丸立峠
クマの気配が漂う不気味なダートの峠
読み方 | まるたつとうげ | |
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標高 | 520m | |
位置 | 北海道紋別市・紋別郡遠軽町(オホーツク管内) | |
道路 | 北海道道306号線 | |
水系 | 渚滑川・湧別川 | |
実走日 | 1995年9月6日(水) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
丸立峠は、紋別で海に注ぐ渚滑川と、サロマ湖の西隣を流れる湧別川の分水界にある峠のひとつである。この名前は、紋別市側の立牛という地名と、丸瀬布町(紋別郡。今は遠軽町に編入)からついたのだろうと思う。
北海道の道道にありがちなダートの峠で、名所だったりいわれがあったりということは特にないようだ。自分でも、なぜ越えたのかは覚えていないほどだ。ただ、国道273号線の浮島峠が通行止になると、突然この峠が大活躍するという話を聞いたことがある。
おれは滝上の町から来たのだが、そうするとちょっとした峠を越えて中立牛に下りて、ここから丸立峠の峠道が始まることになる。ここの標高は120mほど。
少し行くと、重量5t、車幅2.5mの制限標識があり、この先が悪路であることが知れる。交通量は少ない。あたりは人家がぽつぽつとある山村。
しばらく行くと深い森林の中となるが、その中に廃屋や上立牛小学校跡の石碑がある。地図には上立牛と地名が書いてあって集落がありそうだが、実はもう廃村というわけだ。しかしこの森林を見ている限り、ここに集落があったことのほうが不思議に思える。
やがて道は1車線になり、ダートになった。この展開はちょっと珍しいかもしれない。と言うのは、北海道の道道は、舗装よりも拡幅を優先しているようなところが多いから。
あまり坂はきつくなく、路面も悪くなく、かつ深い深い山の中という感じで、地味ながら楽しい。
こんな悪路を、ときどき普通の乗用車が通っていく。おそらくは、道路地図を見て立派な道道だったので来てしまったのだろう。
で、頂上。峠であることを示すものは何もなく、道道267号線という旧路線番号の古ぼけた標識があるのみだった。
ここからは深い谷を右に見て下る。展望はあまりなく、山また山という感じだ。途中、右側の草むらの中からがさがさという大きな音が聞こえた。……こええっ! おれはダートを全速力で下った。
なかなか下りのダートは長い。それが舗装になる頃はもう急な下りは終わりで、あとはだらだらと丸瀬布まで下った。
この秋(1995年の秋)報道されたところによると、この丸立峠の立牛側にクマが出没し、山菜取り(きのこ狩りだったかもしれない)をしていた人が負傷したそうだ。あのがさがさという音は本当に熊だったのかもしれない。
2002年4月18日初版 / 2010年5月13日更新