるが、名前はわからない。
苦闘することしばし、標高640m付近で折り返していったん沢を離れる。と同時にこれから向かう山体やここまで上ってきた道筋などの眺めが少し出てくる。しかしそれでも大眺望というふうにはならない。
閉鎖されたダートの林道を2つ分けるが(西名栗線と大名栗線。どちらも通行できそうだったが)、変化はそれくらいで、呆れるほど単調な林の中の山道が続く。特筆すべき点があるとすれば、山ひだに沿ってあちらでもこちらでも水が流れ落ちており、涼しげな風情になっていることくらいだろうか。
やがて道路は尾根の南東側を走る道になる。ここへ来て随所で南東側の風景を見ることができるようになる。遠くには関東平野が霞んで見える。地図だけ見ているとものすごい山深さを感じて、まあそれは外れてはいないのだが、むしろもっと開放的な明るさのある一角なのだなと思う。
しばらく進んで右カーブの切り通しに到着。鞍部かと思ったが特に何もない。そこから道は少し下ってまた上り始めた。ニセ鞍部である。確かに考えてみれば有間ダムから稜線が見えたから、こちらからもダムが見えてもおかしくないわけだ。そう考えながら上っていくと、やがて本当に左手に名栗湖が見えてきた。雄大な眺めである。仁田山峠や正丸峠でおなじみの西武ドームの屋根も見えている。
やがて白い道路標識が見えてきた。右カーブの鞍部に到着である。ここからの眺めも最高だし、有間峠の真新しい木の標柱もある。かつて地形図には峠名が載っていなかったのに、最近のに載っているのはこいつのせいか。
さて出発する。秩父側の下りも眺めはよいがひたすら山と道筋の眺めである。豪快な下りが続く。けっこう路面が濡れているところが多く、シャワーのように水を浴びる羽目になる。ある区間では100mくらいずっと道が沢のようになっていた。
だいぶ下って、道は川沿いになる。とても緑の濃い川で、木々ばかりが見えて水面が見えない区間が多い。
じきに集落が始まり、道が広くなり、ダム湖(秩父さくら湖)が始まる。トンネル連発で進む県道73号線を避けて、おれはダム湖の西岸を進む。最初きつめのアップダウンがあるが、それ以降はおおむね平坦で交通量も少なく走りやすい道である。対岸には集落も見え、名栗湖と比べるとやや開けた感がある。
やがて浦山ダムに到着。標高は400mほど。天端の上で初めて気づいたが、かなり高さのあるダムである。こちらはコンクリート重力式だ。向こうには秩父の市街地が見える。
日本ダム協会のサイトで調べると、浦山ダムの堤高は156mで日本で第6位である。あまり有名ではない気がするが日本でも屈指の巨大ダムだったのだ。
そこからはヘアピンカーブをまじえて一気に下る。麓の浦山口駅の標高は246.1mである。あとは秩父の市街地まで右手に武甲山を見ながらゆったり下る。
2009年5月21日初版 / 2012年9月27日更新