位山峠
歴史のあるシンプルな峠道
読み方 | くらいやまとうげ | |
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標高 | 1080m | |
位置 | 岐阜県下呂市 | |
道路 | 岐阜県道98号線 | |
水系 | 木曽川 | |
実走日 | 2011年10月8日(土) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
位山峠は、高山と、その南の飛騨川(木曽側の支流)の支流の山之口川の谷筋を結ぶ道にある峠である。峠道にあった案内板によれば、おそらく弥生時代後期から使われはじめ、701年から713年までは東山道となり、その後も金森長近が京街道の本通りを河内街道(おそらくは宮峠経由の現在の国道41号線の道筋のことだろう)に移すまで、飛騨の人々にさかんに使われ続けた、とのこと。
歴史のある峠道というわけだが、あまりそういう雰囲気は走っていて感じない。むしろ、長野県の高原の峠と同じような、軽くて明るい雰囲気がある。
おれは南の飛騨川沿いからこの峠を目指した。下呂から国道41号線の対岸を行く県道88号線を北に進み、萩原の北で位山峠に行く県道98号線に入る。ここの時点で標高は480mほどある。
上り始める。基本的に道は広く、2車線ある。意外と交通量は少ない。山之口川という川に沿って行くのだが、ごみを捨てるなという旨が飛騨弁で書かれた看板が妙に多い。まあ確かにきれいな川ではある。
山之口まで行くと、カジヤの集落をバイパスする立派な道ができており、大規模林道という標識が出ている。もちろんそちらではなく、(少しムードのある)カジヤの集落の中を通る。狭くて急坂で楽しい。しかし疲れる。
やがて正面の斜面に白いガードレールが見えてくる。集落を抜けて大規模林道が再び合流するあたりでちょうど正午となり、澄んだ矩形波で紅葉が流れる。いい曲だ。
少し行くと折り返しての上りが始まる。ヒノキやスギもあるがそればかりの暗い林ということはない。やや紅葉の始まったもこもことした山の眺めがいい。しばらく行くとさっき見上げたガードレールの区間を通過する。やや開けた谷間にカジヤの集落が見える。
そのあとはしばらく川沿いに行く。ところどころに徒歩通行者のための看板が出ている。やがて川を渡ると小さな位山神社があり、路傍に峠道と神社の由来の説明がある。
それを過ぎるとまた前方上方にガードレールが見えてくる。それを見上げつつ行くと左手に皆伐跡地のようなものがあるが、やがて牧場の看板があった。折り返して上って振り返ると、背後の山がほぼ丸ごと皆伐されていて、ここまでの峠道とはがらりと雰囲気が変わる。
それを過ぎると鞍部。石碑や案内板、東屋などがある。
案内板には、飛騨は貧しかったので平安時代まで庸・調の代わりに工(職人のことか)を出さねばならないことになっていて、彼らはこの位山峠を越えていったという話が書いてある。だから飛騨の匠街道とかいうのか。
さて出発。少し(看板によると400m)下ると、左側にミズバショウの群生地があり、湿地の中に木道がある。もちろん咲いていない。
どこか栃ノ木峠の南の中河内に似ている、淋しい高原状の風景の中の下りが続く。鞍部からこちらは2車線だ。カラマツ、ホオノキ、トチノキなどの木々が目に入る。赤い実はガマズミだろうか。
しばらく行くとぱっと目の前が開けてダム湖と城壁のようなダムの堤体、そして高山市の標識が目に入る。久々野防災ダムだ。ダム湖の湖面には何艘かボートが出ている。ダムの下流側にはこれから下っていく方面の眺めがあるが、ただなだらかな山並みが続いているだけだ。
ダムからの下りはかなりのものだ。8%、9%、8.4%の勾配標識が次々に現れる。カーブはとても緩く、道幅も広いので、相当のスピードが出る。それであっという間に久々野の市街地から来た県道455号線を合流させる。そのまま直進すれば苅安峠への上りとなる。合流点の標高は820mあまり。
2012年6月14日初版 / 2015年1月8日更新