蛇石峠
静かで単調な林の中の道
読み方 | じゃいしとうげ | |
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標高 | 330m | |
位置 | 静岡県賀茂郡松崎町・南伊豆町 | |
道路 | 静岡県道121号線 | |
水系 | 那賀川・青野川 | |
実走日 | 2015年10月4日(日) | |
地図など | Google Maps・地図院地図 |
蛇石峠は、西伊豆の松崎から、伊豆半島の先端に近い南伊豆町の下賀茂温泉に抜けるところにある峠である。よくわからないが、この両者を結ぶルートとしては海沿いのマーガレットライン(国道136号線)がメインなのではないだろうか。つまりは蛇石峠の道はローカルルートのはずである。
典型的な田舎道の峠で、あまり書くことはないかもしれない。眺望もないし、前日に越えたご近所の大鍋越と違ってわさび田もないし。
おれは松崎からこの峠を目指した。なまこ壁通りから国道136号線を横切り、県道121号線を……ではなくて、その東隣の集落道を進む。田んぼの脇のコンクリート舗装の狭い道だ。田んぼはまだ稲刈りをしていないところがけっこうある。
しばらく行って県道に合流する。のっけからじりじり上る感じである。八木山まで来るとすっかり山峡の風情だ。この集落はなぜかあちこちに八木山と書いた色とりどりの提灯がぶら下げられている。
その集落を過ぎると左に果樹園のようなものがある。何だろうなと思ってよく見たが、どうも実っているのはシキミのようだった。あれってこういうふうに農産物として作るものなのか?
道端には昨日の大鍋越と同じようにアザミやタマアジサイが多い。後者にはまだ両性花の紫が残っているものがけっこうある。昨日なかったものとしてはミズヒキやツリガネニンジンがあった。
沢伝いの上りで、ずっと水音が聞こえるのだが、実際には沢にぴったり沿っているわけではないので、ほとんど水面は見えない。やや暗い林の中の道である。道幅は狭めの2車線というところか。
やがてヘアピンカーブで斜面を折り返して上り始める。背後の眺めが少し開けるが、海を見ることはできない。しばらく単調に上り続けると、水音は消え静かになる。
鞍部の直前では、杉木立の向こうにこれから上る道の白いガードレールを見上げるところがある。それをクリアすれば蛇石峠の鞍部だ。やや暗い切り通しで、峠の標柱の類はなく、展望もない。
少し休んで下り始める。雰囲気は上りとあまり変わるものではないが、左側に開けた谷を見下ろすところがある。道端にはゲンノショウコが咲いている箇所もある。上り下りを通じて、昨日の大鍋越で見かけたようなわさび田は、なかったと思う。
青野川沿いに細長く開けた田園を飛ばして下る。山間部から平地に出てきたせいか、あるいは単に時間の経過のせいか、雲が多かった空はよく晴れてきた。
蛇石というのは、峠道がこの青野川沿いに出たところにある集落の名前である。
上賀茂で突き当たりに出て右折する。標高はもう10mほど。この青野川も土手にきれいに桜の木が植えてある。
大鍋越の記事でも書いたが、伊豆半島の南の方は、川の土手さえあれば必ず桜並木にしているのではないかというくらい、こういう風景が多い。
少し行ったところで青野川を渡り、右岸の土手道の桜並木の中を走って、下賀茂で国道136号線に出る。驚くほどに交通量が少ない。おれの事前の思い込みでは、伊豆半島の先端部なんてのはそりゃもう一大観光地のはずだったのだが、どうも全然違うなあ。足摺岬みたいだ。
2016年2月18日初版