板堂峠
萩往還の国境の非対称峠
標高 | 511m | |
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位置 | 山口県萩市・山口市 | |
道路 | 山口県道62号線 | |
水系 | 阿武川・椹野川 | |
実走日 | 2014年10月19日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
萩と山口を結ぶ国道262号線が分水嶺を越える少し手前に日南瀬という集落があり――というのは日南瀬峠のページでも書いたが――、その日南瀬から国道を外れて南南西に向かったところに、この板堂峠がある。萩往還の峠で、長門と周防の国境にある峠でもあり、少し歴史を感じさせるものはあるが、全体としては、整備されているぶん、日南瀬峠以上に変哲のない峠に思えた。特筆しておくべきなのは、道筋が非対称で南側がやや急峻であるということくらいか。
おれは日南瀬峠を越えて日南瀬の集落に下りてきて(標高は332m)、国道262号線を横切ってこの峠道に入った。最初は田んぼと人家がある風景の中をじりじり上るが、最初だけである。
道はじきに林の中になる。道は広く2車線ある。じりじりと上っていく。一里塚や逆修石なる大岩があり、案内看板が建っていたり、萩往還の旧道(もちろん徒歩道)が分かれたりしているところは歴史を感じさせるが、全体としてはあまり変哲のない道路である。
小吹峠への道を分けるあたりからは勾配はややきつい。右側に夏木原交流施設というのがあり、キャンプ場などもあるようだ。
読者にはどうでもいいことだが、ここで休憩していて気づく。――前日から故障していた右膝は、もう普通に歩いても痛むほどに悪化している。うーん、日南瀬峠なんかに寄り道してる場合じゃなかったかなあ……。
やがて鞍部に到着。切り通しになっていて、左側に駐車場があり、萩往還についての案内看板がある(板堂峠の峠名も書かれている)。
同じく左側の斜面に国境の碑があるというので階段を上る。これが故障した膝にはとってもきつい。幸い碑は近かった。北 長門國阿武郡南 周防國吉敷郡と深々と彫ってある。
旧峠は反対の右側の斜面の徒歩道にあるが、とても登る気にはならない。
少し休んで出発する。右カーブを曲がると21世紀の森 標高511mなる看板が出ている。これ、朝方に越えた雲雀峠(県道32号線の小さい峠)と同じシリーズの看板だが、あんな小さな峠でもちゃんと雲雀峠って書いてたのに、どうしてここでは峠名じゃないんだ!
それを過ぎて下り始める。最初はさっきの日南瀬峠と同様に直線的でかなり速度が出る。
あとは林の中をくねくねと。本当に普通の峠だ。やがて林の中を抜けて耕地を見下ろす。上天花町の集落だ。
さてここは山口の市街地を貫いて流れる一の坂川の上流域にあたり、一の坂ダムがあって、ダム湖の錦鶏湖もある。最初に錦鶏湖が見えてきて、それからダムに到着する。市街地の一の坂川はとても小さい川であることは知っていたので、ダムで洪水制御をするというのは信じられない気がしたのだが、ダムの案内看板をよく読むと、ダムの目的は流水の正常な機能の維持と増進を図るため維持用水を確保することだと書いてある。なるほど……。
ダムの天端の標高は134.1m。狭い谷の向こうに山口の市街地を見下ろす。高層マンションがぽつぽつ建っているのが見える。
あとは山口の市街地まで下り、一の坂川沿いにじっくり走る。SIONという歌手に螢という曲があり、それはこの山口と一の坂川についての歌で、それを聴いて以来おれは山口の街が大好きなのだが、……歌われていたような川端のメシ屋は発見できなかった。もっとも、相当昔の山口についての歌ではあったのだ。
2015年6月11日初版