小川峠

林の中のヘアピンカーブ連発峠

読み方おがわとうげ
標高910m
位置岐阜県郡上市・下呂市
道路岐阜県道86号線
水系木曽川

実走日2012年10月14日(日)
地図などGoogle Maps地図院地図

小川峠は、美濃の郡上市の明方(明宝)から尾根の向こうにある小川の集落に抜ける道にある峠である。そのまま進めば飛騨の下呂や金山に達することもできる。

道路としてはあまり整備されておらず、交通量も少ない。むちゃくちゃなヘアピンカーブが連発するところは面白いが、展望はよくない。

畑佐の集落を見下ろす上り始め

おれは美濃側の郡上八幡からこの峠を目指した。郡上八幡駅の標高は207.8mだから700mほどの上りである。しばらくは国道472号線の対岸の県道320号線を進み、明宝の道の駅の手前から国道を行く。道の駅は村の規模の割にかなり大きく、停まっている車も多い。ここまで来ると標高は400mに達し、風景も山っぽい感じである。

なおもじりじり行くと畑佐の県道86号線の分岐に到着。標高は490mほど。金山 48kmの標識や大型車通行不能の看板が出ている。いきなり1.5車線で畑佐の集落を見下ろしつつ山腹を上る。大洞峠を思い出すが、あれほどの離陸感はない。

そして左カーブを折り返すとその眺めは去り、鞍部が近いような断崖上の道になる。さらに再度左に折り返すと国道472号線をちらと見下ろす。右に立派な道が分かれ、和良へ向かうようであるが、持ってきている地図にはそんな道は出ていない。


1段上の道のガードレールを見上げる

そこからは地形図にある通り非常にヘアピンカーブの多い道である。ただ林の中なので九州の二本杉峠のようなインパクトはない。それでも1段上や1段下の道を見る箇所はたくさんある。

この写真では右上に1段上の道のガードレールが見えている。

路傍には昨日走ったタラガ谷越と同じように野菊が多く見られるが、ヨウシュヤマゴボウも多い。1箇所だけだが終わりかけのタマアジサイも見かけた。また途中で眼下の斜面からがさがさと音がしたのでよく見ると、シカが2頭ほど林の中を逃げているところだった。


開けた道国道472号線の筋を見下ろす

しばらく行くとだんだんと明るい感じになってくるが展望はほとんど開けない。木々の間にこれまで上ってきた道やさらにその下方の国道472号線がちらちら見えたりするのだが、眺望というのには遠い。


鞍部

やがて左カーブの切り通しの鞍部に到着。ここからも特に展望はない。ここからは和良に向かう県道322号線が分かれている。1.5車線の淋しい道だが特筆すべきなのはその路面だ。もともとは舗装だったのだろうがボロボロになってダート同然になっている。


御嶽を見つつ下る

下り始める。最初は断崖上を行く。正面に御嶽を見る箇所がある。タラガ谷越の下りで見たよりも大きく見え、茶色っぽくガレた様子もわかる。

この写真だと、御嶽は左側の道の奥に見えている。なお、タラガ谷越の頁で書いた通り、このときは乗鞍岳あたりの山としか思っていなかった。


看板のあるヘアピンカーブ

それを過ぎるとじきに道はやや暗い林の中の執拗な折り返しの連発になる。極端に豪快なものではないが、数えると上方と下方と今いるところの合計で5段の道が見える箇所もある。

その付近では林の中に私たちの宝小川峠 だいじょうぶ 峠をよごして いませんか?という看板が建っている。私たちの宝! これはしあわせ峠こと槻木峠並みの扱いだ。峠も無言で感涙していることだろう。

もっとも、この看板、きつい朱色の地に太字のサンセリフなので、かなり禍々しい感じがするのだが……。

それを過ぎると道は立派な2車線になり、ドーッと一気に下る区間がある。こちらから上ったらけっこう嫌なものだったかもしれない。道が広がった直後に、大型車通行不能という看板が出ていたから、ここから金山まではこんな道なのか、と思ったのだが、小川の集落を過ぎて進んでいくとまた道は非常に狭くなった。おいおいこれを大型車が通っていいのかよ。


川沿いの林の中の道

道に沿って弓掛川が流れているが、そこに絵に描いたような美しい一筋の滝がある。村名勝 大滝という小さな石柱が立っている。それを過ぎると下呂市の標識がある。峠を越えてもここまでは郡上市だったのか。

道は1.5車線で川沿いの林の中を突っ切っていく。奈佐木峠の下りで走った宮崎県道401号線を思い出すが、この淋しさはどちらかというと栃ノ木峠の下りで走った道(滋賀県道253号線)の方に似ているかもしれないと思い返す。そのくらい淋しい雰囲気の道である。通行もほとんどない。

麓であるこの区間よりもむしろ峠に上っている最中の方が車が多かったこと、小川の集落が郡上市の市域だったことを考えると、峠は小川の人々と明方を結ぶ生活道路なのかもしれない。そうだとするとそれも槻木峠に似ている。さらにあとで気づいたが峠の名前のつき方まで同じだ。

あとは岩屋ダム(堤高127.5mの大きなロックフィルダム)を経由して金山まで下る。地図を見ればわかるがとても長い道だ。ダムのあたりだけは少し人気があるがそれでも淋しい。岩屋ダムの天端の標高は427.5mで、飛驒金山駅の標高は231.1mだ。

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2013年4月25日初版