濁河峠

御嶽を中心とする大スケールな自然の中の羊腸の小径

読み方にごりごとうげ
標高1870m
位置岐阜県高山市・下呂市
道路岐阜県道435号線・県道441号線
水系木曽川

実走日2002年10月5日(土)
地図などGoogle Maps地図院地図

御嶽の北麓にはやたらに峠が多い。長峰峠柳蘭峠、岳見峠、鈴蘭峠、大平峠……などなど。きっと、峠好きでなくとも地図を見ているだけで足を運びたくなる。その中で最も御嶽に近く、またもっとも標高が高いのがこの濁河峠である。

……なのだが、実際に走ってみるとこの峠にはあまり存在感がない。標柱などもない。案内板などから察するに、この一帯の峠のうち、峠としての認知度が最も高いのは、長峰峠を別格とすれば柳蘭峠のようだ。

乗鞍岳

おれは長峰峠を越えてからさらに柳蘭峠の鞍部に上りつき、そこから濁河峠を目指した。そういうわけで出発点の標高が既に1697mもある。

最初だけ柳蘭峠への上りと同じように整備された2車線路が続くが、チャオ御岳スノーリゾートを過ぎると道は完全1車線になる。しばらく行くと今度は拡幅工事と舗装工事を同時にやっている箇所がある。

写真は、工事区間から眺めた乗鞍岳。かなり霞んでいるが。それにしても、1車線だと山岳道路だと感じるのに、盛土の上の2車線になると高原道路だという印象を持ってしまう自分に気づく。印象というのはいい加減なものだ。


鞍部へ向かう道鞍部

やがて工事区間が終わると、道は再び林の中の1車線路に。植生はいかにも高地という感じだ。深い森で、人家がまったくないので、どこかおどろおどろしささえ感じる。

アップダウンが続く。濁河峠の鞍部よりも前に、1870mの最高所を越える。やがて胡桃島キャンプ場を過ぎ、ゆったりと下ったあとにほんの少しだけ上り直して、濁河峠の鞍部に到着。標高は1760m。

ここには郡境(当時は大野郡高根村と益田郡小坂町の境界だった)であることを示す標識と温度計があるだけで、峠であることを示すものは何もない。道路の縦断面形からも頂上と呼べるようなものではないから、実感が湧かない。


国設濁河温泉スキー場のゲレンデから御嶽を眺める

鞍部からの下りは、ヘアピンカーブなどもまじえてなかなか急。やがて左側に国設濁河温泉スキー場のゲレンデが開けてくる。御嶽を眺めるならばここからが最もよい。

道はT字路に突き当たる。右に曲がると小坂に下りることになり、左に曲がると濁河温泉に行くことになる。ちなみにおれは先ほどの胡桃島キャンプ場にテントを設営して、身軽になった状態で濁河峠を越えて、濁河温泉の町営露天風呂(当時は小坂町だったので)に入りに行った。実は胡桃島キャンプ場は既にシーズン終了。管理者不在。ゆえにダマテン。ごめんなさい。


大平峠方面を眺める

さて、無人の胡桃島キャンプ場(怖かったが、星空は最高に美しかった)で朝を迎えて、もう一度濁河峠を越え、小坂へと針路を取る。

最初は薄暗い谷底へ下りていくが、いったんすぐ近くになった谷底はやがてはるか下方に去り、深い谷の眺めが開けてくる。これから進んでいく大平峠(おおだいらとうげ)方面へ続く道のガードレールとコンクリートの被覆が彼方に見える。

標高はこの付近で1350mを切るが、再びだらだらと上り始める。サルに遭遇したりしつつ行く。右手はすぐ尾根。左手は恐ろしく深い濁河川の谷。そして谷の行く手に広がるふかふかとした緑と黄色のまだらの森。大スケールだ。谷の向こうには御獄も見えるが、容易に予想できた通り、完全な逆光だ。


大平展望台から御嶽を眺める

……だったら載せるな! と言われそうだが、大平展望台からの御嶽の眺めがこれ。見事なまでの逆光。ここで写真をものにしたければ、午後来た方が絶対によい。なお、この地点は御嶽を挟んで地蔵峠とほぼ正反対の位置に当たる。比べてみてください。

この展望台には東屋や小さな芝生もあるが、道路のすぐ脇だから野営向きではない。

ここからも1車線のアップダウンが続く。鈴蘭峠からの道が合流すると、道は一転して2車線の快走連続下り勾配になる。ただし森に包まれた谷底で、眺望はまったくない。

小坂の市街地まで下ると、標高は520mほど。おれが着いたのは日曜日だが、食料品を調達できる店がほとんどなく(やっている店がほとんどなかった)、空腹だったおれはとても面食らった。

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2002年11月19日初版 / 2011年5月19日更新