大津峠

天竜川沿いの山里を縫っていく峠

読み方おおつとうげ
標高890m
位置長野県下伊那郡天龍村・静岡県浜松市
道路村道天龍川線(長野県側)・林道天竜川線(静岡県側)
水系天竜川

実走日2009年10月11日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

大津峠は、天竜川本流沿いの長野県の天龍村(下伊那郡)とその大支流である水窪川沿いの静岡県の水窪(浜松市)を結ぶ舗装林道峠である。鉄道の飯田線に詳しい方ならば、大嵐駅と水窪駅の間に長いトンネル(大原トンネル)があることをご存じだろうが、その真上にある峠だと思えばだいたい当たっている。

道路地図には天竜川林道という観光道路チックな名前で出ていたりするけれども、レジャー峠色は薄い。山村と天竜川の静かな眺めを楽しみつつ行く……という感じであり、探訪派向けである。

なお、標高が青崩峠兵越峠より低いからといって、それらの代わりに越えて楽をするという用途には向いていない。山腹走区間が長く、アップダウンがかなりあるからだ。もっとも、今回は走っていないが、大嵐駅からこの峠に直登する林道西山線という道路があり、それを使えば大部分のアップダウンは回避できるだろう。

中井侍

この峠道の北側の入口は飯田線の伊那小沢駅ということになるだろう。標高は291.2m。天竜川沿いの県道1号線からは、←水窪町という小さな標識があるのでそれに従って来れば間違えにくいだろう。

小さな集落の中を進み、折り返して上る。やがて眼下に天竜川の眺めが開ける。下山の集落だ。そこからはしばらく眺めのよい道と暗い(本当に暗い)スギやヒノキの林の中の道を交互に繰り返す感じである。

下山の次の中井侍の集落では、駅へ下りる道が右側に分かれている。見下ろす天竜川の水面まではなかなかの高度差だ。


うねる天竜川を見下ろす

静かで通行はほとんどない。楽しい道のりである。うねる天竜川の白茶けた水面と、動きの感じられないあたりの山の雰囲気は、前に動画で見たEl Caminito del Rey(スペインの絶壁上の歩道)の風景を思い出させる(今見返すとあまり似ていないが)。

天竜川の水面が白茶けているのは、先日に直撃した台風18号のせいかもしれない。


天竜第二隧道

しばらく行くと天竜川の支流の河内川沿いに迂回し、天竜川はほとんど見えなくなる。天竜第二隧道(標高690m)を抜けると道は下り始める。天竜第一隧道を抜けても下りは続く。

やがて県境の橋に達する。ここには林道天竜川線という標識が出ている。ここまでは村道天龍川線という表記を工事標識でよく見かけたが。


静岡県側の道

静岡県に入ると途端に路面が悪くなる。落石やスギの落ち葉が増え、この道大丈夫かと思わされるが、それは長続きしない。最終的に標高は540m程度まで下がり、高度を150mほど失ったことになる。

山村風景を眺めながらの上り基調のアップダウンが続く。有名な秘境駅の小和田駅の近くも通過するが、何の予備知識もないとどこから下りるのかさっぱりわからない。坪尻駅(六地蔵峠参照)以上の行きにくさであることは確かだろう。

しばらく行くと天竜川の眺めはまた復活してくる。やがて右から大嵐駅から来た林道西山線が合流する。西山線の開通記念の木の標柱がある。また、←長野県←愛知県→水窪市街というようなえらく大雑把な標識もある。標高は680mほど。


鞍部近くの道路

さすがにここまで来るとアップダウンはなく上りっぱなしとなる。大津峠2km大津峠1kmの標識があるのは助かる。

気がつくといまだにツクツクボウシが鳴いていて驚く。路傍にはタマアジサイの花もかろうじて残っている。途中、コンクリートの被覆を鋭い爪音を立てて駆け上がるカモシカを見る。

もう天竜川の水面は見えない。しかしその向こうの山並みが大変美しく見える箇所はあった。かなり右手の彼方には御嶽までも望むことができた。


鞍部

やがて大津第二隧道をクリア。国土地理院の地形図だとここに大津峠と書いてあるが、トンネルを抜けても何もない。

少し下って少し上ると大津隧道。その手前に大津峠の看板と広域基幹林道天竜川線開通記念の石碑がある。何か、大津第二隧道の方が数mは標高が高かったんじゃないかという気がするが、地形図を読む限りは分水界はこちらである。

石碑によると、この林道は1978年に開通したとのこと。開通時は長野県側も含めて林道天竜川線だったようだが。


南アルプス方面への展望水窪市街を見下ろす

さて下り始める。最初は上りと同じように西側の眺めがあるが、途中で東側の眺めがとてもよい箇所もあり、南アルプスが見える。それからまた西側の眺めがあって、やがて眺めはなくなる。激しい下りを行く。

しばらく行くと眼下に水窪の市街地が見えてくる。それほどの高度差はない。やがて国道152号線に合流する。水窪の市街地の標高は260m程度である。

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2009年10月22日初版 / 2015年1月8日更新